Lucky Kilimanjaro、それぞれの意志のもとで分かち合う幸福 “繋がり”を体現した最新ツアー

ラッキリ、最新ツアー公演レポ

 Lucky Kilimanjaroが2023年10月より金沢、大阪、広島、仙台、名古屋、福岡、札幌、神奈川と日本各地を回ってきたツアー『Lucky Kilimanjaro presents.TOUR“YAMAODORI 2023”』。そのファイナル公演が1月8日、東京国際フォーラム ホールAにて開催された。

Lucky Kilimanjaro
Lucky Kilimanjaro

 熊木幸丸(Vo)は昨年、シングル『無限さ』がリリースされた際のリアルサウンドのインタビューで、音楽を通して表現し得る「繋がり」についての意識の変化を語っていた(※1)。「自分」という「個」だけではなく、「自分」と「自分の外側」との接続について、もっと考えたいと。そして、そうした意識の変化の中で生まれたのがシングル『無限さ』であり、今回の『YAMAODORI』ツアーもまた、そうした変化が反映されたものになるであろうと。それは、彼のこの時代や世界への眼差しでもある。「どういうふうに、他人の悲しみや苦しみと、自分の悲しみや苦しみを交わらせていくか?」ーー熊木はそんなふうに語っていた。結果として、熊木がこのタームで目指したものは見事にライブ空間に昇華されていたと、国際フォーラムでのライブを体感して、私は感じた。

 セットリストは恐らく記事の最後に掲載されるだろうが、全27曲もの曲が演奏された。ラッキリが突き詰めてきた、ほぼノンストップで曲が連なっていくクラブミュージック的な展開は国際フォーラムという椅子席の大舞台においても健在だった。バンドセットで、ダンスミュージックを奏でながら、国際フォーラムというホール会場を揺らす……明らかに異様で、新しくて、それゆえに素晴らしい景色。それを、ラッキリは可能にした。

 印象的だったのは、ライブの序盤で「350ml Galaxy」や「Burning Friday Night」のような、一体感を生む演出を可能とする曲たちが配置されていたことだ。「350ml Galaxy」では間奏で熊木がビールを用意し、乾杯をした。「Burning Friday Night」はTikTokを起点に、リリースから時を経て大人気曲となった1曲で、この曲では観客たちを巻き込んでの合唱が起こった(本当に感動的な光景だった)。こうした大きなカタルシスを持つ楽曲たちを、ライブのゴールではなく、あくまでも序盤に配置することで、ラッキリは彼らが守りたいバランスを守りながら、一瞬先の未来に向けて音楽を奏でていた。もちろんそれが力技にならいように、他の曲たちも見事に流れていく時間を演出していた。

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