ロクデナシ、1stアルバムで表現した多様な愛 にんじん自ら手がけた楽曲がもたらす深み
しかし、何よりも、にんじんが作詞作曲を手掛けた「逢瀬のままにあなたのもとへ」「靴擦れ」「水仙」がフックとなり、ロクデナシの世界観をさらに広げ、人間味をよりリアルに表現している点は、今作の大きな魅力だろう。特に、「逢瀬のままにあなたのもとへ」は、エッジの効いたギターサウンドと、悲しみや苦しみを訴える歌声が、歌詞に込められたヒステリックな感情をより一層際立たせている。憂鬱な雰囲気を醸し出すコード進行が印象に残る「靴擦れ」も、にんじんの飾らないストレートな表現が特徴で、各コンポーザーによる書き下ろし楽曲の雰囲気とのギャップが生まれているところが興味深い。清々しいほどに自身の感情を描いたこの2曲は、にんじんの個性の強さを光らせるとともに、愛の多様な側面に深みを添える重要な役割を果たす。その可憐な姿と柔らかな香りから、どこか慈愛に満ちた「水仙」も同様に、そこには愛への盲目的な情熱と、それゆえの執着が感じられる。
YouTubeのMV総再生回数で「ただ声一つ」「愛が灯る」に次ぐ「スピカ」は、恋をテーマにした楽曲の世界観という持ち味を発揮したナユタン星人が手掛けた。ポップなサウンドと切ない歌詞の意外性のある組み合わせが印象的だ。寂しさを隠したにんじんの感情をあらわにする楽曲で、にんじんの歌声の可能性を引き出している。今作を通して気づいたのは、にんじんは、愛を主題とした繊細な情感から狂気的なまでに揺れ動く感情まで、様々な愛の形を表現する豊かな感性を備えていること。カラーバリエーションの異なる楽曲群のなかでも、自身の素直な感情があふれた楽曲が今作に与えた印象は大きい。にんじんの温かみのある歌声は、愛の多様な側面に奥行きをもたらす力がある。その表現の幅は、今後のロクデナシとしての活動の中でさらに広がり、聴き手の心を芯から震わせるに違いない。
■リリース情報
ロクデナシ 1stアルバム『愛ニ咲花』
2023年12月27日（水）リリース
CD購入：https://jvcmusic.lnk.to/1stALpkg
配信：https://rokudenashi-ninzin.lnk.to/thefloweroflove
＜初回限定盤（CD＋BOOK＋GOODS）＞
¥4,510（税込）
・EPサイズIllust Book（32ページ／全収録楽曲のイラスト、初のにんじんインタビュー）
・にんじんプロデュースギターピックセット（3枚セット）
＜通常盤（CD）＞
¥3,080（税込）
収録曲
1.眼差し／ロクデナシ
作詞・作曲・編曲：カンザキイオリ
2.星寂夜／ロクデナシ
作詞・作曲・編曲：Aqu3ra
3.僕らの在り処／ロクデナシ
作詞・作曲・編曲：葵木ゴウ
4.逢瀬のままにあなたのもとへ／にんじん
作詞・作曲：にんじん 編曲：塩入冬湖（FINLANDS）
5.スピカ／ロクデナシ
作詞・作曲・編曲：ナユタン星人
6.Slowly／ロクデナシ
作詞・作曲・編曲：Twinfield
7.愛が灯る／ロクデナシ
作詞・作曲・編曲：MIMI
8.リインカーネーション／ロクデナシ
作詞・作曲・編曲：とあ
9.ばいばいまたあした／ロクデナシ
作詞・作曲：はるな。 編曲：Amu
10.子供騙し／ロクデナシ
作詞・作曲・編曲：煮ル果実
11.水仙／にんじん ※初回限定盤, 音楽配信のみ収録
作詞・作曲：にんじん 編曲：加藤冴人
11.靴擦れ／にんじん ※通常盤のみ収録
作詞・作曲：にんじん 編曲：石倉誉之
12.アマネゾラ／ロクデナシ
作詞・作曲・編曲：雨河雪
