THE ALFEE、矢沢永吉、エリック・クラプトン……2023年に大台突破した武道館公演の新記録

 日本武道館で初めてポップスのライブが開催されたのは1966年のThe Beatles来日公演だ。当時は現在のようにアリーナに座席が設置されることはなく、また武道の聖地である日本武道館でライブを開催することを批判し、デモが行われるなど異様な雰囲気が漂っていたものの、現在に至るまで日本武道館が“ロックの聖地”と呼ばれるようになったきっかけは、紛れもなくこのThe Beatlesの来日公演であった。

 The Beatlesの来日公演から57年。今や日本武道館では年間を通して幾度ものライブが開催されている。若手アーティストにとって登竜門的な側面の強い会場である一方、ベテランアーティストにとって日本武道館は節目で公演を行うことが多い思い入れの深いステージでもある。本稿では、そんなベテランアーティストが2023年に更新した日本武道館ライブにおける新たな記録を振り返りながら、その歴史を覗いてみたい。

 つい先日、THE ALFEEが開催した『THE ALFEE 2023 Winter Genesis of New World Final 風の時代・冬』の12月23日公演で、バンドとして記念すべき100回目の日本武道館公演を達成した。1983年に初開催した武道館公演『OVER DRIVE-ALFEE 8.24 BUDOKAN-』ではステージにマーシャル製のキャビネットが積み上げられる演出や、1万人の観客全員にプロモーションビデオが収録されたビデオテープをプレゼントするなどのサプライズ施策が行われた。以降、2018年まで36年連続で12月23日公演を、1987年から2018年まで32年連続で12月24日公演を開催してきたTHE ALFEEにとって、日本武道館公演はクリスマスの恒例行事。来年以降もクリスマスの九段下にはTHE ALFEEの3人の歌声が響くことだろう。

 エリック・クラプトンは1974年の来日公演以来、約50年にわたって定期的に日本武道館でのライブを開催してきた。今年4月に開催した『黒澤楽器店 MARTIN GUITAR Presents ERIC CLAPTON LIVE AT BUDOKAN 2023』で海外アーティストとしては初となる100回目の日本武道館公演を達成。記念すべき100回目となった4月21日の公演では、ステージ上で主催者から花束が贈呈された。一方、自身の代表曲である「Layla(いとしのレイラ)」を披露しなかったことが大きな話題を呼んだが、メモリアルな公演であっても自身のスタンスを貫くクラプトンの姿勢は、史上最も重要で影響力のあるギタリストとしての矜持を感じさせる。

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