THE ALFEE、結成50周年直前のファンへの誓い「できる限り3人でここに立つ」 恒例イベント『風の時代★夏』2日目徹底レポート
夏に開催されるライブイベントの略称「夏イベ」。この言葉は、音楽界においてはTHE ALFEEの夏のコンサートのことを指す。2023年8月25日で結成50周年を迎える高見沢俊彦(Vo/Gt)、坂崎幸之助(Vo/Gt/Per)、桜井賢(Vo/Ba)によるロックバンド・THE ALFEEにとって「夏イベ」は、1982年の所沢航空記念公園での初野外ライブ以来、彼らを象徴するものであり、数々の偉業を打ち立ててきたものだ。2023年の「夏イベ」である『THE ALFEE 2023 Summer Genesis of New World 風の時代★夏』2DAYSが開催された会場は、横浜アリーナ。コンスタントにライブ活動を続けているTHE ALFEEにとって、1年のなかで最大規模の会場での公演となる「夏イベ」ではあるが、この2日間のチケットは早々にソールドアウト。やはり、「夏イベ」はファンにとっても特別な存在で、ここでしか味わえない臨場感と高揚感があるのだ。今回はそんな「夏イベ」2日目、7月30日に模様をレポートする。
縦長に配置された会場には前方のメインのステージ、中央と後方にもステージが見える。2019年の千葉・幕張メッセでの「夏イベ」を体験した人なら、「これはムービングステージだ」と気づいただろう。開演の17時が近づき、「たいへんお待たせしました」の会場アナウンスが流れ出すと、客席が期待と興奮に包まれる。前日の公演の情報を知っている人も多いのか、みな後方のステージのほうを向いている。会場が暗くなりいつの間にか観客の手拍子が揃い始め、大きくなっていく。ピアノのSEが流れ、後方のステージにシルバーの翼が出現し、その真ん中に立つメンバー3人にスポットライトがあたる。そのまま後方ステージがセンター席(通常で言うアリーナ席)の上をゆっくりと通過し、前方のメインステージ方向に移動する。3人がメインステージの定位置につき、オープニングナンバー「風の時代」へ。ステージ両脇のモニターにもステージ上のメンバーの姿が映し出され、歓声は一段と大きくなる。間髪入れずに、『第37回大阪国際女子マラソン』テーマソングとなった「勇気凛々」、ダブルAサイドシングルとしてリリースされた最新曲「Never Say Die」と続く。歌詞に〈風〉が出てくる3曲を演奏し、ライブのタイトルである『風の時代』に引き込んでいく。
MCでは坂崎が「今日は3人ともやる気ムンムン」と意気込みを表現。モニターにはグッズの「マラカスライト」点灯の指示が出て、観客は各自のライトを手に取る。そして、「STARSHIP -光を求めて-」のピアノのイントロが流れると、観客からはうっとりとため息がもれる。3声のコーラスに聴き惚れているのも束の間、爆発音が響き、高見沢が上手に、坂崎が下手に、メインボーカルを取る桜井がムービングステージで中央へ。客席のマラカスライトのブルーとパープルが、宇宙に点在する星のように煌めく。続く全英語歌詞の「FOR THE BRAND-NEW DREAM」では、メインボーカルを取る坂崎がムービングステージに、上手が桜井、下手が高見沢にチェンジ。七色のライトに縁取られた移動ステージから坂崎が投げたピックは、驚異的な距離で飛んでいった。続く「LONG WAY TO FREEDOM」では、坂崎が上手、桜井が下手へ。移動ステージにはギターを持たずにスタンドマイクで歌う高見沢。拳を上げながら飛び跳ね、時々、声出しOKとなった客席にマイクを向ける。
一旦メインステージの定位置に戻り、次は3人でムービングステージに上がり、中央に。「せっかく椅子をご用意していますので、まずは座りましょうか」の坂崎の声で、MCタイムに。いつの間にかステージに出現した椅子に座ってくつろぐ桜井、その膝の上に高見沢、坂崎が乗ったりと、相変わらずの和気あいあいとした雰囲気に客席が湧く。前日の29日には珍しく高見沢が担当した、「今夜ALFEEのライブが生まれて初めての人」を観客に聞く質問タイムは、この日は通常通り坂崎が。初心者の人のためのメンバー紹介、「トレンド入り」を目指すための「#ALFEE3人まだ地毛」の拡散を呼びかけたりと、会場を笑いで包む。
続くは、以前大野真澄より買い取ったと言うギター 1971年製のMartin D-45を高見沢が、同じくMartin D-28を坂崎が持ち、向かい合ってアコースティックギターをかき鳴らすイントロから始まる「Just Like America」。Martinのシャープなハーモニーに桜井の柔らかなベース音が馴染み、そこに絡む3人の歌声が懐かしくも優しい。曲が終わってここで恒例、桜井営業部長による「夏イベ」グッズであるお菓子のアナウンス。パッケージを拡大したパネルを高見沢と坂崎がラウンドガールのように客席に掲げて盛り上げる。