King Gnu、Vaundyの最新作も話題 藤井 風、サカナクション……膨大な楽曲数収めたアルバムが定番に?

 King Gnuが11月29日にリリースしたアルバム『THE GREATEST UNKNOWN』が大きな話題を呼んでいる。

 King Gnuにとって約4年ぶりのアルバムとなる本作には実に11曲ものシングル曲が収録され、この3年間の彼らを包括するような全21曲というハイボリュームな作品となった。そう書くとベスト盤のような印象を持つかもしれないが、本作はバンドメンバーの創作意欲が爆発した極めて芸術的かつオルタナティブな作品となっていることがKing Gnuファンのみならず音楽ファンの間で話題を呼んでいるのだ。既発曲の大半がアルバム用に大幅なアレンジが加えられていることに加え、7曲ものインスト、インタールードをアルバムの随所に配置することで各曲の繋がりがシームレスであることが本作の大きな特徴と言える。それぞれバラバラにリリースされたシングル楽曲がグッと纏まり、1本軸を通したようなコンセプチュアルなアルバムが完成した。さらに初回限定盤は今年5月からおこなわれたスタジアムツアー『King Gnu Stadium Live Tour 2023 CLOSING CEREMONY』最終公演の模様が収録されたBlu-ray Discを加えた特別パッケージ。とりわけ素材までこだわり抜いた印刷装丁が施されたパッケージと歌詞カードはストリーミング配信時代に対するKing Gnuのメッセージすら感じさせる。

King Gnu 4th ALBUM「THE GREATEST UNKNOWN」Teaser Movie

 ハイボリュームなアルバム作品といえば、Vaundyが11月15日にリリースした『replica』もそうだ。2枚組で構成される本作は全35曲という膨大な楽曲数を収めた作品となっている。楽曲数はもちろん、その振り分け方も特徴的で、既発曲はほぼ全てがリリース順にDisc2に収録され、Disc1の収録楽曲はその大半が新録曲という構成。Vaundyは『ROCKIN'ON JAPAN』12月号のインタビューにて、Disc2について「おまけみたいなもの」と語っており、自身の現在地を盛り込んだDisc1こそ、今聴いてほしい作品だと述べている。Disc1の収録曲は海外アーティスト、例えばデヴィッド・ボウイやNirvanaからの影響をこれまで以上に感じるものが多く、裏テーマでもある「オリジナルはレプリカの来歴から生まれる。」というVaundyのポップス制作におけるコンセプトが遺憾なく発揮された作風となっている。ストリーミング市場の隆盛と共に楽曲リリースの間隔が短くなり、ストリーミングサービスには大量のプレイリストが溢れかえっている。ミュージシャン自身の音楽性の変化もより流動的な現在において、既発曲を盛り込むというこれまでのアルバムの常識は果たして本当に有効なのか。本作はVaundyから音楽シーンに対する挑戦、そして問題提起としての側面も感じさせる。

Vaundy 2nd Album "replica" Disc 1 TRAILER (2023.11.15 release)

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