Kj「一番いいツアーだった」 The Ravens、歴戦の猛者たちが愛と情熱を爆発させたファイナルレポ
どこか懐かしい響きをもったロックンロールチューン「Kick Out The Jam」、ジャジーなグルーヴにのせたKjの「踊り狂え!」という声と櫻井のドラムソロがフロアを熱狂させた「Drunken Band」、そして渡辺の美しいピアノとKjのエモーショナルな歌に心が震えたバラード「Friends & Lovers」……など、ライブの後半も『SCARECROWS』の楽曲たちが豊かに響きわたる。そんな中、「百花爛漫」を終えたKjはThe Ravensがたどってきた道のりを振り返るように語り始めた。コロナ禍という「バンドマン人生でいちばん地獄の期間」に結成したThe Ravensは「みんなにLIQUIDROOMに連れてきてもらった」。「もっと旅をしよう、もっといっぱいライブハウスで遊ぼう」――そんな『SCARECROWS』に込められたリスナーの手を取りともに進んでいくようなメッセージは、苦しい日々を超えてきたからこそ生まれたものであり、何より生粋のバンドマンたちである5人が取り戻したステージに懸ける情熱と愛情そのものだった。それを受け取ったオーディエンスはライブ終盤に至ってますますそのボルテージを高めていく。「One Voice」や「Picnic」ではシンガロングも巻き起こり、LIQUIDROOMの一体感が絶頂を迎えるなか、「白鯨」でKjは自らフロアに飛び込んでみせた。
『SCARECROWS』のラストトラックである「Hermes」でライブ本編を終えると、アンコールではThe Ravensが生まれるきっかけとなったKjのソロプロジェクトから「Prom Night」も披露。来年4月から5月にかけて新たなツアーを開催することも発表し、Kjはそれまでに新しい曲を作って届けると誓った。そして最後に演奏されたのは「XOXO」。〈おやすみ また明日〉というラストのフレーズが、The Ravensとオーディエンスの間の「約束」のように響き渡った。
■セットリスト
The Ravens『Scarecrows Tour』
2023.10.29@恵比寿LIQUIDROOM
SE Hi There
1 Nimby
2 Black Jean Boogie
3 (曖昧さ回避)
4 楽園狂想曲
5 Maple Avenue
6 Scarecrows
7 Swallow Dive
8 Wayfarer
9 Picaresque
10 アポフェニア
11 Kick Out The Jam
12 Drunken Band
13 Friends & Lovers
14 ハムリア
15 百花爛漫
16 One Voice
17 メタモルフォーゼ
18 Picnic
19 白鯨
20 Hermes
En1 Anthemic
En2 Prom Night
En3 XOXO