04 Limited Sazabys、15年貫き続けた信念 メロディックパンクの裾野を広げた功績

フォーリミ、15年貫き続けた信念

 04 Limited Sazabysが10月18日に初のセルフカバーアルバム『Re-Birth』をリリースした。バンドの結成15周年を記念した本作は、1曲目の「Re-monolith」からラストに収められた「Re-swim」まで数々のライブでフォーリミの歴史を彩ってきた名曲全11曲を、フレデリック、松田”チャーベ”岳二、ミト(クラムボン)、中川大二郎(JYOCHO)、玉屋2060%(Wienners)、DAIKI(AWSM.)という個性豊かなアレンジャー陣を迎えて文字通り「rebirth」させたもの。たとえば通常盤の999円(税抜)というプライスも含めて、アニバーサリーに送るフォーリミからファンへの粋なプレゼントといったところだろう。

04 Limited Sazabys / Self Cover Album "Re-Birth" trailer

 とはいえ、当然ながらこのアルバムは単なる企画ものではない。むしろ色彩豊かなサウンドを聴いていて、僕は改めてフォーリミというバンドの根っこにある強靭な芯のようなものを見た気がした。すごく雑な言い方をすれば、このアルバムを聴いて、僕は改めて「ああ、フォーリミはやっぱりパンクバンドなんだな」と妙に納得したのである。

 たとえば、ジャングリーなギターやバンジョーの響きがヨーロッパのバスカーのような軽やかさと楽しさを演出する「Re-milk」(アレンジはチャーべ)や、もともとスケールの大きな風景をたたえた原曲を職人・ミトがゆったりとしたBPMで洒脱に料理したことでメロディと歌詞の切なさを存分に引き出した「Re-midnight curising」。フレデリックによる「Re-Squall」は真夜中に家でひっそりと奏でられているような静けさと孤独さが楽曲の別の表情を浮かび上がらせるし、「Re-Buster call」は中川大二郎の緻密なアレンジメントによってフォーリミのアンサンブルにさらなる深みをもたらしている。

04 Limited Sazabys「Re-monolith」(Official Music Video)

 どの曲をとっても、その音像だけでいえばパンクを軸にした「フォーリミ」という名前から連想するジャンルとは程遠い。だが、そんな多彩なアレンジだからこそ、このアルバムはフォーリミのフォーリミたるゆえんを逆説的に解き明かしていくようでもある。どの曲を聴いても、シンプルなコードとメロディ、そしてGENの書く歌詞の、どんな情景でもそれをズバッと突き刺すように言い切る強さと、それを歌う彼の声に宿る情感――つまり、この15年をかけて彼らが本当の意味で自由であるために磨き上げ、鍛え上げてきたロックバンドとしての骨格の部分が伝わってくる。

 もし彼らが「パンク」であるとしたら、それを象徴するのはそんな部分だと思う。どんな状況でも、どんな時代でも揺るぎないその背骨(信念、と言い換えてもいい)。流行り廃りとも、シーンの移り変わりとも関係なくフォーリミであり続け、フォーリミにしか鳴らせない音を鳴らし続けるーー言葉を変えれば、自分たちが自分たちとして存在できる「場所」を築き上げるという確固たる意思。そのブレなさこそがまさに抗い、戦い続けるパンクバンドとしてのフォーリミなのだ。

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