Swagcky、ヒット曲「ありがとう」は近くで支えてくれる人たちに向けた感謝の言葉 「忘れがちなことを口に出すことが大切」
TikTokに投稿した楽曲「ふりだし」が、デモ音源だったにもかかわらず再生回数460万回を突破し、各方面で話題となった湘南出身のシンガーソングライターのSwagckyが、2EP『Cherish』をリリースする。
「大切にする」「愛しむ」を意味するタイトルがつけられた本作は、前述の「ふりだし」正規レコーディングバージョンを含む全6曲入り。自身の家族や友人、ファンへの感謝の気持ちをモチーフにしながら誰もが共感できる普遍的なメッセージソングへと昇華させた「ありがとう」や、ノスタルジアをテーマにHiplinと書き上げた「Once upon a time」、夢を追いかける人の背中をそっと押す「愛夢」など、どの曲もSwagckyのポジティブな優しさに溢れている。
11月には渋谷WWWにてワンマンライブ『Nostargia』を控える彼に、今作の制作エピソードをたっぷりと語ってもらった。(黒田隆憲)
素直な言葉でそのまま思いを綴った「ありがとう」
ーーTikTok 再生回数が100万回以上を記録した新曲「ありがとう」は、どのように作ったのでしょうか。
Swagcky:この曲は、去年の夏くらいに自分の大事な人に届いてほしいという気持ちで書きました。アレンジも含め、大体のイメージまで仕上げた1コーラス分のデモを、1週間くらいでパパッと作ったのを覚えています。例えば「ふりだし」のように、曲によっては歌詞をじっくりと考えて作ることもあるのですが、「ありがとう」に関しては特に「狙い」などもなくスッと出てきました。素直な言葉でそのまま思いを綴ったので、TikTokでもそこを評価してもらえたのかなと思っていますね。
ーー「自分の大事な人」とおっしゃいましたが、誰か特定の人を思い浮かべたのですか?
Swagcky:特定の誰かというよりは、家族やチームのスタッフ、友人など自分の周りにいる人たちや、これまでずっと応援してくれているファンのみんなに向けて「感謝の気持ち」を書いてます。とはいえ不特定多数の人に向けてではなく、あくまでも自分自身の「パーソナルな思い」がまずモチーフとしてありました。それが、歌詞を書いていくうちにだんだん普遍的なものになっていったというか。おそらく聴いてくれた人それぞれが、自分の大事な人を思い浮かべながら聴ける楽曲になったのではないかと感じていますね。
ーーそれこそ、この曲が収録されたニューEPのタイトルが、「大切にする」「愛しむ」という意味を持つ『Cherish』です。
Swagcky:僕はSwagcky名義でデビューする以前、「MASAZAYN」名義で活動していた時期があったのですが、そのころは自分一人だけで想いを完結させているようなところがありました。でも「Swagcky」に名義変更し、さまざまな人と関わることが増えていく中で、「もし自分があのまま一人だったらここまでの活動はできていなかった」と改めて思っていますね。
ーーそれはなぜですか?
Swagcky:僕自身、「ふりだし」という曲がTikTokでバズったことがきっかけで、より多くの人に名前を知ってもらうことができたわけですが、何よりチームのみんなやファンのみんなに支えられているからこそ、ここまで来られたのだという気持ちが強くあります。そのことに対する感謝の気持ちをこの『Cherish』というタイトルに込めました。そういう意味では「ありがとう」も、本当にいいタイミングで生まれた曲だなと思っています。
前のインタビューでも話しましたが、僕はいつも「後悔はしたくない」という気持ちが根底にあるんです。何か新しいことへ一歩踏み出そうと思った時、勇気を出すことができたかどうかが「後悔するかしないか」につながるなと。何かを決断し、勇気を出すことって本当に大変じゃないですか。だからこそ、誰かの背中をほんの少しでも押してあげられるような楽曲を書いていきたいといつも思っています。それって、「今を大切にする」ということにつながると思っていて。
ーーなるほど。
Swagcky:「ありがとう」という言葉も、自分の最も近くにいて支えてくれている人に対してこそ、言うのを忘れてしまいがちだと思うんです。もしかしたら、「そんな当たり前のことわざわざ言う必要もない」と考えている人もいるかもしれない。でも、だからこそ「わざわざ口に出すこと」が大切なのではないかと。それが、「後悔しないためにも今を大切にする」という、Swagckyとしての僕の活動のコンセプトに繋がります。
ーー「ありがとう」で始まり、失恋を歌った「ふりだし」で終わる本作『Cherish』に、「人は出会いと別れを繰り返す」というストーリー性を感じました。
Swagcky:ありがとうございます。でも、実はそんなに深い意味はなくて……(笑)。収録する楽曲を並べてみたときに、「いい感じだな」と直感で思った通りの曲順なんです。「ありがとう」を最初に持ってきたのは、「まずは新曲を聴いてもらいたい」という気持ちも大きかったですし。ただ、そんなふうにストーリー性を見出してもらえるのはめちゃくちゃ嬉しいですね。
ーー続く「Once upon a time」は、Hiplinさんと共に作詞作曲を手掛けています。
Swagcky:実はこの曲、結構前に出来ていたんですよ。Swagcky名義で活動をスタートして半年くらい、曲作りに悩んでいた時期があったのですが、その時にHiplinさんから「こんな曲はどう?」と渡されたデモトラックを一緒にブラッシュアップして完成させました。なぜ今この曲を引っ張り出してきたかというと、11月に開催されるワンマンライブのタイトルが「Nostalgia」だったのもあるんです。
ここ最近、ミュージックシーンの動向をチェックしていると流行り廃りが早すぎて、楽曲一つひとつが記憶に残らないくらいすぐに入れ替わってしまうように感じていました。温かさを全く感じられない今の状況を、とても寂しく思っていたんです。そんななか、ふと懐かしい音楽に触れたとき「めっちゃいいわ」って浸れるものがあって。
ーーふと懐かしい音楽に触れたのは、どんなタイミングだったのですか?
Swagcky:X(旧Twitter)にも先日ポストしたのですが、槇原敬之さんの「もう恋なんてしない」のドリルミュージック風アレンジが、今すごく流行っているじゃないですか(笑)。それってあの曲が、めちゃくちゃ普遍的だからだと思うんです。あの曲から感じるような、「心地よい懐かしさ」を自分の曲でもやりたいと思い、「Once upon a time」を完成させ『Nostalgia』と名付けた自分のワンマンで披露することにしたんです。
1コーラス目はHiplinさんが、2コーラス目は僕が歌詞を書いていますが、Swagckyとして発信してきたこれまでのメッセージを踏襲しつつ、今の若者たちが大人になってこの「Once upon a time」を聴いた時に、「ああ、あの曲が自分たちの青春時代にあってよかったな」と思ってもらえるものにしたいなと。若い時に追い求めていた夢を振り返り、「あの時の自分は頑張っていたな」と感じられる歌詞になったかなと自負していますね。