乃木坂46、“継承と革新”によるアンダーライブの新たな始まり 個々の力強い成長でエネルギッシュなステージに

乃木坂46、アンダーライブ新章開幕

 今年3月29日に通算32枚目のシングル『人は二度夢を見る』をリリースした乃木坂46が、このシングル収録のアンダー楽曲「さざ波は戻らない」参加メンバーによる『乃木坂46 32ndSGアンダーライブ』を4月5日〜27日、東名阪の全3都市・4会場にて計8公演開催した。

 1期生と2期生が卒業して以降、初めて3〜5期生のみで行われる新体制のアンダーライブ。ダブルセンターの伊藤理々杏&林瑠奈を中心に、これがアンダーライブ初参加となる5期生を迎えた総勢15名(休演中の中村麗乃、岡本姫奈を除く)にて、グループ第二章の幕開けに相応しい圧巻のパフォーマンスを展開した。なお、本稿では4月27日に東京ガーデンシアターで迎えた千秋楽公演について記す。

 乃木坂46がアイドル界の頂点へと到達しようとするタイミングに加入した3期生、そして頂点へと君臨するグループに憧れて加入した4期生、さらに3〜4期生の活躍に触発されてオーディションを受けた5期生。参加したタイミングはそれぞれ異なるものの、道なき道を切り拓いてきた先輩たちの背中を見て育ってきた彼女たちの、乃木坂46に対する愛情は人一倍強いものがある。だからこそ、『32ndSGアンダーライブ』をかつてのアンダーライブにも負けず劣らず最高なものにしようという気概の強さは、ライブ本編はもちろんのこと、さまざまな場面からも伝わっていた。特に、現在のグループ内でもっとも先輩に位置する3期生が纏う不屈のオーラは、かつての1期生や2期生が放っていたそれと似たものがあり、こうして歴史は継承されていくのだと感じる瞬間も多々あった。

 このアンダーライブで最大キャパシティの会場となった東京ガーデンシアターでは、4月26〜27日の2日間にわたり、各日約8,000人、2日間で約1万6,000人を動員するという盛況ぶりを見せた。これも乃木坂46新章の幕開けをこの目で確認したいという、期待の表れではないだろうか。

 ライブは恒例となった出囃子「Overture」からではなく、ステージが幕で覆われた状態のまま「新しい世界」「マシンガンレイン」「左胸の勇気」の3連発でスタートする。「新しい世界」と「マシンガンレイン」はそれぞれ3期生、4期生が初めて正式参加したアンダー楽曲であり、前者を伊藤、阪口珠美、佐藤楓、向井葉月、吉田綾乃クリスティーの3期生5人、後者を北川悠理、黒見明香、清宮レイ、林、矢久保美緒の4期生5人でパフォーマンスしていく。また、曲中では「私たちが新しいアンダーライブを作ります。だから、ついてきてください!」(伊藤)、「新たな光を感じ始めた4期生の勢いは、止まることを知りません」(林)と各期を代表したメンバーが、力強いメッセージを届けていく。さらに、5期生はアンダー楽曲の原点である「左胸の勇気」を池田瑛紗、小川彩、奥田いろは、冨里奈央、中西アルノの5人で歌唱。ここでは池田が「5期生にしか出せない何かがあると信じて、すべてを出し切りたいと思います」と宣言し、加入から1年経ったばかりとは思えないほどの頼もしさを見せる。そして、エンディングにて3〜4期生も加わると、新たなフェーズへと突入したアンダーライブに対する“所信表明”を終えて、ライブは「Oveture」とともに本格的にスタートした。

 ステージの幕が開くと、3段組になったシンプルなセットを背に、逆光の中で白い衣装を着用したメンバーが姿を現し、最新楽曲「さざ波は戻らない」を披露。従来のアンダー楽曲らしさと、今の乃木坂46らしいモダンさが融合したこの楽曲では、伊藤&林の力強くも儚さのにじみ出たパフォーマンスを軸に、メンバーが各々独特の空気を作り上げていく。まさに乃木坂46新章、およびアンダーライブ新章の幕開けに相応しい1曲だ。そこから「ここにいる理由」「あの日 僕は咄嗟に嘘をついた」といった王道のアンダー楽曲が連発されると、オーディエンスの熱量も一気に加速。思い思いのメンバーの名前をコールしたり、曲中に合いの手を入れるなどしてライブに華を添えていく。思えば観客の声出しが解禁されて以降、今回が初めてのアンダーライブ。今年2月に『乃木坂46 11th YEAR BIRTHDAY LIVE』を経験しているとはいえ、アンダーライブという独特な空間で味わう声出し可能公演は、メンバーにとってもまた格別なものがあったのではないだろうか。

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