NewJeans、Mrs. GREEN APPLE、水曜日のカンパネラ……豪華アクト集結した『Coke STUDIO SUPERPOP JAPAN 2023』レポ
「準備できてますか? 盛り上がりましょう!」――後半を盛り上げるのは、5人組ガールズグループ・NewJeans。「Zero」で幕を開けると、HAERIN(ヘリン)も「私たちが大好きな曲です」と語る「Hype Boy」がその後を追う。この日のために用意された生バンドとの相性も抜群で、大樋祐大(Key/SANABAGUN.)、磯貝一樹(Gt/SANABAGUN.)、新井和樹(Ba/King Gnu)、Soy(Dr)の4人が彩るサウンドも大きな見どころの一つだ。MCでは、「お会いできて本当に嬉しいです。今日は皆さんと素敵な思い出を作りにきました」(MINJI/ミンジ)、「熱気がすごいです! 本当にたくさんの方が来てくださっていますね! 次の曲も期待してくださいね!」(HANNI/ハニ)と話したメンバーがステージ上をまわり、客席に笑顔を届けながら披露したのは「Cookie」。ギターが効いたロックver.で、何通りにも楽しめる楽曲のポテンシャルの高さを窺わせた。
「ではこの雰囲気のまま次の曲に行ってみましょうか」とMINJIが投げかけると、「次の曲はなんだろう?」と1フレーズを歌い出すメンバー達。グループの人気曲の一つでもあり、BTSやTWICEに続いてデビュー僅か6カ月で米Billboardチャート「Hot 100」にランクインした楽曲「Ditto」を歌い上げる。「本当に熱気がすごいですね!」と驚いたような表情を見せたHYEINと、「それな、それな〜」と日本の若者言葉を見事に使いこなすMINJIの掛け合いも微笑ましい。続く「OMG」で縦1列に並び“愛嬌リレー”をして見せると、ここで一度メンバーは袖に捌け、流れたのは「ETA」や「Super Shy」など、7月発売の2nd EP『Get Up』収録楽曲のMVを含めたVCR。再度登場したメンバーは同EP収録の「New Jeans」と「Super Shy」を立て続けに披露した。
最後に、全員でメッセージを届けたNewJeans。「皆さんのお陰で、すごく楽しいステージになりました」(HAERIN)、「エネルギーをたくさんもらいました。最後まで盛り上がってくださってありがとうございます」(HANNI)、「皆さんと一緒に楽しんだこの時間がとても恋しくなると思います」(DANIELLE/ダニエル)、「今日はとっても楽しかったです。本当にありがとうございました!」(HYEIN)と流暢な日本語で想いを伝え、今年7月に韓国で行われた自身初のファンミーティングで初披露となった楽曲「ETA」がラストナンバー。「愛してる! バイバイ、またねー!」と笑顔を輝かせ、ステージを後にした。
一転、グリーンに染まる会場中のライトの数々。トリを飾るのは、Mrs. GREEN APPLEだ。登場早々に歌うのは「私は最強」。1曲目から心拍数を一気に高めていくこの選曲に、観客が持つ緑のライトも大きく揺れることを止められない。ギターのようにかき鳴らす大森元貴(Vo/Gt)の歌声が会場の温度を一気に高め、ステージ上と客席の双方から発される熱いエネルギーが化学反応を起こしていた。真っ赤に照らされたステージを任されたのは、不動の定番曲「インフェルノ」。ライブならではのアレンジを効かせた大森の迫力ある歌声が聞こえてくる。
「楽しんでますか! Mrs. GREEN APPLEです!」とよく通る大森の声に続いて流れ始めたのは、自身最速のストリーミング1億回再生を突破した「ダンスホール」。軽やかで気分を上昇させるこのダンスナンバーに、飛び跳ねる観客の姿も少なくないが、そんな会場を覗き込むように見渡し、大きく手を振る藤澤涼架(Key)の楽しそうな表情も脳裏に焼きついた。差し込むような明かりに照らされた会場を“ダンスホール”に仕上げるのは、ステージに設置されたミラーボール。青りんごを想起させる緑の光に、「いいね、緑が綺麗だ! ありがとう!」と大森は心動かされた様子だった。右足を90度に上げた片足立ちでもブレることを知らない大森の歌唱力には感嘆するばかりだ。どんな体勢でも変わらない歌声を担保された彼のファルセットが際立つ「Blizzard」では、ステージ上にあぐらを書きながら2番サビを歌う姿も。爽やかなスカイブルーに照らされたステージで、透明感ある高音を響かせた。対極に、ピンクのライトがステージを塗り替えた「Loneliness」では、グラスを片手に熱唱した大森。翌日に誕生日を控えた若井滉斗(Gt)の華麗なギターパフォーマンスも引き金となり、観客の腕もいつの間にか大きく上がってバウンスされている。
「今日一日大盛り上がりでしたね! 素敵なアーティストさん達と素敵な時間を過ごして、いい思い出作れましたか?」と藤澤が言うと、「楽しかったもんね、だから次が最後で大丈夫だもんね」とあっという間の最後を予感させる大森。名残惜しさを滲ませる観客からの「え〜〜〜!」に対し、「全員でかかってこい!」と何故か戦闘態勢の大森に、若井は「なんで喧嘩腰なの、やめてそういうの」と苦笑。今年で結成10周年を迎え、幅広いファン層からの支持を誇るバンドの軌跡を証明するとともに、3人の関係性も感じさせていた。また、会場を染めた緑色のライトを見つめ、「ペンライトも緑にしていただいて。嬉しい! ありがとうございます」と感謝を伝えた。
「最後にパーっとなってね、シュワシュワっとなって終わりにしたいと思います」と、コカ・コーラの炭酸とかけた言葉でクライマックスを飾ったのは、「Magic」。爽快感たっぷりのナンバーに、〈Hey!〉で飛び跳ねる観客の身体もいつの間にか音楽と一体化していた。最後に銀テープが降り、「『Coke STUDIO SUPERPOP JAPAN 2023』ありがとうー!!」と、長々と丁寧にお辞儀をしてステージを後にした3人。大森の右手には、最後までしっかりとコークレッドのドリンクボトルが握られていた。
初開催でありながら、これまでにないフェスの形をまた新たに生み出した本イベント。ダンスパフォーマンスにアイドル、ロックバンドなど、ジャンルをまたいだ多様なアーティストを一度に楽しむことができる意味でも貴重な音楽体験となったが、何よりも心を動かされたのは、音楽好きが集まることで、音楽を媒介にした非常にいいバイブスが無意識的に生まれ、場内に蔓延していたことだ。コカ・コーラを通じた音楽の魅力が今後どのように発信され、次世代フェスイベントの可能性を広げていくのかに注目していきたい。
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