AZKi、歌を諦めなかった道のりが詰まったメジャーデビュー作 分岐点となった出来事、新しい表情への挑戦も明かす

AZKi、歌を諦めなかった道のり

「これからも続いていくよという、未来に希望が持てるタイトル」

――2曲目「藍深く」はしっとりとしたピアノバラードになっていますが、この曲についても制作過程を教えてください。

AZKi:私はもともと「glow」のようなkeenoさんの曲が大好きで、ビクターさんに「機会があれば、ぜひkeenoさんに曲をお願いしたいです!」と伝えていたので、それが実際に叶った楽曲です。keenoさんとぜひバラード曲で何か一緒にできたらいいなと思っていて、実際に上げていただいた曲を聴いても、やっぱりkeenoさんだなと思いました。「glow」のような曲を聴いていた自分の思い出も蘇りましたし、今回は私のために作ってくださった曲なので、気合を入れてレコーディングに臨みました。この曲はストレートにメロディが美しい曲で、書かれている歌詞とメロディがリンクしていて。それをどうやったら私の歌で表現できるだろうか、と考えて歌っています。自分の地声と裏声に変わる音程では、静かなところは裏声で綺麗に歌ったり、後半につれて盛り上がっていくところは地声でストレートに伝わるような歌い方にしています。

――曲としてはシンプルな構成ながら終盤に向けて盛り上がっていくように感じられるのは、そういう工夫がされているからなんですね。AZKiさんのゲーム配信での人気シリーズとなっている『GeoGuessr』も彷彿とさせる楽曲「FreeGeo」はどうでしょう?

AZKi:この曲は、私の新しい一面じゃないですけど、ポップで可愛いエレクトロやEDMっぽいものを作りたいと思って書いていただきました。(EDMの特徴でもある)サビが歌ではなくてドロップになっている楽曲なので、ライブでもすごく踊れるんじゃないかなと思います。でも一方で、歌詞には〈もっと 歌っていたいよ〉〈旅路はまだ途中だよ〉というふうに、自分が今まで活動してきて思ったことを込めてくださっているエモさもある曲なので、言葉も大事に歌おうと思っています。AZKiの活動を見て、楽曲を作ってくださったのかなと伝わってきました。

――ナユタン星人さんが担当した4曲目「ω猫(おめがねこ)」はどうですか?

AZKi:ビクターさんと楽曲の方向性を話し合っていたときに、「ナユタン星人さんにポップで可愛い曲を書いていただこう!」という話になってできた曲です。私がこれまで辿ってきたルートは「α」「β」「γ」とあって(ギリシャ文字の1番目、2番目、3番目)、その最後はギリシャ文字の「ω」なので、「みんなと最後まで一緒に行きたい」という意味を含んでいるんです。それに加えて、ωが猫の口元に似ていることからこのタイトルになりました(笑)。

――AZKiさんが以前発表していたオリジナル曲「猫ならばいける」のことも思い出しました。あの曲は「猫になりたい曲」でしたが、今回の曲では完全に猫になっています。

AZKi:確かにそうですね(笑)。この曲は「ルートγ」に入ったことを歌った曲で、「猫ならばいける」と内容的に関係があるわけではないんですけど、私にとっては2つ目の猫曲になりました。

――ポップでキュートな楽曲が猫曲になりがちなのは、何か理由があるんでしょうか?

AZKi:私が猫曲にしてくださいと言っているわけではないんですけど、AZKiに猫要素を見出していただいているのかどうなのか……自分では分からないです(笑)。この曲も歌うのはすごく難しかったです。レコーディングスタジオで、「今日は猫になってください」「AZKiさんは猫です」と言われまして。「私は猫、猫」と意識して頑張りました。ただ、レコーディングが朝一だったので最初はなかなか元気が出せなくて(笑)。最初に録ったテイクと最後に録ったテイクのテンションが全然違ってしまったので、最初の部分をより猫になったAZKiで録り直したりもしました(笑)。台詞感が強い曲なので、そのあたりも大事にしつつ歌っています。歌詞には〈君とずっとずっといたい〉というラブソング的な可愛さもあるので、そういう要素も表現しつつ、いろんな人に歌ってもらえたらいいなと思って収録しました。

――この曲は合いの手も含めて、カラオケで歌うとかなり楽しそうですね。

AZKi:そうなんです。みんなでニャンニャン合いの手も含めて歌ってもらえたら嬉しいです!

――今回の『3枚目の地図』はAZKiさんにとってどんな作品になったと思っていますか? また、タイトルの由来についても教えていただけると嬉しいです。

AZKi:本当に4曲とも、それぞれに違う雰囲気の音楽が楽しめる作品になったと思います。例えば、元気を出したいときは「ω猫」を聴いてほしいですし、ちょっと夜静まったときには「藍深く」を聴いてほしいですし、「FreeGeo」は通勤や通学で聴いてもらってもいいかもしれないですし、「エンドロールは終わらない」は、みんなが何かにつまずいたり、どうしてもマイナスな気持ちになってしまったときにじっくり聴いてもらいたいです。そうやって聴きどころが違う楽曲が入っているので、いろんな場面で聴いてもらえたら嬉しいですね。

 タイトルに関しては、これまでルート「α」、ルート「β」という2つのルートがあって、今回のメジャーデビューを機にルートが3つ目の「γ」に移行したので、そのことを表現したタイトルにしています。そんな私自身のこれまでを伝えられるものでありつつ、「まだまだこれからも続いていくよ」という、未来に希望が持てるようなタイトルにしたいと思って、「このEPを地図にして持っていこう」「このEPが目印になったらいいな」と思ってこの名前にしました。

――この作品でいよいよメジャーデビューとなります。今どんなふうに感じていますか?

AZKi:あのとき辞めなかったから今があると思っていますし、メジャーデビューにあたってもいろんな人が関わってくださっていることをすごく感じていて。これは開拓者のみんなのおかげでもあるので、普段の配信のような何気ない瞬間も大事にしながら、みんなと新しい景色を描いていけるように、これからも頑張っていきたいと思っています。

――そもそもAZKiさんの名前に「U(You)」が入っていないのは、開拓者の皆さんも含めて「AZKi」だということが表現されているそうですね。

AZKi:そうなんです。活動を始めた最初の頃から言っていたことではなかったんですけど、こうやって活動を続けてきた今だからこそ、その意味をすごく感じています。ひとりではバーチャルな世界でシンガーとしてやっていくことはできなかったし、それこそ開拓者の皆さんやいろんなスタッフさんの力があってAZKiがいることを改めて感じています。

――最後に、これからやっていきたいことがあれば教えていただけると嬉しいです。

AZKi:まずは、またライブをやりたいです! またみんなとライブやイベントで音楽を楽しむ機会を増やしつつ、今後も頑張っていけたらいいなと思っています。この5年間、いろいろなことを経験してきた中でも、音楽で何かを伝えていきたいという気持ちは変わっていなくて、ライブも含めて様々な人と一緒に活動したり、普段活動できていることが本当に幸せだなと改めて思うようになりました。なので、タイアップ曲を担当させていただいて、もっといろんな人に聴いてもらいたいという野望ももちろんありますけど、普段の一つひとつの積み重ねを大切にして、それを大きなことに繋げていきたいと思っています。

 あとは、AZKiと開拓者の皆さんで行くバスツアーとかもやってみたいです(笑)。どこかお出かけ先に行って、そこでライブをするという。そういうのもいいかなって思ったりしています。

■リリース情報
AZKi メジャーデビューEP『3枚目の地図』
2023年10月4日(水)リリース
・通常盤(CDのみ)¥2,200税込
・初回限定盤(2CD)¥3,300税込

<CD収録内容>
M1.エンドロールは終わらない(作詞/作曲/編曲:瀬名 航)
M2.藍深く(作詞/作曲/編曲:keeno)
M3.FreeGeo(作詞/作曲/編曲:Twinfield)
M4.ω猫(作詞/作曲/編曲:ナユタン星人)

<CD Disc-2> ※初回限定盤のみ
M1.エンドロールは終わらない Pf ver.
M2.藍深くPf ver.
M3.FreeGeo Pf ver.
M4.ω猫Pf ver.

AZKi メジャーデビュー特設サイト

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