湊あくあ、宝鐘マリン、角巻わため、常闇トワら擁するBlue Journey 1stワンマンで感じたホロライブ音楽企画の新基軸

Blue Journey、初ワンマンライブレポ

 国内にとどまらず、海外でも活躍するVTuberを多数輩出しているホロライブプロダクション。近年、ホロライブプロダクションに在籍するVTuberの音楽活動が本格化しており、今年に入ってから、女性VTuberグループ・ホロライブによる新しい音楽プロジェクト「Blue Journey」が始動した。これまで展開してきた「hololive IDOL PROJECT」では、プロジェクト名にアイドルというワードが冠されているように、ポップなアイドルソングに乗せて明るく元気なメッセージを中心に届けてきたが、一方で「Blue Journey」は公式プロフィールの言葉を借りれば「輝きだけではなく、 隠したくもあり声枯れるまで叫びたくなるような感情を、楽曲と世界観で表現していくことで、 笑顔の一助になることを目的」としているプロジェクトである。

Blue Journey『夜明けのうた』
Blue Journey

 9月6日に「Blue Journey」の1stアルバム『夜明けのうた』がリリースされ、その翌週の9月13日に同作と同じタイトルを冠した初ライブが東京ガーデンシアターにて開催された。本番の数日前から、公式Twitterでは参加メンバー23名のライブへ向けた意気込みが次々と発表された。それらのコメントでは、今回のライブはこれまで見せてきたアイドルとしてのキラキラとした一面だけでなく、それぞれのメンバーの新しい一面を見せるものであることを示唆していた。この記事では、「Blue Journey」の旅が本格的に幕を開けた記念すべき初ライブの模様を振り返っていく。

 開演前のアナウンスでは、今回の公演は歌と朗読により構成される一つの旅のようなライブであることが伝えられた。そのアナウンスの通り、無数の光を映し出したオープニング映像を経て、そのままメンバーの朗読が始まる。本当は一緒にいたいのに、強がって、素直になれなくて、傷付けてしまう。正直に言葉を交わすことが怖くて、しっかりと本音を伝えることができずにいる。そうした独白の数々を経て「これは、そんな僕の物語」という結びの言葉へ至り、そのまま1曲目の「僕は独りだ」(歌唱/湊あくあ・宝鐘マリン・角巻わため)へ。ロックサウンドに乗せて、〈だから僕は独りだ〉という胸を締め付けるような切実な感傷が満員の会場に共有されていく。続く、「君になりたかった」(歌唱/さくらみこ・宝鐘マリン・尾丸ポルカ)では、〈君〉へ向けた痛切な想いを伝える3人のエモーショナルな歌声に、観客の手拍子が重なっていく。

Blue Journey『夜明けのうた』

 不知火フレアの「今夜は、皆さんと共に旅に出たいと思います」というショートMCを経て始まった「また傷に触れる」(歌唱/不知火フレア・常闇トワ・尾丸ポルカ)では、巨大スクリーンに全メンバーの名前と「夜明けのうた」というライブタイトルが映し出され、改めて今回のライブの開幕を告げる。

 そのまま2度目の朗読パートへ。最初のパートの流れを受けて、「だから、僕は独りだった」「つまらない同情はいらない」といった独白が紡がれた後に「ラブソングはいらない」(歌唱/白上フブキ・兎田ぺこら・雪花ラミィ)へ。4つ打ちのビートを推進力にして、傷付きながら駆け抜けていく青春時代を肯定し、続く歌唱メンバーが空中ブランコに乗って登場した「astro」(歌唱/猫又おかゆ・白銀ノエル・天音かなた)では、可憐なメロディを紡ぎながら〈僕らは青かった〉という結論へと向かっていく。

 その後の「不純矛盾」(歌唱/戌神ころね・兎田ぺこら・姫森ルーナ・博衣こより)でも、4人の矢継ぎ早なマイクリレーを通して、〈僕〉が抱える胸の痛みや悲しみをダイレクトに会場へ届けていた。それぞれの楽曲と朗読の組み合わせによって、アルバムとは異なる新しい物語が紡がれていく過程に、気づけばどんどん没入していくようなステージが展開される。

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 「遠ざかる景色の中、また夢を見ていた」という白上フブキのショートMCから始まった「泡沫」(歌唱/アキ・ローゼンタール・白上フブキ・鷹嶺ルイ)と、その後の「夏を許せない」(歌唱/大神ミオ・猫又おかゆ・鷹嶺ルイ)の2曲は、無限であるかのように思えた時間は有限であり、いつか私たちは大人になっていくという真実を伝えていた。

 そして、湊あくあの「あの日、言えなかった僕らへ」というショートMCを受けて始まった「あの日の僕らへ」(歌唱/湊あくあ・天音かなた・雪花ラミィ)では、〈ずっと言いたかったこの気持ち/きっと今なら言えるよ〉という決意が高らかに歌われ、ここから次第にライブはクライマックスへと突入していく。

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