サザンオールスターズ、世代を超えて受け渡し続けるメッセージ 配信チャートでも絶好調の最新曲から考える
サザンオールスターズが、9月18日にリリースした新曲「Relay〜杜の詩」が9月27日発表のオリコン週間デジタルシングル(単曲)ランキングで1位を記録した(※1)。AdoやKing Gnuといったデジタルネイティブなファンを抱える新進のアーティストたちがひしめくこのチャートで、デビューから45年を迎えたサザンが首位を獲得したという事実に、正直、驚きを禁じ得ない。
本曲は初週ダウンロード数が約2.3万を記録。しかも2位以降のアーティストと圧倒的な差をつけての首位だ。9月27日発表のビルボードジャパンDownload Songsで初登場1位、ラジオ・オンエアチャート(集計期間:2023年9月18日〜9月24日プランテック調べ)での1位も含め、各種音楽ランキングで首位を獲得。ストリーミングサービスにおいてもSpotify Japanの急上昇チャートで上位、Apple Musicでもデイリートップソングの200位以内にチャートインし続けている。アナログレコードの時代にデビューしたにも関わらず、時代の変化に対応しながらこうしたデジタルの時代でも若手のアーティストやアイドルたちに混じって大きな存在感を示しているのは、ひとえにサザンという稀代のロックバンドが、音楽というものに常に真摯に向き合ってきた証だと、私は思う。
今夏のサザンは3カ月連続新曲配信リリースという意欲的な企画を行ってきた。その第1弾となった「盆ギリ恋歌」は、妖しく蠱惑的な表現が光る一曲で、歌詞には日本的なモチーフで貫かれた言葉遊びが炸裂しつつも、江ノ島やサザンビーチなども登場する地元愛的な側面を併せ持っている。サザンらしくエロティックなエッセンスを散りばめながらも全体の印象としてはユーモラスに昇華するその手腕は唯一無二のものと言っていいだろう。1993年の「エロティカ・セブン EROTICA SEVEN」や桑田佳祐のソロ曲「ヨシ子さん」(2016年)などを彷彿とさせる、桑田佳祐の十八番と言うべき艶歌だ。
対して、8月に発表された第2弾「歌えニッポンの空」は、真夏のリリースに相応しい爽やかなラテン風味のナンバー。前曲と比べると真逆とも言える爽快感のあるストレートな作風で、〈ここが故郷(ふるさと)歌え日本の空!!〉や〈麗しMy Hometown〉といった生まれ育った土地への愛情を歌っている。