サザンオールスターズ、世代を超えて受け渡し続けるメッセージ 配信チャートでも絶好調の最新曲から考える
そして今回1位となった「Relay〜杜の詩」は、サザンが長年レコーディングに使用している青山のスタジオが近くに位置する明治神宮外苑の再開発計画について歌った曲だ。しっとりとしたサウンドメイクのなかにも、〈身近な場所で何が起こってるんだ?〉や〈分かり易い言葉で/どなたか教えてくれませんか?〉といったフレーズに、作り手の強い問題意識を感じる。「我々のみならず、若い世代が考えるきっかけになればと。そういうことを音楽で継ないでリレーしていくのが私に出来ることだと思い、歌にしました」と語っている(※2)。
湘南、ニッポン、青山。いずれもサザンにとって“故郷”と言える場所をテーマとし、それを音楽的にもメッセージ的にも三者三様の形で表現した3カ月連続配信であった。とりわけ「Relay〜杜の詩」に関しては、制作された背景や楽曲に添えられたコメントを鑑みれば彼らのような音楽シーンの第一線で活躍する存在が今もなおこうしたメッセージ性の色濃い楽曲を作り続けている姿は、若い世代に勇気を与えるに違いない。
いまさら書くまでもないが、サザンは日本人であれば誰もが知るヒットソングを世に放ち続けてきた。1978年に「勝手にシンドバッド」でデビューして以降、昭和では「いとしのエリー」や「みんなのうた」を発表。平成に入ってからは「真夏の果実」や「涙のキッス」、「TSUNAMI」といった名曲を生み出し、国民的バンドとして揺るぎない人気と地位を築いてきた。令和になった今もその勢いは衰えず、まるで自らの血に流れる歌謡の遺伝子を後世に語り継いでいくかのように歌い続けている。各時代を股に掛け、その時代時代の新しいトレンドを貪欲に取り入れながら、まさに音楽のバトンを受け渡す“リレー”をし続けている。だからこそ、サザンはどの時代のリスナーにも受け入れられているのだろう。
※1:https://www.oricon.co.jp/news/2296279/
※2:https://special-sas45.southernallstars.jp/
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