キョンシーのCiちゃん、春日部つくし、杏戸ゆげ、花奏かのん……VOCALOID β-STUDIOに起用、それぞれの歌声の個性
ヤマハが新たに展開している期間限定プロジェクト VOCALOID β-STUDIO。“ボカロ”の枠に収まらない合成音声が打ち込みのドラムやギターのように受け入れられる未来のために、研究段階の技術を使ったDAWプラグイン「VX-β」を無料で配布し、その歩みを多くの人の耳に聞こえるようにしている。その特徴は圧倒的な自然さ。厚みのある中低音域や息遣い、ガサつき、歪みまでも表現されたクオリティの高さが、これまでのVOCALOIDとは一線を画す。
そこに、バーチャルで活躍するアーティストをベースに、新たなボイスバンクが4つ追加される。その技術力の高さや業界の最前線への視線を知るためにも、ここではボイスを提供した4人を、その歌声を中心に紹介しよう。
キョンシーのCiちゃん
VTuberクラブシーンを席巻したユニット BOOGEY VOXXのボーカル担当として活躍していたキョンシーのCiちゃんは、事務所などに所属しない個人勢としてはトップクラスのボーカリストの1人。特筆すべきはなんといってもそのパワフルさ。突き抜けるロングトーンや随所にかかるコブシが、聴く人の背中を力強く押してくれる。シャウトやファルセットなどのテクニックも含め、業界広しといえど稀有なタイプのシンガーだ。そうした、真似のできない歌声だからこそ、今回の抜擢に繋がったのだろう。
春日部つくし
春日部つくしは、“VTuber黎明期”と呼ばれる2018年から「埼玉県民バーチャルYouTuber」として活動するVTuber。2021年からは埼玉バーチャル観光大使に就任している。テキスト読み上げソフト『VOICEVOX』に春日部つむぎのモデルとして声を提供しており、今回の起用も必然と言えよう。ボイスバンクの名称も「春日部つむぎβ」となっている。透明感のある声質に正確な音程が乗り、まさにボカロになるべくして生まれたような歌声を持ちながら、セクシーな吐息の表現は繊細なもの。それだけに、息遣いや癖まで描き切る「VX-β」との親和性を感じられるだろう。