キョンシーのCiちゃん、春日部つくし、杏戸ゆげ、花奏かのん……VOCALOID β-STUDIOに起用、それぞれの歌声の個性

杏戸ゆげ

 杏戸ゆげは、ななしいんく所属のVTuber。ゲーム実況や雑談などこれぞVTuberといったスタイルのストリーマーだが、“歌ってみた”動画のジャンルは幅広く、選曲センスが光る。彼女の歌声は、その幅広さにこそ真価がある。とろんとした声質を活かし「トウキョウ・シャンディ・ランデヴ feat. 花譜, ツミキ」(MAISONdes)では花譜の複雑なピッチをポップに歌いこなす一方、可不が歌う「きゅうくらりん」(いよわ feat. 可不)では静かなウィスパーで違う面を見せる。自身の魅力を完全に把握し、その時々にあわせて適切な引き出しを開けるのだ。「レトロイド」のVX-β版ではハスキーな成分がフィーチャーされており、ボイスバンクの仕上がりにも期待が高まる。

レトロイド / Junky feat.杏戸ゆげ
レトロイド / Junky feat.杏戸ゆげβ

花奏かのん

 花奏かのんは、杏戸ゆげと同じくななしいんくで活動しているバーチャルベーシスト。ぼっちぼろまるやsumeshiii a.k.a.バーチャルお寿司の楽曲に参加しながら、多くのオリジナル曲を持ち、今回の公開された4曲の中では唯一両バージョンを作詞作曲から動画まで1人で手掛けている。サカナクションの「新宝島」を『あつまれ どうぶつの森』で再現した動画がバズり、山口一郎本人にまで届いたというエピソードもある。ダウナーながら芯のある歌声を持ち、ポップさと透明感の共存した自身の楽曲とマッチする。作曲、演奏、歌唱まで1人でこなすクリエイターが数多くいる昨今だからこそ、その大きな味方となりえるプロジェクトに選ばれたのだろう。

【オリジナル曲】シャングリラ / 花奏かのん
【オリジナル曲】シャングリラ / 花奏かのんβ

 今回の4人は、バーチャル界で支持を得ながらも別々の方向性で活動するアーティストたち。彼らを集めた視野の広さや、その歌声の再現を可能とする技術力には驚かされる。VOCALOIDが、ある種の代弁者として歌うのではなく、シンガーのライブラリとなるのもそう遠くないかもしれない。

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