幸祜、『SINKA LIVE』第二弾で示したロックシンガーとしての決意 CIVILIAN コヤマヒデカズら“プレイヤー”とのシナジー

幸祜、ロックシンガーとしての決意

 仮想都市・神椿市を舞台としたコンセプトライブシリーズ「SINKA LIVE」。去る2023年9月3日には、“バーチャルロックシンガー”の幸祜が2nd ONE-MAN LIVE『PLAYER Ⅱ -神椿市肆番街-』を開催し、本ライブシリーズの2番手を務めた。彼女にとって1年半以上ぶりのワンマンライブかつ、有観客だった初ライブとは違い、今回は完全なバーチャル空間が舞台に。加えて音楽性拡張を目的とした現役のバンド“プレイヤー”による“幸祜バンド”の結成など、諸々の公演背景を鑑みれば、此度のライブは“プレイヤー”としてシンガー・幸祜が実在し続けるためのアグレッシブな挑戦の場であるとも推察できる。

幸祜 2nd ONE-MAN LIVE『PLAYER Ⅱ -神椿市肆番街-』
幸祜

 「事象の測地線(K)」を現在地とし、開幕を飾ったのは「この世界に口づけを」。力強いバックバンドの生演奏と共に幸祜は、「harmony」「ミラージュコード」、そして大幅にエッジーなバンドアレンジへ変貌を遂げ観測者を驚かせた「錘」を続けざまに熱唱していく。バーチャル空間を開催地としつつも“生のステージ”感が確かに伝わるカメラワークも、その臨場感に間違いなく一役買っているだろう。

 4曲を歌い終え、出現した機動装置に乗りステージを移動する幸祜。 “type 2nd ζ Capricorni”への衣装チェンジを経て、続く「レイヴン・フリージア」「bliss」では豊かな表現力をその歌声で大いに発揮。斬新なライブアレンジによる「瞑目」「Dear」の連続披露も、ライブを見守る聴衆のコメントを大いに沸かせる。

 一方MCでは幼さの残る無邪気な一面を見せる一幕も。まるで聴衆が本当に目の前に居るかのように、笑顔で手を振る姿が印象的だ。観測者との“恒例のやりとり”も交えつつ、「私の奥の奥にある、肉ではなく骨の部分を曝け出していくことになると思います」と抱負を語る。決意の滲む表情のままに、重厚感を増したライブアレンジと仮想空間を広く活用した演出の「Abstractions Void」で聴衆を魅せた後、アウトロと共に画面には「SINKA LIVE EPISODEⅡ Starring.Koko」の文字が。舞台の端へ歩を進めた彼女は中央へ向き直り、そのまま迷いなく後ろへ倒れ込んでステージから宙へ落下。重力に従い落ちる彼女を遠目に観測し、ここで初めて公演の“本当の開幕”を告げるタイトルクレジットが一面に表示された。

 衝撃的な展開から一転、スタイリッシュなムードでここからは本シリーズライブ恒例の“ディスコタイム”へ。神椿市へ向かう道中、各シンガーの関連曲を本公演限定のリミックスバージョンで堪能する一幕となる。軽やかに移動装置へ着地した幸祜は、衣装も“type-real Alnair”へとフォームチェンジ。長いポニーテールを揺らし、「LIT」「TIME」「閃光の彼方」「白昼夢」、CeVIO AI 音楽的同位体 狐子(COKO)の楽曲「逢魔時の帰り方」(しとお feat. 狐子)「桔梗」(ATOLS feat. 狐子)で構成された「KOKO DISCOTHEQUE」で観測者を誘う。

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「ライブ評」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる