Dannie May、万人に聴かれる音楽へのこだわり 夏曲「Boom Boom Boom」から見据えるバンドの新展開

Dannie May、大衆音楽へのこだわり

20歳ぐらいに出会った年上の女性との思い出がベース(マサ)

マサ
マサ

ーー懐かしい。でも、確かにサビの15秒で切り取るとすごくパンチがあるなと思いますけど、フル尺になるとまた印象が変わりますよね。

マサ:そうですね。でも、そのサビを書いた時に「なんとなくこんな感じなのかな」というのはあって。歌詞やAメロの感じとか。歌詞は少し迷って相談しながらやったんですけど、Aメロ、Bメロはそんなに困らなかったかな。しかもサビをTikTokに向けて書いてみようかと思って書いたんですけど、Aメロの方が伸びてるんですよね。

ーーそういうものなんですね。

田中:音源を聴かせてもらったときに、なんかAメロが伸びそうだなっていう話はしてたんですよ。そしたら本当にそのとおりになって面白かった。

マサ:だからAメロ、Bメロは普段作っている形にすごく近くて。これは昔、僕が20歳ぐらいに出会った年上の女性との思い出がベースになっているんですけど……。

ーー何、その思い出(笑)。

田中:あれ、その人俺も会ったよね?

マサ:あ、それは違う人(笑)。

ーー(笑)。

マサ:その体験を思い出しながら、夏に当てられて変なことしちゃったみたいな曲にしたくて。たまに僕はやるんですけど、曲調はすごくポップだけど、歌詞の中身はちょっと変な感じというか。そういうニュアンスを忍ばせるのが好きなので、僕のわけわからない思い出を込めてみたっていう曲ですね。

ーーそれはいい思い出なんですか?

マサ:いい思い出ですよ。世田谷公園でふたりでビールを飲んだのをすごく覚えてる。

ーーああ、海とかじゃないんだ(笑)。

マサ:世田谷公園です。だからいい思い出なんですけど、でも1回きりだったんですよね。その夏の記憶を曲にしてみましたが、上手くぼやかしながら「これ何のことを言ってるんだろう?」っていう。

Yuno:この歌詞を読むとひと夏感というか、夏というものに乗せられた主人公と女性の一時の関係みたいなものがすごく思い浮かぶし、その夏を通じて変化があって別れが訪れる感じの物語になっているから、いい歌詞だなと思いますね。

ーーそう。その切なさみたいなのがちゃんとあるのがすごくいいですよね。特に最後のところ。

マサ:〈幾つもの夜超えて/僕らは大人になる/あの夜は乗り過ごした/電車で家へ帰る〉。あのときも田園都市線にちゃんと乗ったな……。

ーー何線かは知らないけど(笑)。その4行があることによって物語がギュッと締まりますよね。歌詞は思い出を振り返りながらスムーズに書けました?

マサ:出来事を思い出してから5〜10分くらいで書けました。そこに至るまではすごく悩んでて、メンバーにLINEをしてたんですけど、思い出してからはバーと書いて。鮮烈な思い出だったので、言葉のハマりもうまくいきました。

ーーアレンジはどんな感じでした?

田中:だいぶ悩みました。すごくシンプルな曲なので、足掻いて変なことをしようとしたんですけど、何もハマらなかったです。でも、最後の歌詞のところだけは少しシンセで上に遠い音が入ってるんですけど、それは一発でハマりましたね。あとはピアノのボイシングとかがすごく大事だなと思っていて、別件で自分もピアノを使って曲を作ることがあったので、そこで「ピアノ1つでオーケストラを奏でる」ようなイメージで作業しました。ライブで弾くのは大変そうだなって思っています(笑)。

ーーいろいろやろうとしたけどハマらなかったのはどうしてなんですか?

田中:前提として4つ打ちという縛りがあって、かつTikTokで声を聴かせたいという意向もあったので、音数を極力少なくしようと思っていたんです。変に間にアレンジが入ってきたりするとそっちに耳を取られてメロディが際立たないこともあって。だからピアノとドラムだけあれば成立する形にしようと思ったんですけど、「そんなに簡単にしたくないな」っていう思いも同時にあったんですけど、結果的にはシンプルにするのが正解だったなと。

ーー4つ打ち縛りはSNSで当たりやすいから?

Yuno:僕は海辺で育った人間なんですけど、サザンオールスターズとかケツメイシとかの夏曲はとにかくリズム隊がとてもシンプルなんです。そこに、いいメロディや切ない歌詞が乗ってくる。そういう曲はフェスでも盛り上がるし、ドライブするときに話しながらかけていても邪魔にならない。でも、サビではみんな歌っちゃうみたいな。それが共通しているのがすごいと思ったので、それを徹底したいとみんなに伝えたんですよ。だいたい僕らが4つ打ちの曲をやるとなると、どこかで少し難しいリズムが入ってきたりするんですね。それはそれでかっこいいんですけど、今回のテーマというか目的がそこだったので、これだけは絶対に徹底してくれっていう話をした記憶があります。

Dannie May「Boom Boom Boom」(Music Video)

ーー確かにものすごくシンプルな曲ですよね。それはアレンジ、メロ、歌詞の全てに共通しています。

マサ:これがDannie Mayの新しい第一歩になるかと言われたら、正直そういう曲ではない気がしていて。僕のイメージとしては「出します!」じゃなくて「出してみました」ぐらいの感じ。

田中:アルバムが終わったので、一回いろいろと試してみたいっていうところもある。

Yuno:僕らのバンド名もそうですけど、万人に聴いてもらえることを目指しているので、「こういうのが俺たちだよね」と凝り固まってしまっているのもなんかダサいなと。3人とも聴く音楽も違うから様々な楽曲ができるはずで、でも3〜4年とやってくると凝り固まる音楽性みたいなものもあるような気もして。それを打破しないと万人に聴いてもらえる音楽なんて作れるんだろうか、という。

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