SEVENTEEN、日本オリジナル曲にも表れる“日本語詞へのこだわり” 日本デビュー5周年、人気楽曲を振り返る
今年5月に日本デビュー5周年を迎えたSEVENTEEN。そんな彼らが8月23日、グループ初となる日本ベストアルバム『SEVENTEEN JAPAN BEST ALBUM「ALWAYS YOURS」』をリリースした。日本のCARAT(SEVENTEENファンの呼称)に対して最大限の愛と感謝の気持ちを込めたという同アルバムは、2枚組のCDに全27曲を収録。ディスク1では2曲の新曲を加えた9つの日本オリジナル曲を楽しむことができ、ディスク2ではこれまでリリースされたSEVENTEENの楽曲のJapanese ver.を18曲も堪能できる構成となっている。
今作のリリースにあたり特筆しておきたいのが、SEVENTEENの日本オリジナル曲における評価の高さである。彼らがこれまで日本でリリースしたオリジナル曲は、日本デビューを果たしたK-POPグループの中でも、特に高い評価を受けていると言っても過言ではないだろう。本国・韓国でリリースする際と変わらない高いクオリティのサウンドに、選び抜かれた言葉で書かれた日本語の歌詞。しかもその歌詞は、一つひとつの言葉がサウンドやメロディラインにぴったりと違和感なくはまり、心奪われるストーリーやCARATへの深い想いが感じられるメッセージが描かれており、楽曲の世界観に何度も浸りたくなるような強い引力を携えている。
SEVENTEENの日本オリジナル曲がそうした魅力に溢れ、高い評価を受けているのは、彼らならではの楽曲制作体制によるところも大きいだろう。SEVENTEENは日本で楽曲をリリースする際もメンバーのWOOZI(ウジ)と音楽プロデューサー・BUMZUがタッグを組み、普段の活動と変わらない体制で楽曲を制作しているのだ。
特に歌詞は、言葉のニュアンスまで含めて丁寧に制作されているようだ。WOOZIが韓国語で書いたものを日本語に翻訳、それをまた韓国語に翻訳して確認し、言葉を丁寧に日本語に置き換えていくという。
そうした制作スタイルが貫かれているからこそ、SEVENTEENの日本オリジナル曲は言葉に力が宿り、歌詞に込められたメッセージが私たちの心にダイレクトに響いて染みわたっていくのだ。
ここで、具体的な楽曲名を挙げるとすれば、例えば2019年5月に日本初シングルとしてリリースされ、今回のベストアルバムの4曲目に収録されている「Happy Ending」に言及しておきたいところ。同楽曲は、つくり込まれたサウンドと歌詞が相乗効果を発揮し、エモーショナルでドラマチックなストーリーを描き出している一曲だ。
“君”を想う気持ちを映画の物語に見立てて表現した歌詞は、雑誌のインタビューによれば、サビの〈聞かせて 聞かせて 愛してる〉の部分をWOOZIが最初から日本語で書いていたという。WOOZIはその歌詞について、日本では「愛してる」よりも「大好き」という言葉をよく使うと助言を受けたものの、「愛」という言葉の重さを考慮した上であえて「愛してる」という言葉を残したと語っていた。実際、サビのフレーズは〈愛してる〉がフックとして効いている。WOOZIにとっては外国語でありながらも、言葉が表現するものを鋭く捉えて日本語の歌詞をつくり上げていった彼の感性には目を見張るものがある。