THE ALFEEが日本武道館で告げた、新たな始まり 2年ぶりの有観客ライブで直接ファンに届けた希望
グループとしての日本武道館公演数、第1位。この記録を持っているのは、デビュー48年目を迎えた日本のロックバンド、THE ALFEEだ。クリスマスイブ前日の12月23日、イブの24日は多くのTHE ALFEEファンの行く場所は日本武道館と決まっていた。しかし2019年はオリンピックのための改修工事でライブは代々木第一体育館で開催、2020年は12月24日に日本武道館から『Come on! ALFEE!!』という生配信番組を無観客で中継したTHE ALFEE。2021年は実施予定で進んでいた恒例の夏のイベントも中止。毎年、春、秋の2回全国ツアーを行い、ライブを主軸としてきたTHE ALFEEにとって、1年以上ぶりの有観客ライブの中止は苦渋の決断だった。
そして2021年12月23日、24日、満を持して迎えた武道館公演『2021 Winter Baby, Come Back!』。筆者が参加したのは2日目。今回は、応募者本人のみのエントリーだったチケット。収容人数も半数の約5000人、両隣をあけての座席だったため、友人同士隣り合うことはできない。開演前、入り口で待ち合わせ、しばしの再会を分かち合う人たちが多く見られた。時間差入場が推奨されていたものの、入場はかなりスムーズ。さすがマナーのよいTHE ALFEEファンだ。会場に入ると、静かに着席し開演を待ちわびる観客がいた。
開演前の注意事項がアナウンスされると、ステージやや後方の北東、北西席、最上席まで埋まった客席から沸き起こる拍手。やがて客電が落ち、SEが始まる。美しい照明が照らされるステージ中央、下から、高見沢俊彦(Vo/Gt)、坂崎幸之助(Vo/Gt/Per)、桜井賢(Vo/Ba)、3人のシルエットが浮かび上がり、拍手は一段と大きくなる。羽をあしらった白い衣装の高見沢、シックなスーツ姿の坂崎、桜井。にこやかに手を振り、それぞれの位置に着き、THE ALFEEらしいファンタジックなロックナンバー「Orionからの招待状」からスタート。スイッチボーカルで3人とも歌えるというバンドの武器を見せつける。
続く「恋の炎」では、坂崎がハンドマイクで左右に張り出したステージを動き回る。途中ギターを弾きながら移動する高見沢と合流して追いかけっこをしたり、長年の野外ライブで培った観客を沸かせるステージングを展開。観客が声援を送れないこの日のライブに「拍手、手拍子でアピールして」と坂崎が呼びかけ、それに応えて響き渡る拍手の渦の中、3曲目に披露されたのは、2021年7月にリリースされた最新ナンバー「The 2nd Life -第二の選択- 」。ほとんどの人が、この曲を生で体験するのは初だろう。
続くは、23日公演ではアンコールで演奏された、2021年に4度目の演奏となる「SWEAT & TEARS」。左右に張り出したステージに設置されたマイクそれぞれに坂崎と桜井が、高見沢はステージ中央を激しく動きながらボーカルを取る。曲終盤では恒例の3人揃いのポーズでヘドバンをする、ライブ冒頭からハードなパフォーマンス。3曲が終わり、温まったステージがいったん暗くなり、坂崎のみが残る。観客に着席を促し、しばしトークタイム。坂崎に呼び込まれて「ゴットファーザー 愛のテーマ」をバックに再び桜井が登場。軽快なトークでステージを盛り上げたあと、高見沢が呼び込まれる。配信番組『Come on !ALFEE!!』のカラオケを披露する人気コーナー『スナック アルフィー』を思わせる、「星降る街角」(敏いとうとハッピー&ブルー)を高見沢&桜井とのデュエットで盛り上げる。その光景にメンバーも「俺たち、純烈か!(笑)」とツッコミを入れる。
着席のまま「クリスマスにふさわしい曲」と、「讃美歌529番」から、「あなたに贈る愛の歌」「心の鍵」「悲しみが消える時 ーyou are the rockー」、そして高見沢曰く「前日まで演奏するつもりなかった」という「LOVE」までバラードナンバーが披露される。ここまで「The 2nd Life -第二の選択-」「SWEAT & TEARS」以外は、前日とは全く異なるセットリスト。一期一会を意識し、ライブの回数を追うごとに進化していくTHE ALFEEならではだ。