『LIL LEAGUEのヴィクトリーグ!』プロデューサーが語る、個性を引き出す番組企画 スター性あふれる6人それぞれの魅力も

『ヴィクトリーグ!』Pが語るLILの魅力

 難波碧空、百田隼麻、岡尾真虎、山田晃大、岩城星那、中村竜大の6人で構成されたダンス&ボーカルグループ LIL LEAGUE。2022年5月に、LDH史上最大規模のオーディション『iCON Z ~Dreams For Children~』の男性部門でグランプリを獲得した彼らは、同年10月から、冠番組『LIL LEAGUEのヴィクトリーグ!』(テレビ東京系)に出演している。メジャーデビュー前にレギュラー番組が始まるという異例の展開は、『iCON Z』ファンを中心に大きな話題を呼び、今年5月からは『iCON Z』第二章から誕生した公式ライバル・KID PHENOMENONも新レギュラーとして参戦。『LIL LEAGUEのヴィクトリーグ!』を陰から支える、テレビ東京チーフプロデューサーの星俊一氏、現場でメンバーたちをサポートしているプロデューサーの奈須亮三氏に、番組が始まった経緯や彼らの魅力について語ってもらった。(斉藤碧)

「10代のフレッシュで等身大な魅力を伝えたい」(星)

――チーフプロデューサーの星さんは、もともと『~夢のオーディションバラエティー~Dreamer Z』のプロデューサーをされていたと伺いました。まず、テレビ東京でオーディション番組を放送することになった経緯から教えていただけますか?

星俊一(以下、星):今回テレ東とLDHさんがタッグを組むことになったのは、元を辿ると、1995~2002年にテレ東で放送していたオーディション番組『ASAYAN』がきっかけでした。僕自身も2000年にテレ東に入社して、『ASAYAN』の勢いを身を以て体感してきた世代なんですが、当時『ASAYAN』からモーニング娘。やCHEMISTRYが誕生したように、“今の時代にもテレ東発の人気アーティストを生み出したい”という案が出たんです。そこにLDHさんからの強い希望も加わり、LDH主催のオーディション『iCON Z』に密着する番組『~夢のオーディションバラエティー~Dreamer Z』を、かつて『ASAYAN』を放送していた日曜21時の枠で放送することになりました。

 ただ、番組が始まったばかりの頃、我々テレ東スタッフは“どういうグループが何組誕生するのか”を全くわからない状況にいて。もしかしたらEXILE HIROさんの中には、最初からデビューアーティストのイメージが浮かんでいたのかもしれませんが、僕らは良い意味で手探りというか。ほとんど視聴者と同じ目線で、新しいタイプのオーディションを追いかけてきたんですね。そうやって男性部門・ガールズグループ部門のオーディションを同時に進めていった結果、昨年5月に日本武道館で開催した男性部門の最終審査で、LIL LEAGUEがグランプリに輝いて。番組発のアーティストグループが誕生した、という流れになります。

星俊一
星俊一

――その後、LIL LEAGUEの冠番組『LIL LEAGUEのヴィクトリーグ!』の放送スタートが昨年10月9日。メジャーデビュー前の新人アーティストが冠番組を持つことはLDH史上初だと思いますし、日曜の昼に放送するというのもEXILE TRIBEの先輩たちとは違う流れを感じますが、そこにはどんな狙いがあったのでしょうか。

星:そもそも、テレビ局のバックアップを受けて誕生したアーティストって、一時は注目の的になったとしても、テレ東から出た時に何か新たな企画を打ち出さないと、何も残せないまま消えていってしまう可能性が高いんですよ。だったらLDHさんと一緒に、テレ東もLIL LEAGUEを見守っていこうと。なおかつ、めちゃくちゃ爽やかなグループだし、若い視聴者にもぜひ観てほしいなということで、日曜日の12時台にこの番組を放送することを決めました。

――星さんは『テレ東音楽祭』も手掛けていらっしゃいますし、歌やダンスに特化した番組を作ることも可能だったと思いますが、あえてバラエティ色を全面に出したのはなぜですか?

星:確かに、音楽を軸にした番組作りをすることもできましたけど、演出担当の鈴木おさむさん、LDHさんとテレ東スタッフで話し合った時に、カッコいいパフォーマンス姿だけを見せても、彼らのキャラクターが活かされないんじゃないかっていう話になったんですよね。せっかく10代のフレッシュなメンバーが揃ってるんだから、その等身大の魅力を伝えたいと。そのために“成長おっかけバラエティ”という形で、みんなが頑張って挑戦することで素が出るような企画をやっていこうというのが、我々の総意でした。

――奈須さんは最近のLIL LEAGUEをよく知る立場だそうですが、彼らに対してどんな印象を抱いていますか?

奈須亮三(以下、奈須):僕は今年1月から『LIL LEAGUEのヴィクトリーグ!』を担当することになって、そこで初めてみんなと対面したんですけど、正直に言うと、番組で関わるまで『iCON Z』やLIL LEAGUEのことをあまり知らなかったんです。同じ社内にいながら、申し訳ないんですけど(苦笑)。そういう予備知識ゼロの状態でLIL LEAGUEと顔を合わせたので、第一印象は「この子たち、意外としゃべれるな!」でした! デビュー前の子たちだから、もっと素人っぽい感じなのかと思っていたんですが、番組が始まってからの3カ月でだいぶ鍛えられたんでしょうね。結構面白いことも言うし、しっかりした子たちだなって。今はそれからさらに半年が経ち、バラエティの先輩たちと関わる機会も増えているので、ますます頼もしくなってきているなと感じています。

奈須亮三
奈須亮三

――同じように、番組を通して親目線でメンバーの成長を見守っている大人の方も多いんでしょうね。

奈須:ええ、そうだと思います。

星:実際にLIL LEAGUEの中学生組(岡尾、百田、難波)は、ウチの子どもと同じくらいの歳ですからね(笑)。そんな若い子たちに「いきなりバラエティをやれ!」って言ったところで、普通なら無理だと思うんです。でも、みんなは結果を残そうと一生懸命頑張るから、素直に応援したくなる。そのひたむきな姿勢が彼らの魅力だなって思います。

LIL LEAGUEと接する中で感じたキャラクター性

――奈須さんは過去に『やりすぎ都市伝説』なども手掛けていて、芸人と仕事をする機会が多いそうですが、“バラエティの流儀”のようなものはメンバーに教えているんですか?

奈須:前任者は教えていたみたいですね(笑)。結構ストレートに指導していたって聞きました。でも、僕はそういうやり方はしないようにしていて。場面ごとに誰が一番活きるかを見て、「ここは隼麻くんがツッコミを入れられそうだな」って思ったらコソッと耳打ちしたりとか、「今いける?」っていう目配せをしたりとか、普段芸人さんと接する時と同じようなやり方で接しています。

――それは奈須さんがメンバーのことをよく理解していないとできないことですし、信頼関係が築けている証でもありますよね。

奈須:最近やっと普通に喋れるようになってきたところなので、まだ距離を縮めている途中ですけどね(笑)。でも、今はそうやって僕が振ると、メンバーも頑張って挑戦するようになってきて。時には失敗することもありますし、芸人さんのような爆笑を生み出せるわけではないですけど、番組が始まった頃よりは、みんなバラエティに慣れてきたんじゃないかなと思います。

――出演者と距離を縮めるというのは、バラエティ番組の制作ではよくあることなんですか?

奈須:あるあるではないですね。僕、実はかつて『めちゃ×2イケてるッ!』(フジテレビ系)のADをやっていた時期がありまして、オカザイル(ナインティナイン 岡村隆史とEXILEのコラボユニット)誕生の瞬間に立ち会ったんですよ。その時は、演者さんとは適度な距離感を持って接するっていう“めちゃイケルール”を勝手に感じていて、それ以来ずっと僕もそれを守っていたんです。でも今はメンバーもすごく若いし、できるだけ距離が近いほうがお互いやりやすいだろうなってことで、めちゃイケルールを封じて、一緒にピザを食べたりしてます(笑)。

――仲良しですね(笑)。星さんは10代のメンバーと仕事をする上で、どんなことを意識していますか?

星:30以上も歳の離れた子たちと、仕事としてどういう会話をするのが正解かっていうのは、なかなか難問ですね。僕は昔ジャニーズJr.の番組を担当していて、そこには小学生の子もいっぱいいたんですけど、芸能界で活動している若い子たちって、小学生だからって馴れ馴れしく接すると“このスタッフってどうなの?”って思ったりするんですよ。だから、とりあえず「碧空くん、どうなの最近~?」みたいなことは言わないようにしてます(笑)。

 あと『LIL LEAGUEのヴィクトリーグ!』の企画については、みんなが本当はどう思っているのかわからないという怖さがありますね。「ぶっちゃけ、どうなの?」って聞いても気を遣って答えるだろうし。数年後、みんなに「あの頃、本当はどう思ってたの?」って聞く企画をやりたいくらい(笑)。そういう状況下で、どうやってメンバーとコミュニケーションを取っていくかというのは、僕ら大人の課題だなって思います。

奈須:LIL LEAGUEは礼儀正しいから、それ故に話しかけられないところもあるんじゃないかとも思いまして、まずは僕らのほうから歩み寄りたいなと。

――では改めて、少し距離が縮まったという奈須さんから見た、6人のキャラクターを紹介いただけますか。

奈須:まず、竜大くんはグループ1のお調子者ですね。以前、EXPG STUDIOで撮影をする機会があったんですけど、さも自分の家かのような口調で、テレ東のスタッフに中を案内していました(笑)。で、カメラマンがドアを開けて中を撮影していくような場面で、いつも陰でドアを支えてくれているのは、真虎くん。碧空くんは……ただただ不思議。

――と、言いますと?

奈須:カメラが回っていて、みんなが同じことをやっている中、碧空くんは一人だけ違うことをやってることが多いんです。でも、メンバーからは結構信頼されているみたいで、僕もまだ掴み切れていない謎多き人ですね(笑)。逆に、わかりやすくキャラクターが出ているのが、リーダーの星那くん。まとめるべきところでは率先してまとめてくれて、“ちょい怖な引き締め役”を担っているなって思います。そして隼麻くんは、僕らが想定していないところでも、即座にツッコミを入れられるバラエティ担当。晃大くんは基本優等生ですけど、大事なところで失敗するキャラですね。

――一見しっかり者なのに、ちょっと残念っていうのがファン心をくすぐるのでは(笑)?

奈須:どうなんでしょうね。僕にはよくわからないんですけど、ウチの奥さんは「この子たちは売れる!」って言ってました(笑)。しかも、当たり前ですけど踊ったり歌ったりすれば、みんなめちゃくちゃ上手いですし、かなりスター性のある6人だなって思います。

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