LIL LEAGUEら『iCON Z』出身グループ続々 「NEO EXILE世代」加入でEXILE TRIBEはネクストステージへ
EXILEがデビュー20周年を迎えた2021年、Z世代を対象とした、LDH史上最大規模のオーディション『iCON Z ~Dreams For Children~』が行われた。そして、EXILE HIROを筆頭に、AKIRAやSHOKIHIが手がける男性部門からは4組の新グループが誕生。“NEO EXILE世代”の登場と共に、EXILE TRIBEは新たな時代へと突入した。それによりEXILE TRIBEはどう進化していくのか。各グループの役割や、群雄割拠の男性アーティストシーンの中でLDHが築いてきたものを振り返りながら、今後の展開を考察していきたい。
そもそもEXILE TRIBEとは、2011年に生まれた“EXILE、そしてLDHが発信していく新しいエンタテインメントのブランド”で、現時点で約10組のグループを有する一大組織の名称だ。その第一弾エンターテインメントとして2011年に発表されたのが、現EXILE THE SECONDの原点とも言える二代目 J Soul Brothersと、今も同じメンバーで活動を続ける三代目 J SOUL BROTHERS from EXILE TRIBEのツーマンツアー『二代目 J Soul Brothers VS 三代目 J Soul Brothers Live Tour 2011~EXILE TRIBE~』だった。EXILEのオリジナルメンバーや、AKIRA・TAKAHIROといった“EXILEの顔”となるメンバーの功績はもちろんのこと、本ツアーに参加した12名(橘ケンチ、黒木啓司、TETSUYA、NESMITH、SHOKICHI、NAOTO、小林直己、ELLY、山下健二郎、岩田剛典、今市隆二、ØMI)も、そのうち7名(当時/2014年に岩田もEXILE加入)がEXILEを兼任しており、EXILE TRIBE黎明期を支えた重要なメンバーたちと言える。一方で2組のルーツには、1999年、HIROを中心にMATSU、USA、MAKIDAI、ボーカルSASAの5名で結成されたJ Soul Brothersがあり、2001年にHIROがEXILEを結成した後も、その精神は二代目、三代目へと受け継がれてきた。つまりEXILE TRIBEという名称ながらも、じつはJ Soul BrothersとEXILEという2つの軸があり、それぞれ直系のグループが存在するのである。
Jr.EXILE(GENERATIONS from EXILE TRIBE、THE RAMPAGE from EXILE TRIBE、FANTASTICS from EXILE TRIBE、BALLISTIK BOYZ from EXILE TRIBE、PSYCHIC FEVER from EXILE TRIBE)は名前通り、EXILEをルーツに持つ若手グループの総称。ストリートダンサーを中心に結成されたEXILEに対し、彼らの多くは、2003年にLDHが開業したダンススクールEXPG STUDIOでダンスや歌を学んできたメンバーであり、その活躍こそがLDHが20年を懸けて手にした大きな功績だ。海外では、もともと才能のある人材をヘッドハンティングし、アーティスト候補生として厳しく育て上げるのが主流だが、EXPGは、子どもの頃から楽しくダンスを学び、そこから頭角を現した人材をアーティストに育てていくという独自のスタイルを追求。アンダーグラウンドのイメージが強かったダンスカルチャーを一般に広めながら、アーティストの卵を継続的に育成し、自社オーディションで夢を叶えるチャンスを提供するという、唯一無二の育成システムを確立した。また、全国各地にスクールがあることで、地方に住んでいても気軽にダンスを始められるため、今では沖縄校や仙台校出身のメンバーもJr.EXILEに仲間入り。『iCON Z ~Dreams For Children~』第二章から生まれたKID PHENOMENONにも、『Rising Sun Project』で東日本大震災の被災地に足を運んだEXILEに憧れ、ダンスを始めたメンバーがいるように、EXILEが先陣を切って地域密着型の活動をしてきたことが、今のEXILE TRIBEを作り上げている。とはいえ、Jr.EXILE世代の5グループと『iCON Z ~Dreams For Children~』から生まれた4グループの間にも、大きな違いがあるという。
今から遡ること22年。色黒で筋肉質というワイルドなビジュアル、ツインボーカル&パフォーマーという編成でデビューしたEXILEのスタイルは、いわゆる“EXILE系”としてお茶の間に定着した。だが、Jr.EXILE世代に突入すると、BALLISTIK BOYZやPSYCHIC FEVERといった全員がマイクを持つグループが新定番に。LDHの社名になっているコンセプト“Love, Dream, Happiness”(愛・夢・幸せを与えるエンタテインメント)を脈々と受け継ぎ、“EXILE系”のイメージを残しつつも、GENERATIONSの片寄涼太やTHE RAMPAGEの吉野北人のような中性的なビジュアル、メンバー全員で芝居に力を入れるFANTASTICSの活躍など、見た目も活動の方針も時代と共に変化している。PSYCHIC FEVER に関しては、長年、三代目J Soul Brothersのサポートを務めていた。EXPGを介して“J Soul Brothers”と“EXILE”という2つの軸をミックスさせた存在、それがJr.EXILEの本質と言えるだろう。