リアルサウンド連載「From Editors」第17回:『ウルトラマンブレーザー』が面白すぎる! 対話と理解の必要性を説くストーリー
『ブレーザー』が現代に必要なストーリーと言える理由
また、「お互いを呼び合うときは下の名前かあだ名で。それ以外だと俺、返事しないから」というゲント隊長の方針に、隊員たちは一見戸惑いながらも、上司部下問わずに意見を尊重するゲント隊長の指揮で、次第にチーム(SKaRD)はまとまっていきます。第3話でナグラ テルアキ副隊長(伊藤祐輝)が「いいチームにしていきましょう」とゲント隊長に話しかけるシーンはとても良かったですね。
第1話で「(命令には)逆らえないから“提案”をする」と言って、臨機応変な判断で航空部隊と連携を取り、作戦を成功させようとするシーン。あるいは第3話で、ミナミ アンリ隊員(内藤好美)の作戦提案を採用して実行するシーンなど。切迫しているときこそ、ゲント隊長が率先してコミュニケーションを取り、チームのために最良の行動を選択するシーンは『ブレーザー』の物語の肝になっています。意見のすれ違いを未然に防ぎ、不必要な衝突を回避する彼のリーダーシップにはグッとくるものがあり、だからこそ、いきなり「俺が行く」と言って一人で勝手に行動してしまう瞬間があるのも、ゲント隊長の愛すべき魅力なのです。大なり小なり、あらゆる争いの根源はコミュニケーションの不十分さにあると思えば、理想の組織(に近づくために切磋琢磨する隊員の姿)を描く『ウルトラマンブレーザー』は、まさに現代に必要なストーリーだと言えるでしょう。
昨日放送された第4話「エミ、かく戦えり」も、まるで海外のSF映画のようで、アオベ エミ隊員(搗宮姫奈)が諜報員となって企業に潜入し、陰謀を暴いていくストーリーは、今年で放送15周年となる『ULTRASEVEN X』第4話「DIAMOND “S”」を彷彿とさせました。肝心なウルトラマンブレーザーが何者なのかは、まだ謎のまま。どこを取っても面白すぎる『ウルトラマンブレーザー』の今後、大いに期待しましょう。
※1:https://realsound.jp/2023/06/post-1354015.html
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