THE ALFEE 高見沢俊彦、ウルトラマンシリーズに魅了され続ける理由 「君だけを守りたい」など歴代楽曲の制作秘話も

高見沢俊彦、ウルトラマンへの想い

 2021年はウルトラマン55周年の記念すべき年である。先日7月10日は「ウルトラマンの日」(1966年にウルトラマンがテレビに初登場した日)であり、新シリーズ『ウルトラマントリガー NEW GENERATION TIGA』(テレビ東京系)の放送がスタートしたこともあって、全国のウルトラマンファンは大いに盛り上がったことだろう。

 そんなアニバーサリーイヤーを祝して、昭和シリーズの主題歌や挿入歌をまとめた音楽作品『ウルトラマン レジェンド・ソング・コレクション』が6月23日に配信リリースされ、2006年にCD発売された『ウルトラサウンド殿堂シリーズ』9タイトルも7月28日に配信開始となった。さらに今年は『ウルトラマンコスモス』放送開始から20周年ということで、TVシリーズ+劇場版3作の音楽を総まとめした5枚組CD-BOX『ウルトラマンコスモス 20th ANNIVERSARY MUSIC COLLECTION』が7月21日に発売、同時に『ウルトラマンコスモス COMPLETE SONG COLLECTION』とサウンドトラック3作品も配信開始。まさにウルトラマン尽くしの夏だ。リマスタリングを経て、名シーンが思い起こされるような臨場感溢れるサウンドはもちろん、歌謡曲、ジャズ、クラシックを融合した先鋭的な楽曲そのものの魅力もたっぷりと味わってもらいたい。

 本企画ではウルトラマン音楽の魅力を語るべく、THE ALFEEのリーダー・高見沢俊彦が登場。高見沢といえば大のウルトラマン好きを公言し、ライブでも様々なウルトラマンたちと共演している他、歴代のウルトラマンシリーズにも数多くの楽曲を提供している。『ウルトラマンダイナ』のエンディングテーマ「君だけを守りたい」や、『ウルトラマンギンガS』の主題歌「英雄の詩」などはその代表だろう。今回は、ウルトラマンにまつわる様々なエピソードや、ギタリストならではの視点で解説するウルトラマン音楽の魅力、さらに自身がウルトラマンシリーズに提供した楽曲の制作秘話など、高見沢に存分に語り尽くしてもらった。そこには高見沢の人生経験が反映された独自のヒーロー像や、一人のミュージシャンとしての揺るぎない矜持も宿っていた。ファン必読の濃密な内容になっていること間違いなしだ。(編集部)

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『ウルトラマン』が始まった時は心を鷲掴みにされた

ーー様々なところでウルトラマン愛を爆発させている高見沢さんですが、まずウルトラマンを好きになったきっかけから教えていただけますか。

高見沢俊彦(以下、高見沢):僕はもともと東宝の怪獣映画が好きで。『モスラ』や『キングコング対ゴジラ』を小学校1〜2年生の時に見て、他にも『フランケンシュタイン対地底怪獣』に『フランケンシュタインの怪獣 サンダ対ガイラ』など、たくさん怪獣映画を観てきました。高学年になると『三大怪獣 地球最大の決戦』や『怪獣大戦争』に胸を躍らせた直後に『ウルトラQ』が始まったんですけど、当時は怪獣って映画館でしか見られなかったから、「毎週テレビで怪獣が見られる!」というだけで興奮しましたね。『ウルトラマン』が始まった時は、映像もカラーになったし、怪獣とウルトラマンの対戦型になるわけじゃないですか。もう心を鷲掴みにされました。友達もみんな見ていましたから。

ーー当時の平均視聴率が36.8%っていうのも驚異的ですよね。

高見沢:すごいよね。子供の世界では視聴率100%でしたよ。必ず(放送翌日の)月曜日には怪獣ごっこをやっていたし、それだけ『ウルトラマン』は印象深かったです。時代ごとにいろんなヒーローはいるけど、僕が小学生の頃から今の今までずっと地球を守っているヒーローはウルトラマンだけじゃないかな。

ーー高見沢さんは『ウルトラセブン』とコラボしたギター(Flying-Seven)も使っていますけど、セブンへの想いはいかがでしょうか。

高見沢:セブンは大好きですね。『ウルトラマン』ももちろん好きだけど、『セブン』の話ってすごいじゃないですか。去年NHK(BSプレミアム)で『ウルトラセブン』を全話4K放送してたから、そのために4Kチューナーをセットして毎回録画しましたよ。『セブン』は単なる怪獣とのバトルだけじゃなくて、侵略してきた宇宙人との会話にも奥深いものがありますからね。1回見ただけだと難しくて理解できない回も多かったし、脚本がしっかりしているから、今見ても全く飽きない。すごいことですよ。そもそも子供向けに作られていない気がします。子供って子供扱いされるのが嫌だから、『セブン』はいい意味で理解できない回があって、余計に夢中になりましたね。自分の特撮への想いを広げてくれたテレビ番組だったと思います。特に覚えてるのは、やっぱり最終回(第49話『史上最大の侵略(後編)』)。ダンがアンヌに「僕は人間じゃないんだよ。M78星雲から来たウルトラセブンなんだ!」って正体を打ち明けるシーンで、いきなりクラシック音楽に変わるでしょ。初めて見た時は「何これ、カッコいい!」って思いましたし、子供ながら感動したのを覚えていますよ。

ーーウルトラマンシリーズの中でも屈指の名シーンだと思います。

高見沢:いや〜、本当にすごかったよね。あとアンヌ隊員も綺麗なお姉さんって感じで、子供ながらにすっかり心を奪われていました(笑)。逆に『ウルトラマン』は、『セブン』よりもたくさん怪獣が出てくるから、そこが楽しみではありましたね。

ーー高見沢さんの好きな怪獣は?

高見沢:『ウルトラマン』だとレッドキングやバルタン星人、『ウルトラセブン』だとエレキングが好きですね。レッドキングなんて「レッドだから赤いのかな?」と思ったら、まさかの赤じゃない怪獣だし(笑)。もともとは赤にする予定だったようですが。レッドキングの回ではピグモンとかいろんな怪獣が出てくるけど、ああいう怪獣同士の戦いっていうのも『ウルトラマン』では印象深かったですね。あとはジラースかな。僕はやっぱりゴジラが好きなんですけど、ジラースって完全に襟巻きのついたゴジラじゃないですか(笑)。当時はゴジラとウルトラマンが戦っているように見えてすごく興奮しました。最後は襟巻きを剥がしてウルトラマンが勝つんだけど、その襟巻きをウルトラマンが拾って、ジラースにかけてあげるんだよね。「え、ウルトラマン優しい......。剥がしちゃって悪いと思ったのかな?」みたいな。

ーー『ウルトラマン』には怪獣を倒すだけじゃなく、供養するお話もありますからね(第35話『怪獣墓場』)。

高見沢:毎回怪獣を倒していますからね。ウルトラマンだって、心が痛むのかなって思いましたよ。

THE ALFEEデビュー当時、ウルトラマンとの“意外な初共演”

ーーあと、レッドキングやバルタン星人というと、高見沢さん自身も映像の中で戦ったことがありますよね?

高見沢:そうなんです。2015年に『激闘バトル!ウルトラマンタカミー』っていう作品を撮りまして。「1回、怪獣と戦わせてくれない?」って円谷プロダクションさんにお願いしたら実現しました。しかも台本もちゃんと作ってきてくれて、「えっ、そんなにちゃんとしなくていいんだけどな......」って思ったけど(笑)、有り難いことに撮影を1日ストップして、スタジオを押さえてくれたみたいで。「どの怪獣が好きですか?」って聞かれたから、レッドキング、ダダ、バルタン星人をお願いしたら用意してくれて。これはもう、ウルトラマン好きとしてはたまらないですよ、本当に。

ーー羨ましいです(笑)。

高見沢:しかも『ウルトラマンタカミー』の衣装って自前のステージ衣装なんです。カラータイマーは作ってもらいましたけど、マントは還暦の時にウルトラマンからもらったもので。ウルトラマンから直接マントをもらった地球人は、きっと僕だけですからね。その時ばかりは「主題歌作っといてよかったなあ」って思いましたよ。

高見沢俊彦 「激闘バトル!ウルトラマンタカミー」

ーー他にも印象的な思い出があれば教えてください。

高見沢:THE ALFEEは1974年にデビューしたんですけど、当時よく地方でウルトラマンショーと一緒にライブしていたことがあって。ウルトラマンショーが終わってから、僕らがステージに出て行ったんですけど、子供達には「アルフィー」っていう怪獣が出てくると思われていたんだろうね(笑)。しかも「ウルトラマーン!」「シュワッチ!」って子供達がさんざん興奮した後に、冴えない男3人がステージに出てきて歌い出すもんだから、みんなポカーンとしちゃって。

ーー(笑)。

高見沢:ウルトラマンが次の現場へ移動しちゃって、僕らの演奏が始まるとみんな潮が引くように客席から消えていく......あれほど辛いものはないですよ(笑)。だから先にやりたかたったんだけど、ウルトラマンのスケジュールが優先ですからね。

ーーしかも当時のTHE ALFEEは、しっとり聴かせる曲が多かった時期ですもんね。

高見沢:そうなんです。ウルトラマンショーは爆竹とか鳴らしてすごい盛り上がってるのに、僕らはアコースティックギター持ってフォーク系の曲をやっていたから、ウルトラマンに対抗できる曲なんて1つもなかった(笑)。僕はステージ袖で「やっぱりカッコいいな〜」と思いながら見てましたけど、初共演は苦い思い出でしたね。

ーー貴重なお話をありがとうございます。では、ウルトラマンシリーズで好きな楽曲についても教えていただけますか。

高見沢:やはり好きなのは、〈セブン セブン セブン〉っていう「ウルトラセブンの歌」のコーラス。自分でメタル風にアレンジして演奏しましたけど、メロディアスで覚えすく印象深い。それって主題歌としては一番大事なことで、基本のメロディが良くないと、どんなにアレンジを施しても良くはなりませんからね。メロディが抜群にいいからこそ、メタルにしようがオーケストラにしようが曲の価値が失われない気がします。

ウルトラセブン45周年記念PV

ーーなるほど。『セブン』ではウルトラ警備隊が出動する時に流れる「ULTRA SEVEN」も、〈1 2 3 4〉っていうコーラスやクールなメロディラインがカッコいいですよね。

高見沢:いいよね。ちょうど僕が小学校5〜6年生くらいの頃って、グループサウンズが流行っていたんですよ。ザ・タイガースとかザ・スパイダースとか、いわゆるバンドブームで、歌番組にはグループサウンズのバンドがたくさん出ていたので、「ULTRA SEVEN」もそんなイメージの曲だったような気がします。ウルトラ警備隊はメカもカッコよくて、今4Kで見ても遜色ないくらいよくできているし、そういう一つひとつのシーンに流れる楽曲もすごく合っていてカッコいいなって思います。あとは曲じゃないんだけど、『ウルトラQ』とか『ウルトラマン』が始まる時のSEも好きでしたね。オープニングで流れる度に、「ドッテーン、キューン、ドッテーン......」ってよく口真似してましたから。毎回あれが流れるとワクワクして、なんだか違う世界に行ける感じがしました。

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