劇場で体感したい“ジョージ・ハリスンの人生” クラプトン、ポール、リンゴ……盟友たちが彩る『コンサート・フォー・ジョージ』
ジョージと共作した「想い出のフォトグラフ」を飄々と歌ったリンゴがドラムセットについた後半、ポール・マッカートニーが登場し「サムシング」「オール・シングス・マスト・パス」などを歌う。「ゲット・バック・セッション」用にジョージが書いたのにビートルズでは取り上げなかった「オール・シングス・マスト・パス」を、ダニーとアイコンタクトしながらギターを弾いて歌うポールは、どんな気持ちだったのだろう。
ポールがピアノを弾き、クラプトンがボーカルを取る「ホワイル・マイ・ギター・ジェントリー・ウィープス」は、このライブのハイライトだ。この曲の録音にはクレジットされていないがクラプトンが参加していたのは有名な逸話。メンバーが不仲だった当時のビートルズの緩和役がクラプトンだったとか。ビートルズ研究家の藤本国彦氏の解説では「オリジナルに忠実に弾こうとしているクラプトンに泣ける」(※1)。
ダニーの感謝の言葉に続き最後を飾るのはジョージが愛したアーティストの一人、ジョー・ブラウンのウクレレ弾き語りでの「夢で逢いましょう」。軽やかな演奏に、長いステージを終えた面々もほっこりしているのがわかる。長いエンドロールの間に流れるのは、ゲイリー・ブルッカーが歌う「オールド・ブラウン・シュー」とジェフ・リンによる「ギヴ・ミー・ラヴ」。
Blu-rayなどでリリースされたフルバージョンを観ると本編は2時間26分(146分)に及んだようだが、劇場版はリハーサル風景やジョージへの思いを語るシーンなども入って102分。1曲1曲を噛みしめているとあっという間だ。19世紀に建てられた荘厳なホールで繰り広げられる一晩限りの音楽絵巻。それが『コンサート・フォー・ジョージ』である。
※1:https://realsound.jp/2023/07/post-1370799.html
■作品概要
『コンサート・フォー・ジョージ』
7月28日(金)からTOHOシネマズ シャンテほか公開
収録:2002年11月29日 ロンドン ロイヤル・アルバート・ホール
上映時間:約102分
監督:デヴィッド・リーランド
製作:レイ・クーパー、オリヴィア・ハリスン、ジョン・ケイメン
製作総指揮:オリヴィア・ハリスン、ブライアン・ロイランス
音楽監督:エリック・クラプトン
コンサート・オーディオ・プロデュース:ジェフ・リン
撮影監督:クリス・メンゲス
編集:クレア・ファーガソン
出演:エリック・クラプトン、ポール・マッカートニー、トム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズ、ジェフ・リン、リンゴ・スター、ジョー・ブラウン、サム・ブラウン、ジュールズ・ホランド、ビリー・プレストン、レイ・クーパー、アヌーシュカ・シャンカール、ラヴィ・シャンカール、モンティ・パイソン with トム・ハンクス
制作年:2003年/2022年
制作国:アメリカ/イギリス
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