連載『lit!』第57回：Juice=Juice、文坂なの、HiiT FACTORY、放課後プリンセス……夏を見据えたアイドルの勝負作

『AZYL』HiiT FACTORY

　勘のいい人はグループ名でピンとくると思いますが、小室哲哉のソロアルバム『Hit Factory』をもじった名がつけられた4人組のデビュー作。再生した瞬間、ジュリアナ東京でお馴染みの「CAN'T UNDO THIS!!」を思わせるバキバキのイントロに思わずニヤニヤしてしまいました。全編に渡ってTKプロデュース楽曲を中心とした90年代J-POPを連想させるトラックが続きますが、懐メロのアップデートというよりも極力当時に近づけたサウンドである点にむしろこだわりが感じられます。元ネタを予想しながら聴くとより楽しめること請け合いです。

　YouTubeにもすでに多数の動画がアップされており、TK風ポジションのメンバー・C-K、MVでの名曲オマージュなど語りたくなる要素が満載の彼女たち。特にライブでステージとは別に繰り広げられるエクササイズは衝撃の光景です。あの松任谷由実がシティポップの次に来るのは小室サウンドだと語ったことがありましたが、HiiT FACTORYは令和のTKリバイバルを後押しすることになるのでしょうか。今後が楽しみなグループです。

『歯みがきレイディ』放課後プリンセス

　TikTokでのバイラルヒットを視野に入れた楽曲も増えてきた昨今のアイドルシーン。放課後プリンセスの新曲「歯みがきレイディ」もまさにそうした系譜にある楽曲でしょう。〈歯みがきは レイディ 女の子のたしなみなの〉というフレーズにもあるように女性目線の楽曲ではありますが、そもそも歯みがきは老若男女問わず毎日行うこと。歯みがきを通して歯を美しく健康に保つことは女性に限らず大切であり、トリッキーなテーマ設定のようでいて実は万人共通のメッセージにも思えてきます。特に〈おくちピカピカ〉のキャッチーなフレーズは、これから歯みがきを覚える子どもへの教育にもいいかもしれません。槙田紗子（ex.PASSPO☆）が手がけた「歯みがきダンス」とあわせてバズを起こせるか注目です。