chilldspot、全国各地のステージを経たバンドとしての成長 オーディエンスと心を一つにした『Road Map』ツアーファイナル

chilldspot、2ndワンマンツアーファイナルレポ

 寂寥感たっぷりのギターカッティングが始まった途端、大きな歓声が上がったのは人気曲「Monster」。彼女が敬愛するシンガーソングライター、藤原さくらを彷彿とさせるサビの狂おしいほど切ないファルセットを、バンドのミニマルなアレンジが際立たせていたのが印象的だった。

 「4人で楽しくできたらいいなと思って始めた音楽だけど、みなさんのおかげでこうやってchilldspotが活動できているのは、本当に当たり前のことではなくて。みなさんと顔を合わせる機会が多くなったことで、そのことをより強く感じています。ありがとうございます」ハチロクのエモーショナルなリズムに合わせ、パントマイムのようなジェスチャーを交えて歌う「Kiss me before I rise」を披露したあと比喩根がそう挨拶すると、温かい拍手が会場いっぱいに広がった。

 「ただ、こうやって状況が好転すればするほど、自分の中のプレッシャーも大きくなるんだよね。みんなが好きになってくれても、実際にライブを見て嫌いになったらどうしようとか、次の曲でみんなに『あーあ』って思われたらどうしようとか、そういうことばっか頭をよぎっちゃって。実際『ポートレート』を作っている時に、書きたいことがなくなってしまった時期があってさ」と、自らの心情について声を詰まらせながら打ち明ける一幕もあった。

「でも、自分の弱みだった部分を『素敵だね』って言ってくれる人もいて。それってすごく幸せなことだなと思ったし、だから自分は今こうやって活動できているんだなって感じさせてもらった。だからこれから先も、私はそういう弱みさえも曲にしていきたいと思ったんです」

 そう言って演奏したのは、『ポートレイト』から「Anymore」と、自身の誕生日をタイトルにした「5/7」。どちらも比喩根の内包する「弱み」について歌った楽曲だ。こうして彼女が言うところの「膿み」を吐き出すことは、彼女自身のセラピーであると同時に、彼女と同じような悩みや葛藤を抱える人たちにとっての「救い」にもなっているのだろう。

「みんなで一つになろうね!」

 そう呼びかけて披露した「Don't lose sight」では、〈I love myself〉〈Don't lose sight〉と歌う掛け合いコーラス部分を全員で歌い、心を一つに。そして「BYE BYE」を演奏して本編は終了。アンコールでは、5月17日にリリースした新曲「ひるねの国」と、サイケデリックなエグみもあるソウルチューン「Groovynight」を披露。ラストは再びシンガロングしてこの日のステージを締めくくった。

 20代になったばかりとは思えぬ表現力と、等身大の無邪気さを兼ね備え、幅広い年代を魅了するchilldspot。この先、さらに飛躍的な成長を遂げることを予感させる素晴らしいライブだった。

■セットリスト
1. crush
2. Heart Jack
3. Ivy
4. music
5. line
6. Girl in the mirror
7. 夜の探検
8. supermarket
9. full count
10. please
11. Monster
12. Kiss me before I rise
13. Anymore
14. 5/7
15. Like?
16. Don't lose sight
17. BYE BYE

En1. ひるねの国
En2. Groovynight

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