ダンスチャレンジで再燃する韓国HIPHOPバイラルヒット5選 ショート動画をきっかけに開く新たな扉
TikTokなどの動画プラットフォームにおける“ダンスチャレンジ”を通じたバイラルは、今やK-POPアイドルにとって欠かせないプロモーションの定石となっている。だが興味深いのは、その震源地が必ずしもメジャーなK-POPアイドルや海外のポップスター、あるいはグローバルなミームに限らないという点だ。
世界市場から見ればニッチな存在かもしれない韓国のアンダーグラウンドHIPHOPが、ひとたびダンスチャレンジの波に乗れば、アイドルたちのピックを受け、チャートを逆走(リバイバルヒット)する現象が頻発している。K-POPアイドルファンであれば、HIPHOPに詳しくなくとも、「あ、このメロディ聴いたことがある」と感じる曲が多いはずだ。本稿では、ここ一年でバイラルを記録したチャレンジ楽曲と、その裏にあるアーティストの興味深いストーリーを紹介したい。
noahjooda:一曲が起こした奇跡、建設現場からHIPHOPドリームへ
たった一曲が人の人生を劇的に変える――まるで映画のようなストーリーは、時に現実でも起こり得る。noahjoodaこそが、その主人公だ。2019年のデビュー以降、HIPHOPサバイバル番組『SHOW ME THE MONEY 9』(Mnet)などに出演したものの、脚光を浴びることのなかった彼だが、2025年11月にいきなり転機が訪れる。
@twice_tiktok_official 🎤💔💸 #TWICE #트와이스 #JEONGYEON #JIHYO
♬ Love over hip hop, money over love (feat. Basick) - noahjooda
きっかけは、数多くのK-POPアイドルを輩出していることで知られる韓林演芸芸術高等学校の在校生ダンスチーム Moshpitによるダンスチャレンジ動画だった。「Love over Hip-hop, Money over Love (Feat. Basick)」をBGMにしたその動画は、金を数えて空に飛ばす仕草や、振られた彼女を追いかける動作など、歌詞を直感的に描写したコミカルなマイムダンスがInstagramだけでも200万回以上の再生数を記録(※1)。これを皮切りに、TWICE、Stray Kids、TOMORROW X TOGETHER、ENHYPEN、LE SSERAFIM、RIIZEなどが次々とチャレンジに参戦し、瞬く間に大流行となった。
楽曲はもともと2022年3月にリリースされ、「資本主義社会では愛さえも贅沢品だ」と嘆く若者の欠乏感をウィットに富んだ歌詞で表現した楽曲だ。チャレンジ動画によって、叙情的なピアノの旋律と訴求力のあるボーカルが生む独特なフックが再評価され、韓国最大の音源音楽プラットフォーム「Melon」のTOP100で週間最高順位10位にランクインする快挙を成し遂げた(※2/2026年1月5日〜11日)。それだけでなく、2025年12月当時はエレベーターの据付作業員として働いていたnoahjooda自身にもスポットライトが当たり、韓国HIPHOP界の大物であるThe QuiettとYUMDDAが率いる「Daytona Entertainment」との契約に成功。キャリアの新たなチャプターを迎えることとなった。
GongGongGoo009:ダークな名盤『ㅠㅠ』とポップな現象「Walk」の意外な“反転”
GongGongGoo009は、本稿で紹介するアーティストの中で、HIPHOPのコアなファンと一般大衆との間で最も認知度のギャップがあったアーティストと言えるだろう。2022年の1st EP『ㅠㅠ』では、恋人に振られ家を追い出された20代のリアルな惨めさをエクスペリメンタルなサウンドで表現。『KOREAN HIPHOP AWARDS 2023』で「今年の新人アーティスト」(ROOKIE OF THE YEAR)を受賞するなど、批評家やHIPHOPファンから絶賛された。
@official_nct
作品全般を貫く憂鬱で難解なムードと、エクスペリメンタルHIPHOPというジャンルの特性上、彼の音楽がこのような形で大衆的な注目を集めると予想した人は多くなかったはずだ。しかし、「Walk」は、別れた恋人と過ごした愛らしいひとときを追憶する歌であり、夜の散歩のときめく情緒を聴覚的に完璧に具現化している。その親しみやすさが、コミカルな“カップルダンス”として昇華したチャレンジへと繋がったのだ。実際の一般人カップルや友人同士をはじめ、fromis_9、NMIXX、NCT WISH、ZEROBASEONEなど、多くのK-POPアイドルもチャレンジに参加し、大きな盛り上がりを見せた。
しかし、このような流行に対し、原曲を知る一部のHIPHOPファンたちの中には困惑の色を隠せない人がいたのも事実。収録されているのがあまりに重い内容のアルバムであるだけに、軽率に消費されることに反感を持つ人々もいたのだ。だが、いざGongGongGoo009本人はその現象をポジティブに受け入れるという意見を明らかにして、さらに楽曲のプロデューサーであり、『第22回 韓国大衆音楽賞』の「最優秀RAP&HIPHOP賞(アルバム)」の受賞者・Hukky Shibasekiが、最近 fromis_9のメンバーたちによる「Walk」のチャレンジ映像を2025年における「今年のショート動画」に選定したことで、好意的な空気が広がっている






















