Official髭男dism、米津玄師、YOASOBI……Billboardチャート2023年上半期発表 5年前との比較で導く“ヒットの新法則”

 「2023年上半期Billboard JAPAN 総合ソング・チャート“JAPAN Hot 100”」が発表された(※1)。CDセールスだけでなく、ダウンロード、ストリーミング、動画再生も網羅した現行のヒットソングを知るのには最適なBillboardチャートだが、そのヒットの傾向も年を追うごとに徐々に変わりつつある。本稿では、今から5年前の2018年上半期の同チャート(※2)と比較しながら、この5年で移り変わった“最新のヒットの法則”を考えてみたい。

 トップ20に目を向けると、2018年にはソロアーティスト、アイドルグループの活躍が目立つ。首位を獲得した米津玄師「Lemon」、3位の星野源「ドラえもん」といった幅広い世代から支持された楽曲に加え、2位の欅坂46「ガラスを割れ!」など強固なファンベースを持つグループの活躍が目立つ。そして、バンド楽曲のランクインはback numberの「瞬き」のみに留まっている。

 比べて今年2023年は、バンド形態の楽曲がトップ20内に9曲ランクインしている。これは、ここ数年コロナ禍でしばらくのあいだ止まっていた有観客ライブという文化が戻りつつあるタイミングという点が影響として考えられる。昨年以前のコロナ禍からヒットを続けるback number「水平線」やSaucy Dog「シンデレラボーイ」がライブでも味わえるようになったことで、さらにヒットの期間を伸ばしているのだろう。また、バンドではないが昨年の『NHK紅白歌合戦』でも話題となったVaundy「怪獣の花唄」のような、シンガロングが映えるような楽曲もチャート内で目立っている。

Vaundy LIVE "怪獣の花唄" (第73回NHK紅白歌合戦 歌唱曲) |
2022.09.09 one man live at BUDOKAN "深呼吸” (JAPAN/TOKYO)

 タイアップの効果も見落とせない。5位の10-FEET「第ゼロ感」は映画『THE FIRST SLAM DUNK』、6位のAdo「新時代 (ウタ from ONE PIECE FILM RED)」は映画『ONE PIECE FILM RED』、今回首位となったOfficial髭男dism「Subtitle」はドラマ『silent』(フジテレビ系)のためにそれぞれ書き下ろされた楽曲である。どの曲も、ただエンドロールで流れるだけでなく、“劇中でどう流れるか”という点にも力を入れた理想的なテーマソングばかりだ。

Official髭男dism - Subtitle [Official Video]

 今回首位となった「Subtitle」は、近年のトレンドであった3分前後の短い尺の曲ではなく、5分を超えるスローテンポなバラードであるにも関わらず、大ヒットを巻き起こした。5年前の首位を獲得した米津玄師「Lemon」もドラマ『アンナチュラル』(TBS系)の主題歌であり、ロングヒットを続けた結果、国民的なヒット曲となった。理想的なコラボレーションは、作品の根強い人気と連動して、広く深く届いていく可能性が高いのだ。

米津玄師 - Lemon Kenshi Yonezu

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