日本から世界へ広がるアニメソングの傾向は? Spotifyランキング&リスニングデータより考察

 ここまでは、2022年のランキングを振り返ってきたが、冒頭で挙げたYOASOBIの「アイドル」、昨年末リリースの『チェンソーマン』オープニングテーマの「KICK BACK」(米津玄師)など、2023年のランキングでも重要な位置を占めるであろうアニメソングが昨年末から続々と出揃っている。最後に、そうした楽曲たちも含め、海外で人気のアニメソングがどのように聴かれているかについて迫っていく。

 一言で「海外で聴かれている楽曲」と言っても、「どの都市を中心に聴かれているか」は各楽曲ごとに大きく異なる。

人気アニメソングの海外再生シェア比率/再生都市ランキング

アーティスト名「曲名」 海外再生シェア 1位 2位 3位 4位 5位
SiM「The Rumbling」 約9割 アメリカ メキシコ イギリス ドイツ ブラジル
ヒグチアイ「悪魔の子」 約9割 インドネシア アメリカ 日本 インド 台湾
LiSA「紅蓮華」 約9割 アメリカ 日本 インドネシア インド メキシコ
Aimer「残響散歌」 約6割 日本 アメリカ メキシコ インドネシア インド
TK from 凛として時雨「unravel」 約9割 アメリカ 日本 インド メキシコ ドイツ
米津玄師「KICK BACK」 約7割 日本 アメリカ メキシコ インドネシア イギリス
ano「ちゅ、多様性。」 約4割 日本 アメリカ メキシコ 台湾 カナダ
Ado「新時代 (ウタ from ONE PIECE FILM RED)」 約4割 日本 アメリカ インドネシア フィリピン メキシコ
RADWIMPS「すずめ feat.十明」 約9割 インド インドネシア アメリカ 日本 ドイツ
YOASOBI「アイドル」 約6割 日本 アメリカ インドネシア 台湾 フィリピン

(2023年5月Spotify調べ)

 基本的に、日本に次いで都市ランク上位を占めているのが「クランチロール」の本社もあるアメリカである。また、東南アジアのインドネシア、フィリピンも上位を占めている。アニメ関連のイベントを開催したり、アニメ関連楽曲を歌うアーティストがツアーを周ったりする影響もあり、これらの地域では日本のアニメ作品への親和性が特に高い。ヨーロッパではダークファンタジー作品がヒットしやすいという定説もあるが、『進撃の巨人』の「The Rumbling」や、『東京喰種トーキョーグール』の「unravel」が、イギリスやドイツで数多く聴かれていることも、上記の結果から読み取れる特徴の一つかもしれない。

 2023年も次々と新たなアニメソングが生まれているが、その中でも、海外再生シェア比率が高い『鬼滅の刃』シリーズ関連楽曲(「紅蓮華」「残響散歌」)の系譜に連なる、『刀鍛冶の里編』オープニング主題歌「絆ノ奇跡」(MAN WITH A MISSION×milet)など、海外のリスナーを巻き込むヒットを期待できる楽曲も登場している。2023年も引き続き、日本から世界へ広がるアニメソングの動向から目が離せない。

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