Aimer、アニメ『鬼滅の刃』遊郭編「残響散歌」で新記録 作品世界とのシンクロで高評価に

 12月6日に配信開始されたAimerの新曲「残響散歌」が、12月15日付の「オリコン週間デジタルシングル(単曲)ランキング」にて初登場1位を獲得した。加えて9.3万DLという初週ダウンロード数は、米津玄師「Pale Blue」の8.9万DL(6月14日付)を超えて、今年度最高初週DL数を記録。同時に「オリコン週間ストリーミングランキング」でも初登場1位となり、自身初のデジタルランキング2冠を達成している。Billboard JAPAN「JAPAN HOT 100」(12月15日公開)では、自身初のストリーミング1位となって初登場総合首位に。その他のチャートでも軒並み首位となって配信チャート48冠を達成し、YouTubeに公開されたMVの再生数は1週間で800万回を突破。今週に入ってもその勢いは変わらず、もはや留まるところを知らない。

 その最大の要因は、やはり配信前日に放送開始したTVアニメ『「鬼滅の刃」遊郭編』のオープニングテーマに起用されていることだろう。昨年コロナ禍の中で公開された『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』が日本歴代興行収入第1位を記録するなど、まさしく社会現象を巻き起こした大人気アニメの続編ともなれば注目度の高さは必然。ましてや、これまでTVシリーズのオープニング/エンディングテーマや劇場版主題歌を担当してきたLiSAが「紅蓮華」「炎」といった大ヒットを飛ばしているだけに、『遊郭編』の制作決定当初から“誰が主題歌を務めるのか?”とファンの間で大きな話題になっていた。そしてAimerの名がアナウンスされたとき、“これは適任”と膝を打った人も多いはずだ。

Aimer「残響散歌」MUSIC VIDEO(テレビアニメ「鬼滅の刃」遊郭編オープニングテーマ・先行配信中!

 これまで数々のアニメ主題歌を歌い、『鬼滅の刃』と同じufotableが制作する『Fate』シリーズでは梶浦由記ともタッグを組んできた彼女ゆえ、オープニングテーマという立ち位置における作品への寄り添い方は熟知している。結果、ピアノとブラスが躍る華やかなサウンドは、今作の主要キャラクターである宇髄天元いわく“男と女の見栄と欲、愛憎渦巻く夜の街”である『遊郭編』の舞台に、疾走感満点のメロディやアグレッシブなギターソロは鬼との闘いにピタリとリンク。aimerrhythm名義でAimer自身が手掛けた歌詞からは“音柱”であり「派手」が口癖な宇髄天元のパーソナリティが垣間見え、和歌の引用で漂わせる香の薫りは敵方である堕姫の存在さえ匂わせてくる。聴けば聴くほど、紐解けば紐解くほど、つまり、物語が進めば進むほど発見があり、深味の増す楽曲であることは間違いない。

 何より特筆すべきは、そのボーカルだ。エアリーと言うには仄暗く、ハスキーと呼ぶには透明度の高い独特の歌声は同業者からも高い評価を受け、これまでCocco、Taka(ONE OK ROCK)、TK(凛として時雨)、野田洋次郎(RADWIMPS)、内澤崇仁(androp)といった錚々たる面々から楽曲提供を受けている。「残響散歌」では特に低音域をフィーチャーしたことで声質の艶っぽさが押し出され、サビ終わりで歌い吐かれる“残響”に潜む歪みには、背筋がゾクリと震えるような凄味も。それは夜の街で闘い、生き抜く女の覚悟を感じさせ、『「鬼滅の刃」遊郭編』で繰り広げられる残酷で哀しい物語をも予感させる。『「鬼滅の刃」遊郭編』に対するAimer本人の深い理解と、そこから生まれた楽曲と作品世界の高いシンクロ率が無ければ、これだけの高評価は得られなかったはずだ。

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