SiM、『進撃の巨人』OPテーマが米ビルボード1位の快挙 至福の最恐ソング「The Rumbling」誕生までのバンドの歩み

SiM『進撃の巨人』OPテーマに至るまでの歩み

 SiMがなんと米ビルボード・チャート1位を獲得した。

 湘南発のレゲエパンク4人組が、音楽/アニメファンを巻き込んで世界中のリスナーを騒然とさせているのだ。同じ日本人として、SiMの音楽やライブを観続けてきた一人として、これほど嬉しいニュースは他にない。

 詳細を述べると、NHK総合で放送中のTVアニメ『進撃の巨人』The Final Season Part 2のオープニングテーマにSiMの「The Rumbling (TV Size)」が起用され、1月22日付の米ビルボード・ホットハードロックソングチャートにて初登場3位にチャートインし、1月29日付の同チャートで遂に首位へと上り詰めたのだ。

 2022年初頭から、まさに快進撃を見せるSiMとはどんなバンドなのか。ここでは彼らの音楽性や活動歴、また、群雄割拠のロックシーンにおいて、どうやって自身の存在を高めてきたのか。これまでの歩みを振り返りながら、2月7日にリリースされる待望のフルサイズ音源となる新曲「The Rumbling」の魅力に迫りたい。

 まずサウンド面の話から始めよう。MAH(Vo)、SHOW-HATE(Gt)、SIN(Ba)、GODRi(Dr)の4人からなるSiMは、音楽的には主にUSオルタナ/ニューメタルを代表するKornやDeftonesの影響が大きいだろう。特にヘヴィネスとメロディアスの両面を取り込んだエモーションは、SiMが大事にしているところだ。彼らはラウドロック=激しい音、と単純な図式で見られることを嫌う。

 「KiLLiNG ME」のようにヘヴィに振り切った攻撃性の高い楽曲にどうしても衆目は集まるけれど、それはあくまでバンドの一側面に過ぎない。ライブではスローナンバー「Same Sky」などの美しい曲調もプレイし、静かな感動を巻き起こす場面も何度と体験してきた。また、彼らの代表曲の一つであり、「オナナナナ~♪」の言い回しが一度聴いたら頭から離れない「Blah Blah Blah」。その曲では、目くるめく曲展開と超絶キャッチーなフレーズで鼓膜を射抜く手腕も発揮。加えて、パンク、レゲエから受け継いだ反骨のメッセージを貫き、歌と音に確かな説得力を込めてきた。

SiM - KiLLiNG ME (OFFICIAL VIDEO)
SiM - Same Sky (OFFICIAL VIDEO)
SiM - Blah Blah Blah (OFFICIAL VIDEO)

 活動面の話に移ると、coldrain、HEY-SMITH、SiMと同じ世代のバンドが集まり、3本の矢ならぬ、“3本の斧”を意味するTRIPLE AXE(3バンドの総称)を立ち上げ、対バン形式のツアーを定期的に開催。現場を観た人ならばわかると思うが、そこは完全なる闘いの場である。仲良しこよしのムードは絶無。「俺たちが絶対に一番だ!」と3バンドが凌ぎを削り合う修羅場。そのヒリヒリした緊張感が話題を呼び、本ツアーは会場のキャパを年々大きくし、名物イベントと化していった。その切磋琢磨し合う関係性の中で、個々のバンドが成長していく方法論に刺激を受けたアーティストも多い。

 2015年には“最初で最後”と銘打ち、ラウド系バンドでは異例とも言える日本武道館公演を大成功に収める。翌年2016年には横浜アリーナ公演を行い、名実共にバンドの存在感を強烈にアピールした。

 もう一つ彼らを語る上で、地元・神奈川を舞台に2015年から野外フェスへと切り替えたバンド主催の『DEAD POP FESTiVAL』にも触れておきたい。“壁を壊す”をテーマに掲げた同フェスはコロナ禍で2020年は中止を余儀なくされたが、2021年はガイドラインを遵守して決行。「自分たちが信じているものをどんな形でも守るのがパンク」と、ライブ中のMCで力強く言い切ったMAHの言葉は今も忘れられない。精神的に一回りも二回りもタフになったパフォーマンスにより、観客と深い部分で一つに繋がった景色は感動的であった。

SiM / DEAD POP FESTiVAL 2021 DAY1 <FOR J-LOD LiVE>
SiM / DEAD POP FESTiVAL 2021 DAY2 <FOR J-LOD LiVE>

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