THE RAMPAGE、FANTASTICS パフォーマーのアイデンティティ TOMOKO IDAとメンバーが語り合うダンストラックの裏側

TOMOKO IDA×ランペ&ファンタ ダンストラック対談

 THE RAMPAGEやFANTASTICSがライブにおいて、パフォーマー自らのアイデンティティを示す重要な要素となるダンスパート。そこでは、それぞれの個性を際立たせるダンストラックが存在する。ビートメイカーの中でも数少ないダンストラックを手掛けるクリエイターの一人が、今回登場するTOMOKO IDAだ。TOMOKO IDAは、THE RAMPAGEでは「13 SAVAGE」をはじめ、「RAMPAGE ALL DAY」や「PERFORMER'S D.N.A.」、FANTASTICSでは「THE 7 OCEANS」などを制作している。

 今回の取材では、それらの楽曲についてTOMOKO IDAとTHE RAMPAGEから陣・龍・岩谷翔吾を、FANTASTICSからは世界を招き対談を行った。普段あまり聞くことのできない特殊なダンストラックのクリエイティブについて制作の裏側や意義を聞いた。(編集部)

TOMOKO IDA×THE RAMPAGE 陣・龍・岩谷翔吾 編

――これまでに「13 SAVAGE」をはじめ、「RAMPAGE ALL DAY」や「PERFORMER'S D.N.A.」のTHE RAMPAGEのダンストラックなどを TOMOKOさんが手がけてきましたが、依頼のきっかけは何だったのでしょうか?

陣:THE RAMPAGEのメンバー全員が洋楽志向が強く、ブラックカルチャーの影響を受けてきたこともあり、「イケてるダンストラックを作れる人に依頼したい」という構想からTOMOKOさんの名前が挙がりました。

龍:僕らも前知識があったわけではないので、TOMOKOさんのSNSをチェックしたり、作品集を聴いたりしましたね。

岩谷翔吾(以下、岩谷):それまでお願いしていたビートメイカーの方もいたんですが、「THE RAMPAGEとして何を表現すべきか?」というテーマと向き合ったとき、TOMOKOさんが作る音と僕らのイメージがバチッとハマりました。一番最初の作品となった「13 SAVAGE」で、ダンスの表現の幅も広がったし、改めて感謝しています。

THE RAMPAGE from EXILE TRIBE / 13 SAVAGE Introduced by AK-69 (Music Video)

TOMOKO IDA(以下、 TOMOKO):初めてのミーティングはメンバー全員ではなく、山彰さん(山本彰吾)とLIKIYAさん、瑠唯さん(与那嶺瑠唯)、昂秀さん(鈴木昂秀)達でしたね。私もキャリアがまだまだだったので、「BPMはどのくらいがいいでしょうか?」「……むしろどのくらいがいいんでしょう?」とか、メンバーとも探り探りで話し合ったのを覚えています。私としては「13 SAVAGE」から「PERFORMER'S D.N.A.」に至るまで、THE RAMPAGEのみなさんと一緒に成長していけている感覚が強いです。

――どのような点から互いに成長している感覚がありますか?

TOMOKO:2017年に「13 SAVAGE」と「RAMPAGE ALL DAY」の2作を連続で制作することができて、メンバーの特徴を掴むことができたんですね。ツアー用のダンストラックや、映画『HiGH&LOW』のイベントで使用するダンストラックなどにおいても密にやりとりすることができて、2021年に「PERFORMER'S D.N.A.」の依頼をいただいたときは、メンバー一人ひとりの印象を過去のダンストラックと照らし合わせながら「きっとこういう要望がくるんじゃないかな」と推測することもできました。

THE RAMPAGE from EXILE TRIBE / PERFORMER'S D.N.A. (MUSIC VIDEO)

陣:個人での要望よりも、「1曲を通して起承転結をつけよう」といった全体としてのまとまりを意識しましたよね。実際にTOMOKOさんが作ったダンストラックは、イメージから外れるものがなかったので、メンバーも見てくださる人たちを飽きさせない振りつけを考えることもできました。MVの撮影現場でも「ヤバいね」って言いながら踊っていたし、想像を超える瞬間というか、いつもワクワクさせてもらっています。

龍:唯一無二のショウケースですよね。僕の中ではすべての曲が今でも斬新なダンストラックとして映っています。

――TOMOKOさんは以前の取材(※1)で「13人分のソロパート、全員でのパートも詰まった「RAMPAGE ALL DAY」の制作が一番大変だった」と話していますが、振り返ってみてどのような制作でしたか?

陣:僕のパートに関しては、TOMOKOさんにいくつか動画と音源をリファレンスとして送りました。スピード感や音色、分数を指定したハメのポイントだったり、あとはトークボックスを使いたいというリクエストを出し……と言いつつも、結構アバウトだったんですよ(笑)。でも、完成したトラックは僕がイメージした通りで、踊ってみたらすごく楽しかった。ただ「RAMPAGE ALL DAY」はメンバー13通りのトラックがあって、僕みたいな毛色が違いすぎるものが入ると制作に迷惑をかけるんじゃないかと不安でした。

THE RAMPAGE from EXILE TRIBE / RAMPAGE ALL DAY Introduced by Zeebra (Music Video)

TOMOKO:陣さんに限らず、みなさん大変でした(笑)。最初に大人数で全体ミーティングをした記憶があるんですが、これは後にレコーディングも加えた曲になったので、結構手の込んだ作品になりましたよね。

岩谷:僕は90年代のニュージャックスウィングにルーツがあるんですけど、この時はヨーロッパのサウンドにハマっていたので、The Chemical Brothersをリファレンスに出したような気がします。

龍:僕と(鈴木)昂秀はトラップセクションだったんですけど、TOMOKOさんにはケンドリック・ラマーの曲をリファレンスとして渡して、さらにビートを乱雑にしてもらいました。やりとりは合計で……2回くらいでしたかね?

TOMOKO:トラップチームはやりとりの往復が少なくて助かります(笑)。

陣:僕も2往復くらいでしたよね?

TOMOKO:それでも13人いるので、ひとり2往復で計算すると26往復はすることになりますけどね(笑)。「RAMPAGE ALL DAY」で一番大変だったのは、13人のソロトラックでしたが、それ以上に挑戦することも多かった。例えば、クランプのトラックを作ることは、私のキャリアではほぼ初挑戦に近いものだったので、「このシンセの音は私が作る曲では使わないけど……ハマるといいな」と思ったり。他にもLIKIYAさんと(藤原)樹さん、山彰さんのダブステップパートも手探り状態で、指定されたBPMで制作しても、いざ踊ってみたら「これじゃない」という意見が戻ってきて。私が感じるBPMと、パフォーマーの方が実際に踊ってみたときの脳内BPMには差が生じるんだなと痛感することもありました。

――各々フィットするBPMというのはありますか?

岩谷:僕は128ですね。だいたいこのBPMでトラックを作ってほしいと伝えています。

龍:140、もしくは115ですね。

陣:基本は100超えで、上限は120いかないくらい。BPM遅めで踊りたいときもあるので、時期によってフィットするBPMは変わりますね。

――これまでTOMOKOさんは手がけたダンストラックにおいて、メンバー間で「○○のパートのトラックかっこいいな」など、ある種のやきもち、気移りしてしまいそうな瞬間はあったりしましたか?

陣:僕と(与那嶺)瑠唯が踊るジャンルは一緒なんですけど、確実に味は違うんですよ。お菓子を食べていて甘いものばかり食べていたらしょっぱいものも食べたくなる感覚と一緒で、ツアーのときとか「今日、パート替えへん?」ってお互いのソロを交換してパフォーマンスすることがありましたね。

岩谷翔吾

岩谷:僕の場合は「RAMPAGE ALL DAY」で一番最初に踊るイメージがついたのか、“一番手を任せられる”ようになったんです。すごくありがたいことなんですけど、ツアーではユニゾンから入ってソロがスタートするので、自動的にユニゾンで力を出し尽くした後にソロを披露しなくちゃいけない。なので、かなりキツいんです。400メートルダッシュをした後に、さらに200メートルをダッシュするような感じ(笑)。そういう意味で、気移りというよりはソロの順番が後半のメンバーがうらやましいと思ったりします。

陣:確かにいつも頭は翔吾や(浦川)翔平だよね。最後は(武知)海青とかのダイナミックなパフォーマーで締める、みたいにざっくりした順番は決まりますね。

岩谷:僕自身パフォーマーとしてのポジションを自覚しているので、ド頭が勢いMAXじゃないとエンストを起こしてしまうというか、そこから尻すぼみになってしまったら元も子もない。中盤でもう一度爆発を起こしてユニゾンにつなげることを考えたら、ステップやニュージャックスウィングからスタートしたほうがエンジンもかかりやすい。だから、海青やLIKIYAさんのようなTHE RAMPAGEの骨太の意志を表現してくれるダンスは頭よりも締めのほうが映える。……なので、うらやましい気持ちはありますが、フラストレーションはありません(笑)!

龍:THE RAMPAGEパフォーマーは人数が多いけど、「俺が俺が!」みたいなメンバーもいないし、全員の関係値が洗練されている。自然に互いを尊重している感覚はありますよね。

TOMOKO:すごくわかります。実際にこれまでツアー前のリハーサル動画が送られてくることがあったんですが、信頼関係が築かれているというか、純粋に見ていてテンションが上がりますもんね。

――みなさんはパフォーマーとして、ダンストラックにどのような思いを持っていますか?

陣:僕らのアイデンティティですね。LDHがパフォーマーという職業を築き、今では当たり前に「パフォーマー」と認識してもらえるようになりましたが、基本はダンサーからきているパフォーマーであることは間違いない。なので、そこにプライドを持って続けていきたいと思っています。

岩谷:13人のパフォーマーは音楽のルーツはバラバラだけど、大所帯ならではの個々のキャラクターを活かしたパフォーマンスを届けられると思っているのですが、それにより迫力を与えてくれるのがダンストラックの存在。曲によって変幻自在に形を変えられるのがTHE RAMPAGEの醍醐味でもあるので、これからも形を変えながら魅せていきたいですね。

龍:ダンストラックで踊ることは刺激的な時間。何度踊ってもドキドキしますからね。グループで踊っていてもソロで踊っていても、その人の日常や生きてきた証が映し出されると思っています。

TOMOKO:「PERFORMER'S D.N.A.」の制作のときにも感じたことなんですが、THE RAMPAGEらしさはもちろん、メンバー全員が一番輝くことのできるトラックを作ることが、私がダンストラックを作る意義につながると思っています。

※1 https://realsound.jp/2021/10/post-887883.html

■THE RAMPAGE リリース情報
NEW SINGLE「16BOOSTERZ」
5月2日(火)発売
https://THERAMPAGE.lnk.to/16BOOSTERZ_DLSTR

■THE RAMPAGEツアー情報
『THE RAMPAGE LIVE TOUR 2023 "16"』
《静岡》エコパアリーナ
5月27日(土)・5月28日(日)
《東京》有明アリーナ
6月21日(水)・6月22日(木)・6月24日(土)・6月25日(日)
《宮城》宮城・セキスイハイムスーパーアリーナ
7月8日(土)・7月9日(日)
《福岡》西日本総合展示場 新館
8月19日(土)・8月20日(日)
《大阪》大阪城ホール
9月12日(火)・9月13日(水)・9月14日(木)

THE RAMPAGE from EXILE TRIBEオフィシャルモバイルサイト
https://m.tribe-m.jp/artist/index/43

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