SEVENTEEN、なぜ多くのファンの心を掴む? 期待値をはるかに超えたミニアルバム『FML』の好調ぶり
そして、2曲目にはダブルタイトル曲のもうひとつの楽曲となる「손오공(Super)」を収録。SEVENTEENといえば、一度聴いたら忘れられないキャッチ―なタイトル曲を生み出すのが得意な印象だが、本楽曲も彼らの強みが存分に活かされた中毒性の高い作品となった。オルタナティブジャジークラブ風の繰り返される特徴的なリズムと、アジアの伝統的な音楽を意識したようなサウンドがリスナーの耳を奪う楽曲だ。
そして、本楽曲はMVの視聴も欠かせない。タイトルの“손오공”は韓国語で孫悟空を意味し、MVではまさに孫悟空をイメージした壮大な舞台装置がつくられている。その中で200名超えのバックダンサーとともに披露されたメンバー13人の一糸乱れぬダンスは圧巻。また、衣装や振付にもところどころ、孫悟空を意識したモチーフが見られるのもおもしろい。細部までこだわりの感じられるMVは、最後まで飽きることなく視聴者を惹きつける映像となっている。
そのような楽曲とMVの世界観の中で、WOOZIは楽曲の最後に〈이 노래는 이 만화의 엔딩송이다 (この歌は この漫画のエンディングソングだ)〉と歌った。このフレーズは先ほど紹介した1曲目「F*ck My Life」の歌詞と伏線回収的にリンクしており、今回のミニアルバム全体のストーリーを描き出すことに一役買っている。また、歌詞全体を見ていくと、彼らのこれまでのキャリアと重なって思わず感情移入をしてしまう部分も多く、改めてSEVENTEENのストーリーテリングの巧みさと、楽曲・アルバムプロデュース力の高さを実感できる点も、「손오공(Super)」の特徴と言えるだろう。本楽曲はApple Musicの日本国内におけるトップ100でもすでに上位にランクインしており、サウンドの中毒性の高さとコンセプトの巧みさから、国内でもさらに聴かれる楽曲となるのではないだろうか。
中心となって楽曲制作を担当したWOOZIは今回のミニアルバムに関して「SEVENTEENのさまざまな強みをすべてお見せしたかったし、アルバムの完成度も考慮しました」と語った(※4)。まさにその言葉通りのアルバムである本作は、良い意味でファンの想像を超えた作品になったと言えるだろう。リリースのたびに、こちらの期待値をはるかに超えた作品とパフォーマンスを届けてくれる彼らの才能の豊かさとセンス、その背後にある並々ならぬ努力に心を打たれるからこそ、日本国内でも大阪と東京の2大ドームでファンミーティングを行えるほど高い人気を誇っているのかもしれない。
まだ始まったばかりのSEVENTEENのカムバック期間。彼らの今後の活動に大きな期待を寄せたい。
※1:https://www.mk.co.kr/star/musics/view/2023/04/316444/(筆者訳)
※2:https://www.mk.co.kr/star/musics/view/2023/04/256527/(筆者訳)
※3:https://magazine.weverse.io/article/view?lang=ja&num=706
※4:https://www.mk.co.kr/star/musics/view/2023/04/313656/(筆者訳)
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