浪漫革命、新たな始まりを予感させた熱気溢れる演奏 無邪気な喜びに満ちたワンマンライブ『黎明』を振り返る

浪漫革命、熱気溢れる『黎明』レポ

 浪漫革命がワンマンライブ『黎明』を大阪と東京で開催。東京編は、2023年3月24日に東京キネマ倶楽部にて行われた。

 浪漫革命は2017年5月に京都で結成された5人組バンド。プロフィールには“音楽はいつだって黎明期であることを信じた革命児達”とあり、ライブタイトルの“黎明”は彼らにとって重要なキーワードであることが窺える。“黎明”=夜明け。何かが始まりそうな予感に期待を膨らませながら開演時間を迎えた。

 まず、会場下手にある踊り場にライトがあたり、ゲストのサックスプレイヤー・華波が登場。「ラプソディ・イン・ブルー」のメロディを表情豊かに奏でると、ステージに大池奏太(Gt/Cho)、後藤潤一(Gt)、藤本卓馬(Ba)、TOY(Dr)の4人が現れて音を重ねていく。5人のアンサンブルが盛り上がりを見せたところで、踊り場に藤澤信次郎(Vo)が登場。「いくぜー!」という熱い掛け声とともに、1曲目の「リリ」の演奏が始まった。

 TOYが刻む力強いビートを合図に、楽曲は「HEY!×3」へ。1曲目に続きハンドマイクで歌唱する藤澤は、高く飛び跳ねたり、後藤の肩に手をかけたりと目まぐるしく動き回っており、このステージを存分に楽しんでいるのが客席にも伝わってくる。上手の方に目を向ければ、藤本と大池が向き合ってプレイしており、〈素晴らしい仲間がここにいるのさ〉という歌詞をそっくり表すような、彼らの無邪気さあふれる光景が広がっていた。

 2曲目にして会場が高揚感に包まれたところで、藤本による冒頭のベースラインが印象的な「JUST DO IT」へ。その後は「ラブストーリー」「ベイべ」と続き、彼らの魅力であるどこか懐かしいサウンドが響き渡っていく。なお、会場の東京キネマ倶楽部は元グランドキャバレーで、大正ロマンのオペラハウスを再現したライブスペースだ。そんな会場と、浪漫革命の音楽が合わないはずがない。古い洋館を思わせる内装とレトロなサウンドを堪能していると、まるで昔にタイムスリップしたような気分にもなってくる。そんな感覚を味わってもらうために、彼らはワンマンライブの会場に東京キネマ倶楽部を選んだのだろう。

「6年間の集大成ということで、みんなに出会えて幸せです!」

 藤澤がそう高らかに叫ぶと、本公演は声出しOKとのことで、観客と「学園天国」のコール&レスポンスへ。ここで「学園天国」というチョイスもなんだか彼ららしい。続く「アバンチュール」「KYOTO」では再び華波が参加し、5人の演奏に華を添えていた。

 「Lovely moon night」でロマンチックなムードを漂わせた後、にぎやかなステージとは一転、ここからは“聴かせる”ステージ。後藤がリバーヴをたっぷり効かせたギターを奏でると、披露されたのは「ふたりでいること」と「ひとり」だった。5人が作り出す優しいサウンドに、藤澤の感情的な歌声が重なる。先ほどまでとは異なるしっとりとした演奏に、フロアは静かに聴き入っていた。

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