リアルサウンド連載「From Editors」第3回:島耕作とゴルフⅡと私

 「From Editors」はリアルサウンド音楽の編集部員が、“最近心を動かされたもの”を取り上げる企画。音楽に限らず、幅広いカルチャーをピックアップしていく。

島耕作きっかけで購入したフォルクスワーゲン ゴルフⅡ

 最近、車を買いました。今までローンや借金とは無縁の生活を送ってきたため、初めて負債を抱えたという意味で、心を動かされたというか、家計がグラグラ揺れています。

 ちなみに、車種は1991年製のフォルクスワーゲン ゴルフⅡ。いわゆるヴィンテージ車で、結果的に近年の旧車ブームに乗ってしまいました。今振り返ると、納車日に高速道路でエンストした際は今世紀最大に心が震えたようにも思います。

 なぜ今になって車を買ったのか、そしてなぜ車種がゴルフⅡなのか。

 車を買った理由は単純に便利そうだし、映画『ドライブ・マイ・カー』を観て「車でしか見られない景色があるのでは」と渋ちい西島秀俊さんに心打たれたこと、あとあわよくばモテる可能性が若干上がるのではないかと思ったから。見た目・性格・お金といった自分自身のスペックに上限が見えてきた今日この頃。自身の能力値が足りないなら武器を手に入れて拡張すればいいのでは……というゲームとリアルを混同した安直なひらめきが発端でした。

 で、それまで車に関する知識が皆無だったので、車好きの友人にまずは相談。おそらく“モテたい”という部分に私の真摯さを感じたのか、「それなら島耕作と同じ車にしなよ!」とおすすめされ、あれよあれよとゴルフⅡの購入に至ったわけです。(※『課長 島耕作』にゴルフⅡが登場します)

 会社員漫画の金字塔『島耕作』シリーズの主人公・島耕作はなぜかモテる。不倫したり、されたりと、良いか悪いかは置いておいて非常にモテる。耕作のモテ具合を理解するのに最適な記事があるので、ぜひ多くの方に読んでもらいたい。純愛漫画『君に届け』と『島耕作』を繋ぐアクロバティックな分析に、私は思わず膝を打ちました。

島耕作のスピード感は、『君に届け』を2コマで置き去りにする
https://manba.co.jp/manba_magazines/4671

 もちろん耕作は車があるからモテるわけではないし、私自身がああいう人柄、団塊の世代が持つ美学に憧れているわけでもない(耕作より、断然、西島さんになりたい。顔が)。ただ、同じ車に乗ったことによって、人生にバタフライエフェクト的なものが生じ、耕作のようにモテる世界線へ乗り換えできるのかもしれない、という淡い期待はなくもない。

 当然、今のところ車によってスペックが拡張された気配は一切ない。むしろ、維持費やらであらゆる交際費が割けずに本末転倒な状況にある。しかし、そこに目を瞑ればカーライフはそれなりに楽しかったりもするので、今はそれで良しとしています。

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