MAZZEL、DXTEEN、XY、龍宮城……ボーイズグループのデビュー続々 楽曲面から伝わる独自性を分析

 2020年代の音楽シーンを俯瞰しながら振り返ると、特に大きなトピックスの一つとして、国内外で数々のボーイズグループが躍進していることが挙げられると思う。韓国では、BTSがK-POPの枠組みを越えて、グローバルシーン全体で絶大なポピュラリティを獲得したことが何よりも象徴的であるが、日本からも、この数年間で数々の新しいボーイズグループが頭角を現している。現在のボーイズグループシーンは、まさに群雄割拠とも呼ぶべき様相を呈していて、2023年に突入してからも新しいグループのデビューが相次いでいる。

 オーディション番組発のグループの場合、結成前からすでにメンバーを応援しているファンが存在し、それぞれのグループが結成されたその瞬間から注目を集める状態にあることが多い。そのため、グループ結成の興奮が覚めないうちに、結成から短期間でプレデビュー曲として楽曲を公開するグループも珍しくない。そういった、グループとして初めて公開するデビュー曲・プレデビュー曲は、グループ結成を心待ちにしてきたファンにとっては特に思い入れの深いものになると同時に、多くの人にグループの存在を知ってもらうきっかけにもなる、大切な一曲になるはずだ。こういった楽曲が、それぞれのグループの長きにわたる活動において非常に重要な、さらに言えば、運命めいたものであり続けることは変わらないだろう。

 今回は、2023年デビューのボーイズグループのデビュー曲・プレデビュー曲について紹介していく。この記事を通して、多彩なグループが躍進する今のシーンの勢い、そして豊かさを感じ取ってもらえたら嬉しい。

MAZZEL「MISSION」

MAZZEL / MISSION -Music Video-

 1組目としてピックアップするのは、BE:FIRSTらが所属し、SKY-HIが率いるBMSGの新グループとしてデビューを5月に控えたMAZZEL。彼らはオーディション番組『MISSIONx2』から誕生したグループであり、BMSGのトレーニーから選ばれた3名と一般公募から選出されたメンバー5名の計8名で構成されている。3月に配信リリースされたプレデビューシングル「MISSION」は、BMSG主宰のSKY-HIが作詞作曲を手掛けた楽曲。SKY-HIは、MAZZELについて「“BE:FIRST2”を作ることは避けたかった。音楽性でも差別化していく」(※1)と明言しており、実際に同曲は、BE:FIRSTのプレデビュー曲「Shining One」とは異なり、ダークな世界観を追求した攻撃的なミクスチャーナンバーに仕上がっている。MVを観ると、彼らのダンスパフォーマンスがすでに徹底的に磨きこまれていることに驚かされる。MAZZELの先輩にあたるBE:FIRST結成の際の審査基準の一つだった「クオリティファースト」が、彼らにも継承されていることは間違いないだろう。5月17日にリリースされるデビュー曲「Vivid」は、最新ビジュアルからも「MISSION」とはまた異なる方向性の一曲になりそうだ。公開を楽しみに待ちたい。

DXTEEN「Brand New Day」

DXTEEN|'Brand New Day' Official MV

 続いて、1組目としてピックアップするのは、5月10日にLAPONEエンタテインメントからデビュー予定のDXTEENだ。彼らは、JO1とINIに続く形で同事務所からデビューするグループであり、それ故に、彼ら6人にはデビュー前からすでに大きな注目と期待が寄せられている。満を持してリリースされるデビューシングル曲「Brand New Day」は、爽快さを全面に押し出したレトロなテイストのポップナンバーである。まず、イントロにおける鮮やかなボーカルチョップが聴く者の高揚感を煽る。一方で同曲のトラックは、上品な間と余白を丁寧に踏まえた上で構築されていて、洗練されたクールさを感じさせる。そうした印象は、MVでのダンスパフォーマンスを観ても同様で、それはまさに、これまで6人が積み重ねてきた練習の輝かしい成果であると言える。また、全編にわたって、力強いベースラインが楽曲を牽引する役割を担っていて、このようなボトムに重きを置いたアレンジは、近年のグローバルポップの潮流を踏まえたものだろう。今後のグローバル展開への期待が高まる。

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「コラム」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる