島爺&ナナホシ管弦楽団、大熱唱と大合唱で確かめ合ったファンとの絆 カロンズベカラズと共に踏み出した新章の幕開け

島爺、声出しライブレポ

 「島爺SymaG Live 2023【Band Edition】『狂宴2023~老人、軽んずべからず~』」の東京公演が4月8日、東京・代官山UNITで開催された。

島爺

 ファンの誰もがこの日を待っていた。久しぶりのオールスタンディング&声出しありのライブ。2017年6月、今はなき赤坂BLITZでの初ライブ以降、ファン=孫と共有する空間を重視してきた島爺にとっても、待望の公演だった。

 オープニングアクトを務めたのは、島爺と盟友・ナナホシ管弦楽団によるユニット「カロンズベカラズ」。大歓声のなか迎えられた二人とスペシャルバンドは、「かろんずべからず」「洗脳返し」と畳み掛けるように、会場を一気にヒートアップさせる。

ナナホシ管弦楽団

 「オープニングアクトということで、島爺さんに呼んでいただいた。徳の高い人やなぁ……」と、自作自演で観客を笑わせる島爺。「会いたかったよー!」というファンの声に応える、普段通りの和やかムードだが、バンドのパフォーマンスは凄まじい。続いて「残光」「HitBit」から「娑婆駄馬」まで、披露されたEP『曲者』収録の全5曲は、ライブを想定したものとは到底思えない難曲ぞろい。しかし、蓋を開けてみれば観客が声を合わせるシンガロング的パートも充実しており、何より島爺の熱量の高い歌唱&ギタリスト・ナナホシ管弦楽団を筆頭とするバンドの卓越したスキルで、紛れもない“ライブ曲”のオンパレードになっていた。

 束の間の転換を挟み、あらためて登場した島爺。観客にクールダウンする暇を与えず、歌い手・島爺を象徴する一曲「ブリキノダンス」から、本編がスタートした。〈あほぬかせ 歌ておもくそ踊って笑て 土に戻れたなら僥倖〉ーーと、聞き慣れた歌詞が新しい意味を持って響く「岐路と銃口」を経て、島爺は久しぶりに客席を煽る。「うるさい黙れ!というくらい声を出してもらえれば(笑)。まだいけるなぁ。いけるかー!?」と、凄みとともに人の良さも滲み出る煽りに、孫たちは全力で応えた。

 「世余威ノ宵」から「悪魔の踊り方」と洒脱なロックナンバーから、泣きの名曲「川沿い」まで、縦横無尽に幅広い楽曲を披露するチーム島爺。観客からは「最高!」「かっこいい!」「ありがとう!」と、シンプルな称賛の言葉が聞かれるが、「もう寝る?」と“老人”を労る声に、島爺は思わず「(いつものノリが)戻ってきたな(笑)」と吹き出す。そんな温かい空間のなかで、buzzGの書き下ろしによる新曲「命動」が披露されたのは、大きなサプライズだった。強さと疾走感を兼ね備えたbuzzGらしいロックナンバーで、まだ続くコロナ禍の暗闇を切り裂くような、目の覚める一曲だ。

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