SG、ボーダーレスを体現するライブでフロアにもたらした一体感 Novel Core、Rude-αら豪華ゲストも登場した『1st Concert』

SG、豪華ゲスト登場した『1st Concert』

 3月22日、日韓ハーフのシンガーソングライター・SGのワンマンライブ『SG 1st Concert “FINALE” #SGproject』が、渋谷・Spotify O-EASTにて開催された。この日の公演はSGにとっての初ライブであり、これまで約3年間にわたりYouTubeやTikTokを通して彼を応援し続けてきたファンとの直接的なコミュニケーションが実現した一夜となった。今回は、その記念すべき公演の模様を振り返っていく。

 この日の公演は、ライブ同日にリリースされた1stフルアルバム『FINALE』の全16曲をアルバム収録順に披露したほか、彼の人気に火をつけたSHAUN「Way Back Home」の日本語カバーもセットリストに組み込まれた。実に多彩な17曲が披露された今回のライブであるが、何よりも特筆すべきは、「#SGproject」関連の楽曲である。SGは、自身が人種による差別に苦しんできた経験から「“Music has no borders.” ―音楽には国境がないことを証明する」というテーマを掲げて音楽活動を行っており、そして昨年6月以降、そのテーマを色濃く反映する取り組みとして、世代やジャンルの異なる様々なアーティストをゲストに迎えたフィーチャリング楽曲を毎月配信するプロジェクト「#SGproject」を始動した。後述するように、この日の公演にはSGと共にコラボ曲を制作した多様なアーティストがゲスト出演を果たし、まさに、これまでの歩みの一つの集大成とも呼ぶべき特別な一夜となった。

 ライブ冒頭、ステージを覆うカーテンが開くと、そこには椅子に腰掛けたSGの姿が。そして、そのままオープニングナンバー「Instagram」へ。繊細さと芯の強さの両方を兼ね備えた歌声を通して、〈本当は今 君に会いたい〉という切実な想いが観客へダイレクトに共有されていく。今回のライブでは、全曲に新たなバンドアレンジが施されていて、この曲においては、サビから加わった力強いバンドサウンドと相まって、音源よりも深くSGの歌と言葉が胸を打つ。

 椅子から立ち上がったSGは、「東京、会いたかったぜ! 今日は絶対忘れられない日にするから」と目の前のファンに向けて力強く宣言する。そして次々と楽曲を披露しながら、ステージとフロアの一体感、会場全体の高揚感を高めていく。特に、轟音のギターサウンドをフィーチャーした「断捨離」のサビにおける、彼の胸の内のエモーションの爆発を伝える熾烈なステージパフォーマンスは圧巻だった。

吉田凜音

 そしてここから、ゲストとの共演が続々と実現していく。「LOVE JENGA (feat. 吉田凜音)」では、吉田凜音と共に、艶やかなバンド演奏に乗せて濃密なデュエットを届け、「Lotto (feat. Novel Core)」では、業火のように燃えたぎる緑色の炎の映像を背に、Novel Coreと共に熾烈で鋭いリリックを容赦なく畳み掛けていく。日本語、韓国語、英語を巧みに往来しながら届けられるパフォーマンスは、まさにSGのライブだからこその体験だ。そして「閃光 (feat. Aile The Shota)」では、パワフルなダンスビートを推進力としながら、Aile The Shotaとの流麗なマイクリレーを届けていく。

Novel Core

 ゲストとのコラボレーションはまだまだ続く。痛快なパーティチューン「Y.O.L.O (feat. 鈴木鈴木)」では、3人の無邪気なアジテーションを受けて、これまでのステージングを通してすでに限界まで達していたかのように思えたフロアの熱量がさらに何段階も高まっていく。観客と共に一斉にタオルを回す景色は壮観で、また、曲の途中では、SGが鈴木鈴木の2人からサプライズで花束を受け取る一幕もあった。その時の喜びと驚きに満ちた表情からは、彼が今回のライブを誰よりも楽しんでいることがありありと伝わってきた。

鈴木鈴木

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「ライブ評」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる