aiko、優里、Tani Yuuki、クリープハイプ、円神……3月29日リリースの新譜5作をレビュー

 毎週のリリース作の中から注目作品をレビューしていく連載「本日、フラゲ日!」。今回は3月29日リリースのaiko『今の二人をお互いが見てる』、優里『弐』、Tani Yuuki『多面態』、クリープハイプ『だからそれは真実』、円神『MERRY GO ROUND』の5作品をピックアップした。(編集部)

aiko『今の二人をお互いが見てる』

 ドラマ『忍者に結婚は難しい』(フジテレビ系)主題歌「あかときリロード」、映画『もっと超越した所へ。』主題歌「果てしない二人」などのシングルを含む2年ぶりのオリジナルアルバムが到着。“どんな状態であっても、自分を認めてあげたい”という願いと決意を込めたアッパーチューン「荒れた唇は恋を失くす」(M1)から、“散らかった玄関”をモチーフに、永遠に続くことがない“君”との関係に思いを馳せる「玄関のあとで」(M13)まで。日常のなかから生まれるaikoの楽曲は、聴く者に“自分の生活も捨てたもんじゃないかも”という前向きな思いを芽生えさせてくれるはず。弦楽器と歌のシックなアレンジによる「のぼせ」をはじめ、言葉とメロディが織りなす有機的な表現もさらに深みを増している。(森)

aiko-『果てしない二人』music video

優里『弐』

 お笑い芸人の鉄拳のパラパラ漫画によるMVが話題のストレートな応援ソング「ビリミリオン」、映画『かがみの孤城』主題歌「メリーゴーランド」などのヒット曲を収めた2ndアルバム。人類のために宇宙に飛び立った男性が、地球にいる“あなた”を思うSF的遠距離ソング「アストロノーツ」、アコースティックギターと歌を中心にしたアレンジで、片思いの切なさと宇宙的な深遠さが共存する歌が心に残るバラードナンバー「ガリレオは恋をする」、告白のドキドキを生々しく描いたライブの定番曲「告白直前酸欠状態」などの新録曲も充実。リスナーの日常や感情とつながり、共感と解放、繊細さとダイナミズムを同時に感じさせてくれる優里の歌は、キャリアを重ねるにつれて向上し続けているようだ。(森)

優里『ビリミリオン』Official Music Video

Tani Yuuki『多面態』

 2021年リリースの楽曲「W/X/Y」が2022年の年間Billboard JAPANストリーミング・ソング・チャート“Streaming Songs”をはじめとするランキングで1位に輝いたことで、瞬く間に時代を象徴する存在となったTani Yuuki。同曲は、ストリーミング総再生数4億回を突破しており、それ故に今回リリースされる2ndアルバムにも大きな期待と注目が集まっている。「W/X/Y」の印象が強い人は、彼に対してラブソングの名手というイメージを持っているかもしれない。しかし、タイトルの『多面態』が示唆しているように、今作では彼の多様な側面が数々のポップスを通して表現されている。アルバムは、「生きる偉人たちよ」における〈少年少女  さぁ、大志を抱け〉という力強いメッセージから幕を開ける。また、「W/X/Y」に並ぶ代表曲となった「もう一度」で、彼は〈僕ら何度も歌うよ/世界中のどこか/歌を聴いた君が/笑ってくれるように〉と歌う。これらの言葉、そして、しなやかでありながら逞しい歌声を聴くと、彼は今作において、老若男女に向けて開かれたポップスを届けようという決意をさらに深めているように思える。今まで以上に大きな普遍へと向き合うことで生み出された今作は、彼のキャリアにおける転機の一作となるはず。(松本)

Tani Yuuki 2nd Album『多面態』全曲ダイジェストトレーラー

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