HOWL BE QUIET、13年間のバンド活動に幕 たくさんの愛に包まれた幸福なラストライブ

HOWL BE QUIETラストライブレポ

 「普段のワンマンなら、このへんで“そろそろラストスパートです”ってなるんだけど、まだ半分です(笑)」(竹縄)というMCの後は、「Dousite」「I’M HOME」「Higher Climber」とアップテンポの楽曲を次々と披露。ライブバンドとしての魅力をダイレクトに見せつける。フロアの高揚感が頂点に達しつつあるタイミングで放たれたのは、失恋バラード2曲だった。”二人でいたい”という思いを残したまま、恋人との別れを決意するまでの葛藤を生々しく綴った「208」、そして、離れ離れになった彼女に「幸せになってね」という言葉を贈る「サネカズラ」。数多くの優れたラブソングを生み出してきたHOWLだが、この2曲は格別。痛みにも似た悲しさ、切なさを増幅させるようなエモーショナルなステージングは、すべての観客の記憶にしっかりと刻まれたはずだ。

HOWL BE QUIET(写真=山川哲矢)

 「この4人でステージに上がるのは最後。俺、今日のことを絶対、思い出すと思う。つらいことがあったり、悔しさや不安で眠れないときとかに、“でも、あの日があったよね”って。みんなにもそう思ってほしいんだよね。今日って日がすげぇ楽しかったなって、忘れないでよ。最後にすげぇ景色見せてくれよ」(竹縄)という言葉から、ライブはクライマックスへ。まずは観客がコーラスのパートを合唱し、会場全体に強い一体感が生まれた「ギブアンドテイク」。“生きるしか道はない”と力強く宣言する「ライブオアライブ」、〈君の声は届くんだ〉というラインに心を打たれた「レジスタンス」でもシンガロングが発生し、ステージとフロアの距離がさらに縮まっていった。

 ここで竹縄は改めて観客に向かって語りかけた。

「ほんと、13年間どうもありがとね。いろんなタイミングで好きになってくれて、俺らが旅立つ日にこうして立ち会ってくれて」「この4人で売れたかったし、もっといろんなところにみんなを連れていきたかったなって。その夢は叶わなかったけど、言葉にならないくらい、HOWL BE QUIETというバンドは愛してもらってたなと思います。出会ってくれて、聴いてくれて、たくさん愛してくれて。本当にありがとうございました」(竹縄)

 「みんななら絶対大丈夫。幸せになれよ!」という言葉に導かれた本編ラストは、アルバム『HOWL BE QUIET』の1曲目に収録された「メアリー」。HOWL史上もっとも幸せなラブソングがもたらす圧倒的な解放感は、彼らの新たな旅立ちをしっかりと彩っていた。

 アンコールは〈離れないで 僕から〉と歌う「GOOD BYE」から。さらに竹縄がメンバーに対し、「いままでサンキューなと、思いを込めて歌います」と弾き語りで「かさぶた」を披露。メンバーにも知らせていなかったサプライズに、黒木、岩野、松本は感極まった表情に。

「来月に26(歳)になるんですけど、黒ちゃんに話しかけてもらったのは20歳のときで。20代前半という人生のやんちゃな時期、みんなとぶつかることができて。こういう選択をしてよかったなと思います」(松本)

「今日ライブをやってて思ったんだけど、この状態を見て“このバンドは失敗だったね”っていう人は一人もいないと思う。あと、バンドの成功は、素敵な人にどれだけ出会えたかだと思うのよね。それはみんな(観客)もそうだし、メンバーもそう。俺たちはずっと友達だし、バンドという形ではなくなるだけ。今後とも4人の活動と人生を応援してくれたら、そんなにうれしいことはないです」(岩野)

「(後から加入した)拓郎は大変だったと思う。今までついてきてくれて、ベースを弾いてくれて、本当にありがとう。竹縄と亨は、うるさいんですよ(笑)。この二人がいてくれたからバンドが明るくなってるのはまちがいなくて。二人の陽気さに助けられたバンド人生だったなって思います」(黒木)

 3人の挨拶に対し、客席からはこの日いちばん大きく、温かい拍手が送られた。

HOWL BE QUIET(写真=山川哲矢)

 「これだけの人たちに見守られて旅立てるのは本当に幸せ。13年間、ありがとうございました。最後、笑顔でバイバイしたい! 楽しんで終わろうよ」(竹縄)と、愛されること、愛することの素晴らしさを歌い上げた「孤独の発明」、〈栄光は君を待ってんだ〉というラインを響かせる「MONSTER WORLD」を演奏。メンバーと観客で写真を撮った後、華やかなダンスチューン「Wake We Up」でライブはエンディング。肩を組み、観客に最後の感謝を伝えた4人には“やりきった”という充足感が漲っていた。

 HOWL BE QUIETは13年間の活動を経て幕を閉じたが、メンバーは今後も音楽を続ける。バンド活動のなかで得たものはもちろん、4人の音楽人生の素晴らしい糧になっているはず。音楽家としての彼らの未来、そこで生まれる新たな楽曲を心から楽しみにしていたいと思う。

■セットリスト
1. From Birdcage
2. つよがりの唄
3. 染み
4. ベストフレンド
5. クローバー
6. 解体君書
7. 味噌汁
8. ラブフェチ
9. 名脇役
10. Merry
11. ぼくらはつづくよどこまでも
12. ケシゴムライフ
13. Dousite
14. I'M HOME
15. Higher Climber
16. 208
17. サネカズラ
18. ギブアンドテイク
19. ライブオアライブ
20. レジスタンス
21. メアリー

En1. GOOD BYE
En2. かさぶた(弾き語り)
En3. 孤独の発明
En4. MONSTER WORLD
En5. Wake We Up

※1:https://realsound.jp/2023/03/post-1271181.html

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