DALLJUB STEP CLUB、あら恋、礼賛……活躍を広げるキーマン GOTOが語る、DTM時代に求められるドラマーの在り方
「トラックを自分で作るミュージシャンのグルーヴを再現できないといけない」
――ただ、この2~3年で一気にサポートの幅が広がった印象です。2021年には礼賛も始まったりとか。
GOTO:それは本当にみなさんのおかげで。僕は普通にやってただけで、いろんな人との繋がりからこうなっていったんですけど……特に、コロナ禍に入ってから、サポートの依頼が増えたんですよね。コロナ禍に入って、ダルジャブはライブをしないことにして、あら恋もほとんど動いてなかったから、単純に暇になったのもあって、配信ライブでも何でも誘われたら基本受けてたから、「サポートとかやる人なんだ」と思われるようになったのかもしれない。そうやってどんどん増えていったけど、周りのミュージシャンはみんな「仕事が減った」って言っていたので、「あれ?」みたいな。もともとコロナ禍になった瞬間にバイト先がつぶれちゃって、仕事がゼロになってたから、「やるしかない」っていうのもあったんですよね。だから、いろんな意味でコロナ禍が自分にとっては大きくて。
――まさに、ピンチがチャンスになったと。そんな中でも、特に「この仕事がきっかけとして大きかった」みたいなタイミングはありましたか?
GOTO:なんだろう……例えば、崎山蒼志くんのレコーディングに誘われて、「逆行」を録音して、「MVも録ります」っていうときに、ドラムと崎山くんだけで撮るMVだったので、まあまあ僕も映ってるんですよ。2人なんでそりゃそうなんですけど、それを見てサポートに誘ってくださったりしたこともあったので、「逆行」のMVは結構大きいかもしれない。
――「叩いてみた動画」に続いて、やっぱり映像は大きいのかもしれないですね。GOTOさんはセッティングのオリジナリティだけじゃなくて、単純に叩いてる姿もかっこいいし。
GOTO:そうだと嬉しいですけどね。
――ちなみに、崎山さんのレコーディングに参加したのはどういう経緯だったんですか?
GOTO:おやすみホログラムをサポートしてたことがあって、そのときレコーディングでakkinさんにお会いしていて。akkinさんは崎山くんのアレンジにも関わっているので、その後に連絡をもらって、「最初は打ち込みにしようと思ったけど、生ドラムの方がいいかもと思って、スタイル的にGOTOくんが合う気がする」みたいなことを言ってもらったんです。クッソ速い曲なんですけどね(笑)。
――打ち込みを生ドラムにするにあたって、GOTOさんに声がかかったのは納得というか。Mega Shinnosukeさんやくじらさんのサポートもしているように、最近は自分でトラックを作って歌う人たちが増えているから、ちゃんとトラックメイクのことも理解しているドラマーが求められてると思うんですよね。
GOTO:それは絶対そうだと思います。同期のこともわからないと話にならないというか、ただドラムを叩けるだけだと、今のサポートの仕事には向いてないと思う。自分のバンドだけやりたい人ならそれでいいですけどね。トラックを自分で作っている最近の若いミュージシャンたちは、「こういう音を出したい」とか「こういうグルーヴを出したい」っていう意志が明確にあるから、それをドラマーとして再現できないと難しいですよね。――DTMにはすごく詳しいけど、バンド経験はなかったりするから、そこの部分のサポートが求められるわけですよね。米津玄師さんやEveさんをサポートしてる堀正輝さんも自分でビートメイクをする人で、だからこそ今求められているんだと思うし。
GOTO:堀さんは本当にそうですよね。「ここでこれを鳴らすか、鳴らさないか」とか、ちゃんと全パートを把握できてる人だと思います。でも本当に、今の若い子たちはこだわりがめちゃくちゃ強いなって思いますよ。一昔前だと、「ここはノリで」とか「ここはこんな感じで」みたいなのも普通だったけど(笑)、その感じは全くなくなったなって思いますね。
主催イベントでは9組のドラムを演奏「体が壊れるんじゃ(笑)」
――3月23日には現在GOTOさんが関わっているアーティスト全9組が出演する『GOTO Festival』が開催されるわけですが、そもそもどうやってこのイベントが企画されたのでしょうか?
GOTO:ライブ制作をやっている知り合いに「イベントやらない?」ってずっと言われてたんです。「そういうのは恥ずかしいからいいかな」ってずっと断ってたんですけど、去年の今ごろにまた言われたときに、「こういうことができるのは今しかないかも」ってちょっと思ったんですよね。一晩で9組のライブでドラムを叩くっておかしいから(笑)、年取ったらマジでできないだろうし、「今回だけ!」って感じでやろうかなって。人生で一回くらいは金髪にしてみたいとか、バンジージャンプしてみたいとか、そんなノリではあるんですけど、オファーした人全員OKしてくれたので、みんなが僕につき合ってくれるのはありがたいです。
――でも本当に、一晩で9組のライブに出演ってなかなかですよね(笑)。
GOTO:たぶんこれまでは2組連続くらいしかやったことなくて、その4倍以上だから……体が壊れるんじゃないかな(笑)。その後に朝までアフターパーティもあるし……まあ、一生に一回なので。
――9組の色はそれぞれですけど、イベント全体の色はどのように感じていますか?
GOTO:変な人がいっぱい出るイベントだと思います(笑)。
――それはつまりGOTOさんが変な人だからってことでいいですか?(笑)
GOTO:僕は普通の人だと思うんですけど、逆に周りはみんな癖が強いので……裏でケンカが起きないといいですけど(笑)。
――もちろん、GOTOさんのドラムが堪能できる一日でもあるので、セッティングの変化とかも面白いかもしれないですね。
GOTO:セッティングはそこまで大きくは変わらないと思うんですけど、逆に言うと、同じセットで同じ音しか鳴らないはずなのに、メンバーが変わるとこんなに違って聴こえるんだっていう発見も面白いかもしれないです。
――楽しみにしています。今後もダルジャブとしての活動がありつつ、他のバンドやサポートも並行して活動していくかと思いますが、最後にドラマーとしての展望を聞かせてください。
GOTO:ダルジャブは編成が変わって元に戻った感じもあるので(2022年に森心言が脱退し、最初期の3人編成に戻った)、よりドープな感じでやれたらいいなって。いちドラマーとしては、ここから「上を目指して!」みたいなことよりも、とにかくみんなと演奏することを楽しめたら、それが一番いいなと思っています。
■イベント情報
『GOTO Festival』
3月23日(木)Spotify O-EAST
OPEN 16:30 / START 17:00
出演者:あらかじめ決められた恋人たちへ / österreich / GOTO×OHTAKEKOHHAN / 崎山蒼志 / DALLJUB STEP CLUB / HYPER SARDINES / Mega Shinnosuke / 礼賛 / RHYTHM BILLGATES
<チケット>
前売:¥4,400(D代別)
チケット購入リンク
https://l-tike.com/order/?gLcode=70082