DECO*27が語る、ホロライブとのコラボ企画“holo*27”の全貌 ホロメンの新たな表情を引き出した楽曲制作秘話
昨年12月に突如始動して話題を呼んだ人気VTuberグループ・ホロライブと音楽プロデューサー/ボカロP・DECO*27による新プロジェクト「holo*27」。インターネットカルチャーの最前線を走る2組によるこのプロジェクトが、オリジナル曲とカバー曲をそれぞれ収録した初のアルバム『holo*27 Originals Vol.1』『holo*27 Covers Vol.1』をリリースする。
このholo*27では、これまでホロライブにオリジナル曲を多数提供してきたDECO*27が、ホロライブメンバーを総合プロデュース。メンバーの依頼によって生まれてきた過去のオリジナル曲とはまた違う、各メンバーの新たな表情が楽しめるような作品になっている。
また、3月18~19日に開催されるホロライブの全体ライブ『hololive 4th fes. Our Bright Parade Supported By Bushiroad』内では、19日にこのプロジェクトのステージとなる「holo*27 stage」も開催。このステージも、DECO*27がプロデュースを担当している。
ホロライブメンバーたちの新しい表情が多数詰まった今回の作品について、DECO*27に聞いた。(杉山仁)
タレント性にはあまり寄りすぎずに音楽を主軸とした“holo*27”
ーーDECO*27さんとホロライブの繋がりがはじまったのは、もともとDECO*27さんの曲を好きで歌っていたメンバーの方々が、ソロ曲を依頼したことがきっかけだったと思います。DECO*27さん自身がホロライブを知ったのはいつのことだったんでしょう?
DECO*27:僕が勉強不足だったのでお恥ずかしい話なんですけど、ホロライブのことを初めて知ったのは、角巻わためさんと湊あくあさんがオリジナル曲の依頼をしてくれた時でした。
ーー2021年に発売された「RAINBOW」と「きらきら」ですね。
DECO*27:その依頼をいただいたタイミングで二人のことをしっかり調べようと思って、ホロライブというグループやライブ配信に触れたのが最初のきっかけでした。もちろん、それまでも僕の(初音)ミク曲をカバーしている動画を見たことはあったんですけど、「VTuberの方々」という認識だけで止まっていたものが、みなさんの活動を見たことで色々と繋がって、わためさんとあくあさんはもちろんのこと、他の所属タレントさんについても「この方も曲を歌ってくださっている!」「あっ、この方も!」というふうに広がっていきました。
ーーその際、ホロライブならではの魅力として感じたことがあれば教えてもらえますか?
DECO*27:これはTwitterでも言ったことがあるんですけど、ホロライブのタレントさんは面白くて魅力のある方々ばかりなので、オリジナル曲のご相談をいただいてどんな人なのか知っていくと、毎回その魅力にハマってしまう感覚があります。それに、みなさんトークや音楽、ゲームなど色んな活動をされていますし、ホロライブのタレントさん同士でコラボされることもある。最初に気になった方を見ていると、「一緒に話している方も面白いな。この方も見てみよう」とか「おっ、この方もまた別の方とコラボしているぞ」と色々なタレントさんに興味が広がるというか。いい意味で「一度見はじめるとキリがないな」と思います。
みなさん声の雰囲気や話し方、活動のスタンスが違っていて、まだ全然ホロライブのことを知らなかった頃でも、みなさんがそれぞれの個性を持っていらっしゃると思いました。楽曲制作の際も、「この方はこういう言葉をよく使っているな」と歌詞に生かしています。
ーーミュージシャンの方からすると、提供曲が「そんな使い方があるんだ!」と思うような使われ方をする場面もありますよね。たとえば、DECO*27さんがあくあさんに提供した「きらきら」は、2022年の『Apex Legends』のソロマスターチャレンジ配信でクレーバーを手に入れた際に流れる楽曲にもなり、「きらきらチャンス」という名前で親しまれていました。
DECO*27:そういった部分もすごく面白いですよね。音楽活動だけをしている方々ではないからこそ、「まさかそんな使い方が!」という色々な使い方をしていただけるといいますか。
ーー2022年以降はGawr GuraさんとMori Calliopeさんの「Q」やMori Calliopeさんと星街すいせいさんの「CapSule」、さくらみこさんの「ベイビーダンス」など提供曲が増えていきました。一方で、DECO*27さんの楽曲でも、「ゾンビ」でホロライブID(インドネシア)のKureiji Ollieさん、「毒林檎」で秘密結社holoXの沙花叉クロヱさんをコーラスに迎えるなど、ホロライブメンバーのみなさんからの依頼だけではない形に関係性が広がっていった印象です。
DECO*27:そうですね。僕は普段、ミク曲では自分でコーラスを入れていますけど、場合によっては女性コーラスを入れる曲もあって、ホロライブの方々とお仕事していると、「もしこの方の声を入れていただけるなら、もっといい曲になりそうだな」と思いつく瞬間が出てきたんです。それでOllieさんとクロヱさんにコーラスをお願いすることになりました。
ーーでは、今回のholo*27はどんなふうにはじまった企画だったんでしょう?
DECO*27:ホロライブメンバーの楽曲制作を担当する中で、僕の中にも「みなさんのボーカルでこんな曲もつくってみたいな」というアイデアが出てくるようになったんです。タレントさんたちのオリジナル曲については、みなさんから「こういう曲をつくってほしいです」とリクエストいただいて制作するんですが、一方で「こんな曲もきっと合うはず」というものが出てきたといいますか。それで、(ホロライブを運営する)カバーさんに「僕がより意見出しをさせていただきつつ進められるような音楽プロジェクトはつくれないですかね?」と相談させていただいたのがholo*27のスタートだったと思います。
ーーなるほど。ホロライブメンバーのみなさんのオファーを受けて楽曲制作をするうちに、DECO*27さんの方にも新しい楽曲のアイデアが生まれてきたのですね。
DECO*27:そうなんです。それもあって、holo*27の方向性としては、メンバーのみなさんのタレント性にはあまり寄りすぎずに、音楽を主軸として、音楽をきっかけに「まだホロライブを知らない方々にその魅力を届けられるものにしたい」ということを大切にしています。
ーーたとえば、普段だったらなかなかないようなジャンルに挑戦してみたりというような。
DECO*27:そうですね。holo*27の楽曲はその辺りを強く意識していて、『holo*27 Originals Vol.1』の全10曲はどれもジャンルが違っています。今回参加していただいたメンバーについては、まずは僕の方で楽曲を考えていって、それとほぼ同時に「このジャンルだったらこの方が似合うだろう」「意外性があって楽しんでもらえるだろう」という組み合わせをいくつかお伝えした中で、スケジュールの問題などもクリアできた方に参加していただきました。