星街すいせい、VTuber界の“先駆者”が届ける一大エンターテインメント 音楽への想いと星詠みの歓声が交差した2ndワンマン

星街すいせい、2ndワンマンライブレポ

 ニューアルバム『Specter』をリリースしたばかりの星街すいせいが、1月28日に自身二度目となるソロワンマンライブ『Hoshimachi Suisei 2nd Solo Live “Shout in Crisis”』を東京ガーデンシアターで開催した。前日の政府表明により急遽“声出しOK”での公演になったことを受け、星街自身はもちろん、多くの星詠み(星街すいせいファンの呼称)が歓喜する中でのライブとなった。

 ペンライトの光によって青色に美しく染まった会場に大きな歓声が沸き起こる中、生バンドによるオープニングSEと、2021年10月開催の1stライブ以降の軌跡をまとめた映像が流れ出す。一瞬の静寂が訪れ、息を呑むオーディエンス。次の瞬間、ステージに星街すいせいが現れると、短いブレスとともに〈だって僕は星だから〉のフレーズが放たれた。

星街すいせいライブ写真

 1曲目は「Stellar Stellar」だ。自身の想いを大切にメロディに乗せていく星街の凛とした表情に強く引き寄せられる。緩急のついたサウンドに合わせて届けられるエモーショナルなボーカリゼーションはオーディエンスの胸を激しく打つ。冒頭から展開される感動的なパフォーマンスに目を奪われていると、曲のラストで星街がノイズに包まれ、異なる衣装にチェンジ。「みんな熱くなる準備できてますかー! いくぞ有明!」の声を合図に、2曲目「TEMPLATE」へと間髪入れずに突入する。

星街すいせいライブ写真

 「Hi!Hi! もっとー!」と客席を煽りながらロックなサウンドに身を委ね、力強い歌声を鳴り響かせる。続いては軽快なスキャットやラップパートが盛り込まれた、グルービィな「TRUE GIRL SHOW」。曲中に登場する〈彗星の如く現れたスターの原石 アイドルVTuberの星街すいせいでーす! すいちゃんは……〉のセリフに呼応し、客席からは「今日もかわいい!」の盛大なレスポンスが返される。コロナ禍を経て、かつてのライブの光景がようやく戻って来たことを実感し、会場のテンションは天井知らずに上がり続けていく。

星街すいせいライブ写真

「みなさん、今日は声が出せるんですよね。(巻き起こる大きな歓声)久しぶりすぎる、この感覚! 今日もかわいいって言ってもらえてめっちゃ気持ちよかったです(笑)。1stに比べてとんでもなくデカい会場になりまして。今回は素敵なバンドメンバーの生演奏で曲を披露したいと思います、すごーーい! 今日はいつものアイドルVTuber・星街すいせいとは一味違う私をお見せできればと思います!」(星街)

星街すいせいライブ写真

 バンドのアグレッシブな演奏と、それに負けない熱いボーカリゼーションが弾けた「灼熱にて純情(wii-wii-woo)」では、星街自身が念願していた〈wii-wii-woo〉のシンガロングも実現した。続く「駆けろ」では、同曲を手掛けたみきとPがシークレットゲストとして登場。ギタリストとしてサウンドに色を添える。その流れのまま、今度はみきとPのオリジナルボカロ曲「サリシノハラ」をカバー。星街とみきとPとのボーカルが掛け合うシーンが盛り込まれるなど、レアでスペシャルなコラボとなった。

 続くパートでは、星街自身が手がけた言葉が紡ぐストーリーを繊細な歌声で表現した「デビュタントボール」、軽快なピアノとワウを効かせたギターが光る「褪せたハナミドリ」を連続で披露。スタンドマイクを用い、ゆったりとカラダを揺らしながら感情の機微を丁寧に表現していくボーカリゼーションが染みる。

 前曲のエンディングで花びらに包まれた後、一瞬で黒を基調としたドレスコートにチェンジ。2ndライブ新衣装に身を包んだ星街は、アルバム『Specter』のリード曲であり、YOASOBIのAyaseが手がけた「みちづれ」を披露する。

 ホーンがフィーチャーされたジャジーなサウンドに合わせて、心地よく舞い跳ねる星街の歌声。そこにオーディエンスたちの軽快なクラップが加わることで楽曲の世界はよりふくよかなものへとなっていく。青色のレーザーが飛び交う中、疾走感を持って届けられたのは「7days」。ステージ中央で歌う星街の背後に、曲に合わせたダンスをする星街のホログラムが投影されるという演出が強く印象に残った。

 「バイバイレイニー」では、2人目のシークレットゲストとして堀江晶太が登場。ギタリストとして自身が手がけた楽曲をプレイし、そのファンキーなサウンドに乗せて星街は軽やかなボーカルを響かせていく。

 キャッチーなサビではオーディエンス全員がハンズアップ、左右に揺らすピースフルな景色を描き出した。そしてここでもカバー曲を披露。選ばれたのは堀江がkemu名義で発表していたオリジナルボカロ曲「敗北の少年」だ。疾走するサウンドに共鳴する星街のロックなボーカルは、すべての星詠みたちを心地よく圧倒した。

 ここで星街から大きなプレゼントとして、初披露となる新曲「先駆者」が贈られた。フジファブリックの山内総一郎が作詞・作曲・アレンジを手掛けたこの曲は、力強いサウンドに生きとし生ける者すべてを鼓舞するメッセージを乗せたスケール感のあるロックナンバー。冒頭の“Wow Wow”パートでは星街のアクションに合わせて、オーディエンスはコブシを強く握り、頭上へと突き上げた。言葉ひとつひとつを真っ直ぐに届けていくボーカルは、これまで歌ってきたロックとは明らかに異なる新たな魅力を感じさせるものだ。この新鮮な聴き心地。彼女の新たなフェーズを予感させる1曲と言えるのではないだろうか。

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