Mori Calliope×山中拓也(THE ORAL CIGARETTES)特別対談 ジャンルや次元の枠を越境する音楽制作の醍醐味

Mori Calliope×山中拓也対談

 「ホロライブEnglish」に所属するVTuber、Mori Calliopeがメジャー1stアルバム『SINDERELLA』をリリース。「10個の大罪(10 Deadly Sins)」をコンセプトにした本作には、JP THE WAVY、FAKE TYPE.、nishi-ken、YULIAなどのクリエイター/アーティストが参加。ジャンルを超えたサウンド、Mori Calliopeの卓越したラップ&ボーカルを体感できる作品になっている。

 リアルサウンドでは、「Wanted, Wasted」を手がけた山中拓也(THE ORAL CIGARETTES)とMori Calliopeの対談をセッティング。「Wanted, Wasted」の制作を中心に、両者の音楽観、活動スタンスなどについて語り合ってもらった。(森朋之)

「Calliopeちゃんの曲を聴いたら、あまりにもレベルが高すぎて」(山中)

Mori Calliope - Major 1st Album SINDERELLA Teaser [12/16 Release]

ーーまずは山中さんのMori Calliopeさんに対する印象から教えてもらえますか?

山中拓也(以下、山中):楽曲制作を一緒にやっているメンバーの一人がVTuerに詳しくて。以前から「Mori Calliope、すごくいいよ」という話を聞いていたんですよ。ただ、自分はずっと“生”でオーディエンスと対峙してバンドをやってきた人間なので、ちょっとだけナメてる部分があったんです、実は。今って、トラック自体は誰でも作れるじゃないですか。そのせいもあって雑なトラックが増えてきた印象もあったし、VTuberの人たちの曲もそんな感じなのかなって思い込んでいて。でもCalliopeちゃんの曲を聴いたら、あまりにもレベルが高すぎて。

Mori Calliope(以下、Calliope):ありがとう! 光栄です。

山中:歌唱力、ラップのスキルはもちろんなんですが、トラックメイク然り、曲のクオリティが高くて。本当にすごいなと思います。

ーーCalliopeさんが音楽をはじめたきっかけは?

Calliope:日本のアニメーションに興味を持って、YouTubeやニコニコ動画などで日本の音楽も聴くようになったんです。J-RAPを聴いて、自分もトライしてみたいと思ったのがきっかけですね。アーティストでいうと、FAKE TYPE.、らっぷびとなどが好きです。

ーーラップのスキルは独学で磨いたんですか?

Calliope:そうですね。インスピレーションを受けたアーティストはたくさんいるんですが、メインは男性ラッパーなんです。アメリカではエミネム、日本だとトップハムハット狂。いろんなラッパーの影響を受けながら、自分の声のテイストやフロウを加えながら、今のスタイルを作っていきました。

山中:なるほど。俺自身も中学のときにエミネムを聴いていたし、2000年代のラッパーはすごく好きですね。リスペクトが強すぎて、ラッパーにならなかったんですよ、自分は。ロックミュージックにおけるラップと、ヒップホップのラップはまったく別物だと思っていて。たとえばミクスチャーロックと呼ばれるバンド、LINKIN PARKとかにおけるラップのやり方は想像がつくんだけど、ヒップホップを自分でやってみると、「これは自分が好きな感じではないな」と感じてしまうんです。

ーーだからバンドを選んだと。

山中:そうですね。ラップが好きな人間としてバンドのボーカリストをやってきたというか。Calliopeちゃんの曲を聴いたときも、「こういう人がラップをやるべきだし、このジャンルを前に進めていくんだろうな」と思いました。

Calliope:ありがとうございます。私はJ-ROCKも好きなんですよ。アメリカのロック、たとえばMY CHEMICAL ROMANCEなどを聴いていたんですが、J-RAPを知って、それからJ-ROCKにも興味を持ち始めて。

山中:MY CHEMICAL ROMANCEは自分たちも学生時代によく聴いていたし、影響も受けていますね。

Calliope:そうなんですね! 以前からTHE ORAL CIGARETTESの楽曲も大好きで。特に「狂乱 Hey Kids!!」は最高! アニメ『ノラガミ ARAGOTO』の主題歌だったんですけど、オープニング映像もすごくカッコよかった。なので山中さんが私の曲を作ってくれることになったときは、本当にうれしかったし、ビックリしました。

山中:そんなに聴いてくれていたのは知らなかった。うれしいです。

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