2023.03.16 18:30

DECO27が語る、ホロライブとのコラボ企画“holo27”の全貌　ホロメンの新たな表情を引き出した楽曲制作秘話

僕の中でおかゆさんへのハードルが上がっていた

holo*27 Originals Vol.1 XFD【ホロライブ x DECO*27】

ーー風真いろはさんが参加した「夢嵐」はどうでしょう？

DECO*27：この曲は夏に合う、タオルを回せるような楽曲にしたいと思っていました。ライブの様子をイメージしながらつくった、holo*27ステージでの機能性を意識している曲ですね。ライブ当日に声出しがOKになっていたら、〈Say Woah〉のところはお客さんも一緒に歌ってもらえたらな、と思っています。そして、「それを元気よく歌ってくれるのは誰だろう？」と考えると、やはりいろはさんにお願いしたいな、と思いました。

ーーこの曲は冒頭にある寸劇パートも印象的ですね。

DECO*27：あの部分はいろはさんと風真くん（配信などでイケボを出す際の呼び名）との掛け合いになっています。海にいろはさんたちが来ていて、風真くんがクールに「海きれいだよ」と言っている横で、いろはさんが「あぢぃぃぃぃ」と言っているイメージです（笑）。あと、この曲には波の音に加えてセミの声も入っていますけど、これもいろはさんが配信でやられているセミの鳴き声からヒントをもらったもので、この音もいろはさんに録音していただきました。なので、いろはさんは御本人と風真くん、そしてセミの鳴き声のひとり3役をしてくれています。聴きながら盛り上がってテンションを上げられるような楽曲になりました。

ーー続く雪花ラミィさんと鷹嶺ルイさんの「Baby Don’t Stop」はビッグバンドジャズ風の楽曲で、今回の収録曲の中でも群を抜いて大人っぽさが感じられますね。

DECO*27：今回の『holo*27 Originals Vol.1』には悪ガキ風の「リップシンク」や、可愛い女の子がちょっと背伸びをしている雰囲気の「Sweet Appetite」がある中で、この曲はさらに大人っぽく、お姉さんの色気を存分に出してもらえる楽曲にしました。サビの前にウィスパーボイスがありますけど、あの部分は「こういうふうに歌ってください」と伝える表現方法として「（ASMR用マイク）KU100の前で歌っているようなイメージでお願いします！」とお伝えしました。

ーーなるほど。これはASMRですよ、と（笑）。

DECO*27：はい（笑）。「歌うときにはきっと目の前に別のマイクがあると思いますけど、それをKU100だと思ってくださいね」とお伝えしました。アレンジはNaoki Itaiさんにお願いしています。アレンジを出した際にはシンプルにコード感とベースだけを入れてお渡ししたんですが、ばっちりはめてくださいました。2番のBメロのベースがかっこよくて好きですね。

ーールイさんはもともとこういった曲調が似合うイメージですし、ラミィさんも歌うとより大人っぽい雰囲気になる方だと思うので、二人の声が楽曲に合っていると思いました。

DECO*27：そうですよね。そういえば、僕は猫又おかゆさんとラミィさんが一緒に歌っている「ベテルギウス」（優里）の歌ってみたがすごく好きなんですよ。あれもかなり大人っぽい雰囲気だったので、今回はより大人っぽくイメージして、ルイさんとラミィさんに歌っていただきました。

ーー次の「エンドロール」では、その猫又おかゆさんがかなり難しいラップを披露しています。

DECO*27：クロヱさんに提供した「擬態ごっこ」での経験があって今回の「P.E.T.」ができたように、僕はおかゆさんにも以前ソロ曲の「あっかんべ」を提供していたので、今回はそれとは真逆の楽曲にしたいと思っていました。それに加えて、難しい曲だった「あっかんべ」を歌いこなしてもらったことで僕の中でおかゆさんへのハードルが上がっていたので、「次はぜひラップをやっていただきたい！」という気持ちになりました。おかゆさんは低くて落ち着いた声が魅力的なので、その声でラップをしてもらうと、きっといいものになると思ったんです。

ーー音にはめすぎない少し崩した雰囲気のラップがおかゆさんの声と合っていますよね。

DECO*27：そうですね。「リップシンク」のようなカチッと音にはめていくようなタイプのものではなくて、いい感じに肩の力を抜いてもらえるようなラップが合うと思いました。サビでも基本的にエアリーな雰囲気で優しく歌い上げてもらいつつも、歌詞は誰かと離れ離れになることを歌ってもらっています。

　あと、僕がこの曲で一番聴いてほしいのは最後の一気に転調する部分ですね。基本的には「あっかんべ」の逆をやりたいと思っていたんですけど、あのときおかゆさんが曲の後半にがなったりしていて「こんな声の使い方もできる人なんだ」と思ったので、倍テン（テンポ感を2倍にすること）に切り替わる曲にすればそれが活きると思ったんです。クロヱさんの「P.E.T.」と同様に、一度ソロ曲を書かせていただいた経験が活きたのかな、と思います。

ーーそして最後の曲は星街すいせいさんが参加した「プラネタリム」です。この曲はすいせいさんの歌声の魅力を前面に押し出すような雰囲気の楽曲になっていますね。

DECO*27：みなさんもご存知の通り、星街さんは本当に歌が上手い方なんですよ。なのであれば、「もうオケはいらないんじゃないか」「すいせいさんの声だけでいいんじゃないか？」という発想で生まれた楽曲ですね。

ーー冒頭の部分を聴いていて「もしかしてこの曲、最後まで星街さんのアカペラだけで終わる曲なんじゃないだろうか？」とビックリしてしまいました。

DECO*27：そうですよね。最初のサビでベースは入ってきますけど、「あれ、楽器がそんなに入ってこないぞ？！」となって、3番でまた声だけになるという（笑）。

ーーまさに「ひとりゴスペル／クワイア」といいますか。

DECO*27：ひとりコーラスグループの「すいせい合唱団」を結成してもらいました。アレンジはkousさんにお願いしています。その際も「すいせいさんの歌声を聴いてもらうために、余計な音は極力入れないようにしましょう」と伝えました。基本的に楽器系は最後のサビだけ、あくまですいせいさんの声の魅力を引き立てるためのサポートとして入れてほしい、とお願いしています。声をたくさん重ねてもらったので、すいせいさんも本当に大変だったんじゃないかと思います。

ーーとはいえ、この曲は「みんなが一度聴いてみたかったすいせいさん」のひとつの形かもしれませんね。

DECO*27：僕もすいせいさんの声だけで構成された楽曲が聴いてみたいと思っていましたし、「リスナーのみなさんも聴きたいですよね？」と思ったので、それを具現化させていただきました。僕が改めて言うことでもないと思いますけど、すいせいさんの歌声は素晴らしかったです。

この曲を歌ってもらうのはそらさんしかいない

holo*27 Covers Vol.1 XFD【ホロライブ x DECO*27】

ーー『holo*27 Covers Vol.1』に収録されているDECO*27さんのボカロ曲のカバーについても、選曲なども含めて作品全体としてどんな工夫をしたのか教えていただけますか？

DECO*27：カバー曲に関しては選定基準は2つで、「曲とメンバーのみなさんの声、キャラクター性との相性」を考えて組み合わせを提案させていただきました。タイトルを見ただけで「この曲はこの人だよね」とすぐに連想できるものもありますし、そうではない曲だと「この方の声だと合うだろうな」という曲を提案させてもらっています。それが両方合っている方もいれば、どちらかとの相性がすごくいい方もいる、という形です。楽曲のキーに関しても、歌ってくださる方が決まってからスタッフさんを通して歌いやすいものをヒアリングして、それぞれの方に合ったキーにカバーアレンジし直しました。なので、ただカバーをしていただいたのではなく、お互いに歩み寄るような雰囲気になっていて、「歌ってみた」とはまた違う新しい音源になっていると思います。

ーーこれまでのやりとりの延長線上に実現したような曲も印象的ですし、1曲だけ挙げさせていただくと、ラスト曲の「愛言葉Ⅳ」をときのそらさんが歌っているのも印象的でした。

DECO*27：もともと「愛言葉」シリーズは、僕の音楽を聴いてくれている人たちや、ミクも含めた僕の活動にかかわってくれている人たちへの感謝を歌っている曲なので、僕にとってとても大事な曲なんです。それをholo*27という企画の中で一番いい形でみなさんに届けることを考えると、ホロライブの歴史を考えてみても、やっぱり「この曲を歌ってもらうのはそらさんしかいないな」と。ホロライブのリスナーのみなさんの中にも「愛言葉」をすでに聴いてくださっている方がいるかもしれないですけど、このholo*27で聴く「愛言葉」は、より自分たちが好きなフィールドに対してぐっと来る曲になっていたらいいな、と思っています。

ーー今回の作品は、DECO*27さんにとってどんな作品になったと思っていますか？

DECO*27：『holo*27 Originals Vol.1』の中には、この企画をはじめなければ書かなかったようなジャンルの楽曲がたくさんあるんですよ。「プラネタリウム」のアカペラもそうですし、「エンドロール」も「夢嵐」も、「Baby Don’t Stop」もそういう類の楽曲かもしれません。なので、今回holo*27の楽曲を書き終えた後で、「ああ、自分ってこれもいけるんだな」と、僕の中で音楽性が広がったような感覚もありました。コラボさせていただくだけでもありがたいですけど、同時に自分の新しい引き出しを増やせるような機会にもなったと思っています。

ーー楽曲を依頼されて書くだけではなく、お互いに新しい刺激を与えあえるような、クリエイター同士のいい関係が生まれているんですね。ホロライブのタレントさんたちやVTuberのみなさんへの楽曲提供にはどんな魅力を感じていますか？

DECO*27：VTuberのみなさんは活動している次元が我々とは違うので、できることが僕らよりも多いと思うんです。その辺りが、MVやライブの部分でも魅力的に感じます。それに、ホロライブのみなさんは声がいい方が圧倒的に多くて、印象に残る声の持ち主が本当に多いと思いますね。歌を上手く歌うことは、練習すればある程度はできるようになると思うんですけど、声質は絶対に変えられません。それはその方だけが持って生まれた才能だと思うんですよ。

ーー「ギターはどれだけ音色を変えてもピアノにはならない」ということと同じですね。

DECO*27：そうですね。ホロライブのタレントさんやVTuberのみなさんって、とにかくその部分が音楽とすごく相性がいいと思います。歌モノの音楽をやっている以上、僕は曲をフロントに立って伝えてくれるボーカリストが一番重要だと思っていて、その方の歌い方やニュアンスの付け方、声質によって、曲本来のメッセージやパワーは何倍にも膨れ上がると思うんです。ホロライブのみなさんの場合、曲を書く段階から、みなさんの歌声の個性のおかげでそういった部分をすごく明確にイメージすることができます。普段から色んな方とお仕事するたびに感じることでもありますけど、今回のholo*27はそれをより強く感じる機会でした。

　ちなみに、今回のholo*27では結構な量の楽曲をつくりましたけど、実際に曲をつくっている時間よりも、「どんなふうにすればいいだろう？」と考えながらメンバーのみなさんの配信を見ている時間の方が長かったような気がします（笑）。そうやって考えながら配信を見ていると、そこにはたくさんのリスナーさんがいて、その風景が日常になっていました。

ーーリスナーさんと一緒に配信を楽しむ中で、今回の楽曲が出来上がっていったんですね。

DECO*27：今回の企画を通してholo*27の楽曲を聴いてくださるであろうリスナーさんたちが見ていた配信には僕も一緒にいて、色々と楽しみながら楽曲を考えさせていただきました。僕自身、すごく楽しかったです。やれることは全部やったので、僕が楽しんでつくったのと同じように、リスナーのみなさんもholo*27の楽曲を楽しんで聴いていただけたら嬉しく思っています。

ーー3月19日に千葉・幕張メッセの『hololive 4th fes. Our Bright Parade Supported By Bushiroad』内で開催される「holo*27 stage」についても教えていただけますか？

DECO*27：今回、アルバムの曲順は僕が決めさせていただいたんですが、実はこのステージのセットリストについても、わがままを言って僕が決めさせていただきました。構成としてはオリジナル曲とカバー曲とがごっちゃになって演奏されると思うので、CDのディスク上ではそれぞれに分かれていた楽曲が、ライブのステージで一緒になる瞬間を楽しんでもらえると思います。そのふたつを結びつけているのは、「DECO*27がつくった曲である」ことと「ホロライブのタレントさんたちが歌っている」ことで、セトリの中でテーマ性がガラッと変わっていくような瞬間もあると思います。その辺りも楽しみにしていてくれたら嬉しいです。

DECO*27が語る、ホロライブとのコラボ企画“holo*27”の全貌　ホロメンの新たな表情を引き出した楽曲制作秘話の画像1-1

DECO*27が語る、ホロライブとのコラボ企画“holo*27”の全貌　ホロメンの新たな表情を引き出した楽曲制作秘話の画像1-2

■リリース情報
『holo*27 Originals Vol.1』
2023年3月15日（水）リリース
通常盤 ¥3,000（税別） [CD]
完全生産限定盤（税別） ¥5,000 [CD + サコシュバック]

M01 リップシンク
M02 Sweet Appetite
M03 ヒル
M04 P.E.T.
M05 ビビビ
M06 モッシュレース
M07 夢嵐
M08 Baby Don’t Stop
M09 エンドロール
M10 プラネタリウム

『holo*27 Covers Vol.1』
2023年3月15日（水）リリース
通常盤 ¥3,000（税別） [CD]
完全生産限定盤 ¥5,000（税別） [CD + サコシュバック]

M01 ヴァンパイア
M02 シンデレラ
M03 アニマル
M04 ゾンビ
M05 乙女解剖
M06 モザイクロール（Reloaded）
M07 ゴーストルール
M08 ヒバナ（Reloaded）
M09 妄想感傷代償連盟
M10 愛言葉Ⅳ

2023年3月15日（水） Release
『holo*27 Vol.1 Special Edition』
豪華盤 ¥10,000（税別）

<豪華盤収録内容>
2CD[holo*27 Originals Vol.1 / holo*27 Covers Vol.1]
特製アートブックレット（複製サイン入り）
ステッカーシート2種
オリジナルカード2種

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〈店舗別予約・購入者特典〉
2023年3月15日発売holo*27「holo*27 Originals Vol.1」「holo*27 Covers Vol.1」「holo*27 Vol.1 Special Edition」を下記ショップにて、予約・購入すると先着でオリジナル特典をプレゼント
特典は数がなくなり次第終了
※特典の絵柄は後日発表
Amazon.co.jp
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※Amazon のカートは24:00に更新されます。
楽天ブックス
複製サイン入りL判ブロマイド2枚セット（絵柄A：ラプラス・ダークネス / 紫咲シオン/ときのそら）
HMV/HMV&BOOKS online ※一部店舗を除く
複製サイン入りL判ブロマイド2枚セット（絵柄B：星街すいせい/Moona Hoshinova）
TOWER RECORDS/TOWER RECORDS ONLINE ※一部店舗を除く
複製サイン入りL判ブロマイド2枚セット（絵柄C：天音かなた/博衣こより/大神ミオ）
ゲーマーズ全店（オンラインショップ含む）
複製サイン入りL判ブロマイド2枚セット（絵柄D：沙花叉クロヱ/Kureiji Ollie）
全国アニメイト（通販含む）
複製サイン入りL判ブロマイド2枚セット（絵柄E：百鬼あやめ/癒月ちょこ/夜空メル）
ソフマップ・アニメガ
複製サイン入りL判ブロマイド2枚セット（絵柄F：兎田ぺこら/さくらみこ/Airani Iofifteen）
とらのあな
複製サイン入りL判ブロマイド2枚セット（絵柄G：風真いろは/不知火フレア）
メロンブックス（通販含む）
複製サイン入りL判ブロマイド2枚セット（絵柄H：雪花ラミィ/鷹嶺ルイ/姫森ルーナ）
Neowing/CDJAPAN
複製サイン入りL判ブロマイド2枚セット（絵柄I：猫又おかゆ/小鳥遊キアラ/七詩ムメイ）
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複製サイン入りL判ブロマイド2枚セット（絵柄J：Gawr Gura/Hakos Baelz/森カリオペ）
TOY’S STORE
クリアロゴステッカー
※特典のデザインは予告なく変更する場合あり