オジー・オズボーン、半世紀以上もメタルファンを魅了する“狂気と愛嬌”　ツアー引退を機に振り返る伝説の破天荒エピソード

　ステージ上でも、“イカれたロックスター”でありながら等身大の姿を見ることができる。マイクスタンドにしがみつき必死に歌う姿や、前かがみで嬉しそうに手を叩く姿、さらにステージに上がってきた多数のファンとハグをし喜びを分かち合い、バケツでファンに水をかける姿……など、彼は“カッコいい”イメージを打ち出すよりも、常にファンと楽しい時間を共有するために全力で生きていることがわかる。まるでメタル界のチアリーダーとでも言わんばかりに、ファンに元気を与えようとしている彼の姿を見て笑顔になった人も多いだろう。

　2002年にはオジー・オズボーンと妻 シャロンの家族をフィーチャーした『The Osbournes』がMTVで放映開始され、そのハチャメチャなセレブ生活とは裏腹にオジーのおとぼけキャラがお茶の間でも人気を博した（撮影中は常に薬物の影響下にあったと本人は明かしている／※2）。

　また、ランディ・ローズ、ジェイク・E・リー、ザック・ワイルドなどの凄腕ギタリストを発掘した功績も忘れてはいけないだろう。2020年の『Ordinary Man』が最後のアルバムになると思われていたが、2022年には『Patient Number 9』をリリース。多くのレジェンド級ギタリストがゲスト参加した同作は『第65回グラミー賞』で最優秀ロックアルバム賞を受賞。暗い場所から助けを求める自分や幼少期のトラウマなどを語ったリリックも含め高く評価された。オジー・オズボーンは何度転んでも、全力で起き上がることに50年間を費やしており、その人間味と、全力で今を生きる彼の姿が長年ファンに愛される理由の一つであろう。

※1／筆者訳：https://twitter.com/OzzyOsbourne/status/1620678367812124672?s=20&t=o_25KghK7PIg176gYoHAiA
※2：https://www.dailyrecord.co.uk/entertainment/celebrity/i-was-stoned-every-day-while-filming-the-osbournes-1021128