DISH//、Chilli Beans.、女王蜂、YUKI、スガ シカオ……2月1日リリースの新譜5作をレビュー

YUKI『パレードが続くなら』

　オルタナティブとポップを刺激的なバランスで融合させ、時代性と普遍性を兼ね備えたポップミュージックを体現し続けてきたYUKI。ソロデビュー20周年のラストを飾るニューアルバム『パレードが続くなら』にも、彼女の鋭利なセンス、そして、リスナーの感情を鼓舞し、開放するようなパワーが漲っている。ホーンセクションを取り入れたオーガニックなグルーヴのなかで〈始まりは　いつでも　愛だ〉という言葉を響かせる「どんどん君を好きになる」、峯田和伸が手がけたピュアに振り切ったラブリーポップチューン「Dreamin’」、レトロフューチャー的なトラックとともに、いつも仲間でいてくれる友達への思いを描いた「It's 盟友」など新曲も充実。真ん中にあるのはもちろん、瑞々しさと奥深さを同時に放つYUKIのボーカルだ。（森）

スガ シカオ『イノセント』

　スガ シカオのニューアルバムの題名が「イノセント」と聞いただけでゾクッとした興奮が沸き起こるが、その予感は1曲目の「バニラ」の〈もし嫌だったら　すぐにはずせるよ〉というフレーズが耳に飛び込んだ瞬間に確信に変わる。“君”の不在による痛みを伴う喪失感を極上のポップチューン仕立てた「さよならサンセット」、スライ・ストーン直系のファンクサウンドのなかで、〈わたし消えても　どうぜ誰も気しない〉というラインが美しく響く「痛いよ」、性的な匂いをにじませる歌詞と洗練されたアンサンブルを組み合わせた「獣ノニオイ」など、“ヤバい”としか言いようがない楽曲が並ぶ。スガ シカオにしかない個性を冷徹に見極め、自身のポテンシャルを自分で引き出してみせた傑作だ。（森）