KroiがLINE CUBE SHIBUYAを埋め尽くすことの価値の大きさ 新しさと遊び心満載の初ホールワンマンを観て

Kroi、初ホールワンマンを観て

 2022年7月27日リリースのアルバム『telegraph』を携え、9月4日から11月16日までかけて17本を回った、Kroiにとって初の全国ツアー『Kroi Live Tour 2022 “BROADCAST”』の追加公演、2023年1月8日LINE CUBE SHIBUYA。彼らがホールでワンマンを行うのも、これが初めてである。

 長谷部悠生(Gt)による自作ラジオ番組『ロゼッタスペース』の新春スペシャル(ライブ前日に長谷部がメンバーやファンに突然電話をかける、という内容)→Kroiに関するラジオニュース→『長谷部悠生のロゼッタの風に吹かれて』という散歩番組の映像が流れるが臨時ニュースが入って来て……というイントロダクションを経て、メンバーが登場。内田怜央(Vo/Gt)と長谷部悠生と千葉大樹(Key)は上下スーツ、関将典(Ba)と益田英知(Dr)はワイシャツとパンツ、というフォーマルな出で立ちである。

 「Drippin' Desert」と「Pixie」、『telegraph』から2曲並べてライブがスタート。そこからグルーヴィーな「Monster Play」、アップテンポな「a force」「Juden」と続け、オーディエンスの温度を上げていく。

 6曲目の「Funky GUNSLINGER」を、内田怜央が「今日一個目のスペシャルを持ってきました。スペシャルバージョンです」と紹介すると、ステージの両脇から男女のダンサーが1名ずつ登場。同曲のMVさながらにダンサーを交えたパフォーマンスを展開した。演奏もオリジナルの軽やかさが、重く、粘っこく、グルーヴィーに響く。

Kroi(写真=jacK)

 正月は関将典以外のメンバーは寝込んでいたことや、千葉大樹が今弾いている赤いキーボードは前日に買ったものであることを明かした最初のMCから「Balmy Life」へ。バンドのボリュームに負けない音量で、オーディエンスのハンドクラップが響く。続く「Mr. Foundation」では、メンバーがユニゾンで歌うサビに合わせて振り上げられる腕で、客席が埋まった。9曲目は、インスト曲「Flight」。各メンバーのソロが繰り広げられている間、いったんステージをはけた内田怜央も、後半で戻って来て、パーカッションでソロを取る。

 「侵攻」「夜明け」を経てのMCで、このツアーの本番中にアフタヌーンティーを導入したいと訴えてきたという千葉大樹が、「今日やっと本格的なアフタヌーンティーのセットが届きました」と、ステージ右後方に用意されたテーブルに行き、長谷部悠生と共に、食べたり飲んだりし始める。内田怜央、「……今、これ、誰が楽しいの?」。客席に笑いと拍手が広がる。

 そして、「Not Forever」「Never Ending Story」「WATAGUMO」と、『telegraph』から3曲続けてプレイし終えたところで、ツアー中盤から行ってきた、長谷部悠生 vs 益田英知による「WATAGUMO」の歌唱を賭けた「WATAGUMO BATTLE」の結果発表。「会場票」「ツイッター票」「スタッフ票」「イベンター票」の4つのうち、3対1で益田英知が勝利。歓喜の雄叫びを上げた益田英知がシャツを脱ぎ捨て、タンクトップ姿で「WATAGUMO」を歌い(代わりにドラムは内田怜央が叩き)、負けた長谷部悠生は紙吹雪を撒いて盛り上げる。

 本編のラスト3曲は、「Network」「HORN」「Shincha」。「Shincha」の間奏では内田怜央、「毎年言っておりますが、今年はKroiの躍進の年でございます」「長く音楽をやっていきたい、長く音楽を皆様に届けたい、これから先も毎年こうやって『あけましておめでとうございます』と、ライブでみなさんに会えていけたらいいなと思います。最高です」と、改めて伝えた。

 アンコールでは、このライブの後24時に配信がスタートした新曲「Hard Pool」を演奏。「完全に初披露」だそうで、曲を終えて「緊張した」と言い合うメンバーだが、そんな不慣れさなどまったく感じさせない、ダイナミズムに溢れた演奏だった。

Kroi(写真=jacK)

 さらに、「新曲をやって緊張したので、緊張をほどいて終わろうと思います」と、「Fire Brain」を追加して、ライブは終了。なお、「Hard Pool」の配信スタートと同時にMVも公開すること、春に新しいEP『MAGNET』をリリースすることと、そのリリースツアーを行うことも、アンコールで発表された。そして、メンバーが去った後、その「Hard Pool」のMVが上映された。

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