WATWING、初のZeppツアー東京公演 “#THEROADTOZEPP”の成果を詰め込んだスキルフルなステージ

WATWING、初Zeppツアー東京公演レポ

 2021年にメジャーデビューを果たした6人組ダンス&ボーカルグループ、WATWING。高い歌唱力とテクニカルなダンスが魅力の彼らが、2023年1月5日のZepp DiverCity(TOKYO)にて、初のZeppツアーの東京公演を行った。もともと2022年4月に行われる予定だった東阪ツアーは、コロナウイルス感染拡大により延期され、2023年1月4日・5日に振替公演が決定。1月4日にZepp Osaka Baysideで開催された大阪公演と、今回の東京公演は共にSOLD OUTとなり、この瞬間を待ちわびていた大勢のWindy(ファンの呼称)が6人を熱く迎え入れた。

 定刻を少し過ぎた頃、ふいに客電が落とされ、ステージを覆う紗幕の上を、パーカッシブなSEやサイレンが荒々しく駆け回った。次の瞬間、メンバーが叫ぶカウントダウンを合図に、6人のシルエットがステージに浮かび上がり、フロアにはペンライトの白い光が揺れる。〈Oh, oh-oh-oh, oh-oh-oh, oh-oh〉という「Runway」のイントロが高らかに鳴り響く中、黒い衣装に身を包んだWATWINGが姿を現した。インディーズ時代に発表された同曲は、彼らの高いダンススキルを象徴する代表曲の1つ。ダンスリーダー 古幡亮と福澤希空のペアダンスや、多彩なフォーメーションチェンジといった躍動感溢れる構成ながらも、高さの揃ったジャンプが、“#THEROADTOZEPP”を掲げて一丸となって突き進んできた彼らの日々を物語っていた。冒頭から有無を言わさぬ迫力で心を鷲掴みにすると、すぐさまメンバー紹介曲「WATW“ing”」を投下。前のめりで煽る八村倫太郎のラップを筆頭に、個性豊かなフロウで歌い繋ぎ、Windyを翻弄していく。4人組ラップグループ・JABBA DA FOOTBALL CLUBのJUQIとBAOBAB MCが、実際にメンバーにヒアリングを行い書き上げたというリリックには、各自のルーツと人柄、情熱がギュッと詰め込まれている。桑山隆太のパートにもあるように、まさに“火災報知器が鳴るほどの熱気”が充満したフロアを前にして、楽しそうに言葉を紡ぐ6人。倫太郎が「Happy New Year to Windy! Welcome to Zepp DiverCity! 僕たちがWATWINGです!」と呼びかけ始まったメジャーデビュー曲「HELLO WORLD」では、リズミカルに揺れる手のひらとビッグスマイルが咲き乱れる。曲の終わりに、髙橋颯の安定した美声が晴れやかな余韻を届けると、場内は温かな拍手で包まれた。そして、アーティストコラボ企画の第1弾としてメンバーと同世代のシンガーソングライター・大橋ちっぽけが手掛けた、等身大のラブソング「Honey, You!」を披露。〈僕だけは信じてほしいよ〉と語りかけるように歌う、鈴木曉の説得力のある笑顔を浴びて、「この先もWATWINGに自信を持ってついていく」と決意したWindyも多かったことだろう。

WATWING(写真=木村篤史)

 スキルフルなパフォーマンスから一転、自己紹介を兼ねた最初のMCでは、彼らのマイペースぶりが大いに発揮された。進行役の倫太郎に促された颯は、「今日はみなさんの顔を見られて、直接会うことができて嬉しいです。最後までみんなのことを置いていかずに連れて行くので、ぜひよろしくお願いします!」と穏やかな口調で挨拶。大阪公演のMCでボケたものの、オチがつけられずに不完全燃焼だったという隆太は、「今日は落ち着こう(オチつこう)と思います!」と早くもささやかなボケを投入。亮は「今日はみなさんのことを僕のダンスで落としにいきます。覚悟していてください」とクールに宣言し、倫太郎はハイテンションで「みんな、元気ですか~!?」と呼びかける。だが、天然っぷりに定評のある希空が「明日は"昨日の今日"ということで……」と予想外の切り口で話し始めると、一同困惑。「明日は、昨日やった大阪公演の、今日以上のピョンピョンを見たいと思います!」と、干支の“うさぎ”に掛けた“わかるようなわからないようなMC”で笑いを誘う。最後は曉の「お正月で食べ過ぎちゃった人たちもいると思うので、今日は僕たちと一緒に動いて絞っていきましょう!」という呼びかけに、倫太郎が「5キロ痩せよう!」と加勢し、新年1発目のエクササイズ式ライブが幕を開けたのだった。

 その後、倫太郎が「今、目の前にいるアナタの素晴らしさを歌った曲です。これからもずっと一緒にいたい。アナタとだから強くいられる。そんな想いがこもっています」と言い添えて、ピュアなラブソング「With you」へ。クールなファンクサウンドがクセになる「Turn it up」では、天井のミラーボールが回り始め、フロア全体がダンスホールに変身した。「Sensation」では曲中にメンバーが各所に散らばり、客席を巻き込んでハンズクラップ。かつてメジャーデビューEPに収録された曲たちが、Windyと共に大きく翼を広げている光景を眺めながら、6人は嬉しそうにアイコンタクトを交わしていた。

 2度目のMCでは、ペンライトを持っていない人も一緒に盛り上がれるようにと、WATWING流の応援スタイルをレクチャーした。両手で作ったアロハポーズを繋げると“WATWINGポーズ”になることから、楽しい時はアロハポーズを振ってほしいと説明する倫太郎に対し、アイソレーションが効きすぎて、思わず顔まで振ってしまう最年長・亮。すかさず倫太郎が「顔まで振ってどうすんねん! ダンス力見せんでええ!」とつっこみ、2人のノリの良い掛け合いに爆笑が起こる。また“元気担当”と紹介された曉は、アロハポーズを振りながら「いえ~~~い!」と絶叫。後半には“お正月”をお題にした亮の自作俳句も発表され、颯曰く“世界で一番温かいWindy”に見守られながら、次のブロックに繋いだ。

 本編中盤は、Zeppツアーに向けた“#THEROADTOZEPP”企画として、YouTube上で先行公開されていた新曲たちがステージを彩った。トップバッターの倫太郎と曉が歌うのは、2人が作詞作曲を手掛けた「Gorgeous」。歌とラップを巧みに操るマルチプレイヤーの倫太郎と、舞うように歌う癒しボイスの曉が、心地よいハーモニーを届ける。ハットにジャケットという見覚えのあるファッションで現れた亮と希空は、自作の振付を落とし込んだダンスパフォーマンスを披露。言葉よりも饒舌な肉体に、Dance Videoでは見えなかった表情も加わり、ますますWindyを魅了していく。亮・希空・颯・曉の4人で歌唱した「feel like... this」にも、彼ららしい誠実な言葉が並んだ。そんな中、満を持して隆太が登場。スポットライトに照らされながら、ゆったりとピアノを奏でる姿は、昨年まで彼が出演していたZIP!朝ドラマ『クレッシェンドで進め』の役柄を想起させる。そこに颯が歩み寄り、彼が作詞作曲した「今を咲く花」を歌い始めると、Windyは2人の美しくも優しいコラボレーションに静かに耳を傾けた。そのまま「Shooting Star」のイントロが流れ始めると、ステージは満天の星に照らされた。白い衣装に着替えたメンバーが、1人、また1人と姿を現し、透明感のある歌声を重ねると、いつしかフロアにも、かけがえのない一人ひとりが集まった星空が広がっている。その光に込めた想いを束ね、デビュー曲「Only One Life」を熱唱。メンバーたちは、みんなで手を取り歩んできた軌跡を噛みしめながら、ノンストップで駆け抜けた“#THEROADTOZEPP”パートを締め括った。

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